そもそも電波って何だろう 2:塩田紳二のモバイル基礎講座 第4回(3/3 ページ)
電話を少し動かしただけで電波の受信状態が変わる理由、ダイバシティアンテナとは何をするものか、偏波とは何か──前回に引き続き、電波についてお話しします。
電波には型式がある
世の中にはさまざまなケーブルやコネクタがあります。それぞれ、電圧や信号形式などの物理的な条件が違っていて、似ているからといってお互いに接続可能というわけではありません。たとえば、イーサーネットとISDNのU点コネクタは非常に似ている(コネクタ自体は同じ)ですが、ISDNがイーサーネットになるわけではありません。また、ISDNケーブルをイーサーネットケーブルの代わりに使うことはできません。
同様に、電波にもいろいろな通信方式があります。電波での通信は、お互いが同じ周波数と、同じ通信方式の電波を使うことが前提です。さら後述する分割方式なども一致しないと、通信することができません。例えばAMラジオとFMラジオは、使っている周波数だけでなく、電波の型式も違っています。
AMやFMは、ラジオの分類としては周波数帯を含んで使われる用語ですが、本来は電波の型式(変調型式)を表す用語です。AMは、Amplitude Modulation(振幅変調)、FMは、Frequency Modulation(周波数変調)の略です。
電波法では、電波の型式を記号を使って表します。AMは「A3E」、FMは「F3E」という表記になります。この表記方法は、2003年の電波法改正で変更になりました。子供の頃、アマチュア無線をやっていた方だと、A3、F3、A3J(SSB。Single Side Bandの略)といった表記に親しんでいたと思いますが、現在では、A3、F3は、前述のように後ろにE(音声通信を表す)を付け、必ず3文字の組合せとしSSBはJ3Eなどと表記します。
PDCやcdmaOneなどのデジタル携帯電話はどうなるのかというと、電波法上は「G7W」(位相変調/デジタル信号2チャンネル以上/組合せ)という表記になります。
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