Nokiaが開発環境を提供する意味
統一プラットフォームを利用することにより、国境を越え、コストを抑えてコンテンツを展開できる──それがForum Nokiaの思想だ。またNokiaでは、Linux用の開発環境の提供も始めている。
Forum Nokiaは6月15日、デベロッパー向けイベント「Mobile Business & Technical Days」を開催した。
Forum Nokia北アジアマネージャーのヤリ・スータリネン氏は、Forum Nokiaの意義と現在の状況、また今年1周年を迎えたForum Nokiaの上位組織「Forum Nokia PRO」について説明した。
日本のコンテンツプロバイダが世界進出する手助けを
現在、Nokia製の携帯電話は3つのプラットフォームに分けられる。マスマーケット向けで最もボリュームがあるSeries 40、付加価値の高いソフトを載せることができ、スマートフォンに採用されているSeries 60、Communicatorなどに採用されているSeries 80だ。
Series 40/60/80が搭載された携帯電話の、世界での出荷台数は、2004年に1億8000万台。2005年末には3億台の見込みとなっている。
Forum Nokiaは、コンテンツプロバイダや通信事業者などデベロッパー向けに、Nokiaが開発環境や各種情報を提供しているコミュニティである。現在Forum Nokiaの登録数は200万以上。このうち、グローバルで見たときに、とくに先進的なデベロッパーが「Forum Nokia PRO」のメンバーとなっており、現在約400社だという。
同じプラットフォーム内では、アプリの移植はきわめて簡単に行える。共通のプラットフォームを利用することで、例えばコンテンツプロバイダは、自社で作ったソフト(コンテンツ)を、簡単に海外に販売できることになる。日本のコンテンツプロバイダが海外市場向けに展開するのも、逆に海外のコンテンツプロバイダが日本市場に参入するのも簡単、というわけだ。
Forum Nokia PROメンバーの例として挙がったのは、ハドソン、タイトー、G-modeなど。とくにG-modeでは、あるゲームが40カ国以上に輸出され、世界中で100万ダウンロードされたという。
Forum Nokiaのメンバーは初めゲーム関係のコンテンツプロバイダが多かったが、最近ではビジネスアプリを作るところが増えてきている。
「Forum Nokiaは、開発環境を提供し、それによって(コンテンツプロバイダは)投資額を抑えることができる。少ないコストでより多いレベニューを得るには、プラットフォームの共通化がとても重要だ」(ヤリ氏)
Linuxのフォーラムも始動
また先日発表された、電話機能を持たないタブレットタイプの端末「Nokia 770」(6月15日の記事参照)のプラットフォームについても触れた。
Nokia 770は携帯電話ではないこともあり、そのOSは、SymbianではなくLinuxだ。Nokiaでは「maemoデベロップメントプラットフォーム」というプラットフォームを提供している。
maemoはハンドヘルド端末向けのオープンソース開発環境だ。デベロッパー用サイトであるmaemo.orgでは数々のソフトの開発が進んでいるが、公開して間もないこともあり、まだまだ初期段階。“Series xx”のような商業サポートされているような安定した状態までは達していない。maemoのソースコードを公開し、maemo.orgのサポートをしていることには、「Nokiaはオープンソースのデベロッパーを支援している」という意味も含まれているという。
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