FeliCa携帯普及に重要な「専用レジ」:神尾寿の時事日想
おサイフケータイを実際に利用したことがある人はまだまだ少ない。「いかに経験させるか」の鍵は、使える場所を増やすこと、そして「専用レジ」を作り、そのメリットを非ユーザーの目に見える形で示すことにありそうだ。
6月15日、NTTレゾナントと三菱総合研究所が「第1回おサイフケータイに関する調査」を発表した(6月15日の記事参照)。同レポートによると、実際の利用率は約7%と少ないものの、利用経験者の86.6%が継続利用意欲を持っていたという。これは4月15日に発表されたBCN総研の電子マネー利用動向レポートと同様の結果であり、おサイフケータイなどFeliCa携帯普及の鍵が、「いかに経験させるか」にあるのは間違いないだろう。
利用経験者の増加にあわせて、利用可能場所の拡大は急務だ。
NTTレゾナント/三菱総研のレポートでも、利用者があげるデメリットの第2位に「利用可能な場所が少ない」があがっている。FeliCa携帯利用率向上には、メリットを常に“感じ続けさせる”事が重要である。その点で、交通機関という日常利用が想定されるJR東日本の「モバイルSuica」(3月4日の記事参照)のサービス開始や、生活圏の中にあるコンビニ/食品スーパーでのFeliCa携帯対応は重要だ(5月30日の記事参照)。
「専用化」がもたらすCM効果
そして、利用エリア拡大の次に重要になるのが、利用メリットを高めることである。具体的には、専用レジや専用ゲートの設置が考えられる。
筆者は昨日、取材スケジュールの関係で、NTTドコモも入居する山王パークタワービルで1日を過ごした。同ビルの地下フロアにはコンビニエンスストアの「am/pm」があるのだが、久しぶりに訪れてみると、そこに「Edy専用レジ」が設置されていた。
ちょうど午前の取材が終わり、午後の取材まで時間があったので、レジの流れを観察してみたのだが、Edy専用レジの回転は驚くほど早い。ドコモの“お膝元”という事もあるのだろう。来店者も、おサイフケータイやカード型Edyユーザーが多く、混雑時、専用レジの方が流れがよいことは明らかだった。
こうした“専用化”は、FeliCa携帯/カード型FeliCaの普及率が低い段階では確かに店舗側のリスクはある。しかし、スムーズな決済やゲート通過は既存ユーザーの利用メリットを高めるだけでなく、非利用者に対するCM効果が期待できる。
JR東日本のSuicaでは新宿駅などで「Suica専用改札」が導入され、「駅中コンビニのSuica電子マネー専用レジ設置も検討中」(JR東日本関係者)だという。モバイルSuica導入時には、専用改札や専用レジという環境が整っている可能性が高い。
また、FeliCaではないが、クルマ向けのノンストップ決済システム「ETC」では、その効果が顕著な首都高速道路のETC利用率が急増。6月15日には、ETC利用率が週平均50%を突破したとの発表があった。首都高速道路では全料金所の81%にETC専用レーンが設けられ、75%が終日ETC専用レーンとなっている。
おサイフケータイなどFeliCa携帯の普及/利用率向上にとって、専用レジや専用ゲートの導入は重要だと言えるだろう。
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