ネットワークとサービスの品質向上でトータルの顧客満足度を上げる──KDDI:キーマンが語るワイヤレス業界のこれから(4/4 ページ)
若年層を中心に、契約者数を着実に伸ばしているau。3G移行の序盤を制した感のあるauは、今後どのような戦略を持ってライバルに挑んでいくのか? KDDIのau事業本部au技術本部長執行役員・安田豊氏に聞いていく。
無線LANと3G携帯をシームレスに切り替えられる次世代通信へ
ITmedia auはWINにより広帯域・定額というトレンドを業界内で定着させました。しかし、ここを突き詰めて行くとセルあたりの収容数が多いワイヤレスWANは、より小さなマイクロセルの通信手段に比べ不利になります。このあたり、今後のネットワークを作っていく上での方針についてお聞かせください。
安田 まず、複数メディアにまたがってユーザーが意識せずに通信手段を切り替えるシームレス通信の実現を考えています。たとえば無線LANのような“スポット”でカバーするメディアと携帯電話のワイドエリアネットワークを切り替えるといったことです。自宅では自宅の無線LANを通じてアクセスし、そのまま外に持ち出すと携帯電話網を使う。再びホットスポットのエリアに入ると無線LANでアクセスするといった具合です。
ITmediaシームレス通信を意識したインフラ面での対応はすでに進めているのでしょうか?
安田 将来、ユーザーが意識せず端末を取り替えるだけでシームレスに通信が行えるよう、ネットワークの足回りにはシームレスなメディア切り替えを意識したアーキテクチャとしています。先日発表したウルトラ3Gはそうした要素を盛り込むことを目指しています。固定系のネットワークや無線LANをうまく利用し、1つの端末でいろいろなサービスを受けられるようにしていきます。
ITmediaNTTドコモは自社のブランドで公衆無線LANサービスを展開していますが、auブランドでも同様に携帯電話以外のネットワークを構築していき、それらを融合していく考えでしょうか?
安田 ブランドがauになるのか、それともDIONやKDDIになるのか。そこは現時点では分かりません。しかし、ローミングも含めていくつかのメディアにまたがったサービスを展開することはあるでしょう。これは10年といった長期レンジのビジョンですから、どこかで1度に変化するのではなく、順番に実現できることから提供していきたいと考えています。とはいえ、早いものは来年か再来年ぐらいには開始したいですね」
ITmedia携帯電話が生活のインフラとして定着してくるに従い、今後は高層の集合住宅をどのようにカバーしていくかが重要になると思います。この点について、KDDIのお考えを聞かせていただけますか?
安田 集合住宅にあらかじめ回線を引くためのインフラがある場合もあれば、全くない場合もあります。既設の集合住宅を含めると、そのすべてに対して均質に各事業者がエリア化を進めるのは、事業的に大変難しい。しかしニーズは確実に存在しますので、現在、業界全体が抱える課題でもあると認識しています。
事業として難しいところに関しては、地下鉄と同じように事業者が共同で基地局を設置するといった取り組みが必要になるでしょう。大規模案件の場合、集合住宅をカバーエリアに入れることで契約者を獲得するといった競争にもつながっているため、なかなか具体化するのは難しい。しかし、基地局の共同設置に関して、いつかはきちんと話し合わなければならないと考えており、我々としては常に柔軟な姿勢で対応していきたいと考えています。
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