チップビジネスから3Gの進化と普及を後押し。3Gビジネスの裾野を広げる──クアルコム:キーマンが語るワイヤレス業界のこれから(5/5 ページ)
KDDI端末へのコアチップ供給をはじめ、W-CDMAを採用するドコモ、ボーダフォンへもアプローチを進めるクアルコム。同社の戦略を、山田純社長に聞いていく。
今後の高速通信への取り組み
ITmedia ここまで「3G普及時代」を前提に、市場の広がりの部分についてお話しを伺ってきましたが、今後の3G技術の進化、高速化の取り組みについてお聞かせください。
山田 クアルコムが現在、力を入れている1x EV-DO Rev.Aは将来的な高速化技術を多く先取りしたもので、HSDPAと同様に3Gのポテンシャルを向上させます(6月15日の記事参照)。これら3G高速化技術には注力しています。また、今後の部分ではWi-Fi(無線LAN)連携も重要であると認識しています。
ITmedia 無線LAN機能もクアルコムのチップセットに統合されるのでしょうか。
山田 我々はこれまで(機能の内包化を進める)1チップソリューションを推進してきましたが、現在は少し方針修正がされています。携帯電話にとって重要かつ必須の機能は今後も1チップに統合しますが、一方でベリフェラルなコンパニオンチップをつなげる形も採ります。例えばWi-FiチップやモバイルFeliCa、地デジ1セグ、MediaFLOの各チップはコラボレーションする形になります。むろん、それらコンパニオンチップのマネージメントを行うのはクアルコムのコアチップです。
ITmedia 最近はWiMAXが話題になっていますが(7月4日の記事参照)、これについてはいかがでしょうか。
山田 率直に申し上げると、WiMAXについて我々は「導入しなければならない理由は、現時点において存在しない」と考えています。特に日本市場では3Gが広くあまねく普及し、エリアが広がっている。1x EV-DO Rev.Aのように3G技術自体も進化しています。一方で、オフィスや家庭ではブロードバンド回線と接続されたWi-Fiエリアが普及し続けている現状がありますので、帯域消費量の多いWiMAXの(日本市場における)優位性や必要性はしっかりと考えるべきでしょう。
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