プラットフォーム化する「おサイフケータイ」:神尾寿の時事日想
NTTドコモに続き、KDDIがおサイフケータイへの参入を正式に表明、対応端末を公開した。おサイフケータイは携帯電話の1サービスというレベルを越え、社会インフラとなる可能性を秘めている。
7月11日、KDDIがモバイルFeliCa対応の「EZ FeliCa」サービスを発表、同時に対応端末2機種を公開した(7月11日の記事参照)。かねてから採用が表明されていたKDDIが具体的なサービスと端末を公開したことにより、FeliCa携帯の普及に拍車がかかるのは間違いないだろう。
筆者もこの記者会見に出席しており、KDDIの小野寺正社長に2つの質問をぶつけた。
1つは「おサイフケータイという商標を採用した理由と、どのようにドコモと差別化していくか」だ。既報のとおり、KDDIはドコモの商標であるおサイフケータイを使い、基本ロゴマークも共通化する(7月11日の記事参照)。
「おサイフケータイは(ドコモと)事業者間で一般名詞にしていった方がいいという方針で採用した。詳しくは言えないが、差別化はEZ FeliCaのアプリケーション上で行っていく」(小野寺社長)
ここのところ、ドコモとauはサービス基盤面で手を組むことが多い。おサイフケータイも共通サービスとして育てていく方針のようだ。
もう1つの質問が「フェリカネットワークスへの出資をする可能性はあるか」だったが、これに対しても、「(KDDIとしては)フェリカネットワークスに出資する意向を持っている。現在、関係者と話し合いをしている」(小野寺社長)と、かなり明確な答えが返ってきた。
ドコモはおサイフケータイの開始当初から、この分野を携帯電話の共通サービス基盤とし、社会インフラ化する方針を打ち出していた。モバイルFeliCaをプラットフォームにするのはドコモの既定路線であり、業界2位のKDDIがそれに“積極的に乗った”ことで、この路線は強固なものになった。
今年3月、フェリカネットワークスの河内聡一社長の単独インタビューの中で(3月3日の記事参照)、「モバイルFeliCaが新しいライフスタイルと産業を創出するという確信を持って事業をやっている」という発言があった。この言葉が、まさに大きな波として現実化してきている。
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