NTTドコモ、料金値下げ&コスト削減で減収増益
ドコモの2006年3月期第1四半期決算は、各種料金割引施策などの影響を受けて営業収益がダウン。しかし端末コスト削減などが効き、営業利益はアップしている。
NTTドコモは7月29日、2006年3月期第1四半期の連結業績を発表した。営業収益は前年同期比2.8%減の1兆1871億円、営業利益は前年同期比4.0%増の2876億円。通期予想に対しての進捗率は36%で「昨年度(同期)の進捗率は32.7%。それよりは少し進んでいる。とりあえず、予定通り順調と言っていいと思う」(NTTドコモ)
11月1日よりFOMAとムーバを一本化した新しい料金体系を導入し、より分かりやすい料金システムを目指すとともに(7月29日の記事参照)、これまで5年を超えると割引率が変わらなかった長期契約者に対し、10年まで割引率が拡大する「新いちねん割引」を導入(7月29日の記事参照)。長期契約者への優遇策で、ユーザーの囲い込みを目指す。
新規契約者は少ないが、解約率低減が効いて純増
NTTドコモ社長の中村維夫氏が就任時から注力しているのが解約率の低下だ。今期の解約率は0.8%と過去最低。解約率の低下が効き、新規契約者は下がっているが、全体として契約数は純増、純増シェア1位となっている(7月7日の記事参照)。
契約数は増えているが、昨年来取り組んでいる各種割引サービスによって、無線通信サービス収入は減少。前年同期に7400円だったARPU(ユーザー1人当たりの収入)は6940円と、これが営業収益減少の原因となっている。一方、10万契約純増している半面、新規契約者は18万契約減っているため、端末調達コストが低減したことが増益につながった。
新しい料金体系が11月1日から導入されると、さらに減収が予想されるが、「どれくらいのユーザーが新しい料金システムに動くか分からないが、若干の持ち出し程度で済むだろう。2007年で−100億円程度ではないか」(中村氏)とする。また、新いちねん割引で恩恵を受ける5年以上の長期契約者は現在契約者数の4割弱を占めるが、ボリュームディスカウントを止めることで相殺され、新いちねん割引での減収分はほとんどないと予想している。
現在の解約率0.8%という数字について、中村氏は「かなりいい数字。このうち0.1%相当は強制解約分で、これ以上解約率が下がるのは難しいだろう」とする。
しかし、解約率が下がっているのはドコモだけではなく、KDDIも同様だ。MNPを待っての買い控えではないか?という問いに対し、中村氏は「MNPに向けてお客様が手控えているというにはまだ早すぎるのではないか。しかし、正直なところ分からない」と答えた。
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