高齢者向け端末こそFeliCa対応を(2/2 ページ)
「らくらくホン」「ツーカーS」など、シニア層向け携帯は一定の市場を持っている。使いやすさに配慮したUIは進歩を遂げているが、記者がもう1つ必要だと思うのが、FeliCaへの対応だ。
実際に「おサイフケータイを使ってみたい」という声を、携帯のヘビーユーザーでない人からよく聞く。W32Kの取材のときも、テスターは2人とも「おサイフケータイを使ってみたい」と答えており、W32Kが対応していないことを伝えると残念そうにしていた。
78歳のテルコさんは「ひったくりなど物騒な話も聞くし、レジで小銭をやりとりしなくていいなら使ってみたい」という。また55歳のユキさんは「荷物は少しでも軽くしたい。家の近所でちょっと買い物をするようなときに、財布を持っていきたくない」という。また2人とも言っていたのが「携帯を持って行くのを忘れたり、重いから置いていくことがよくあるが、お財布の機能が付けば必ず持ち歩くようになると思う」という意見だ。
Edyの平日利用率が5割以上という仙台のスーパー「アサノ」でも、Edyは高齢者にむしろ好評だという。「決済がスピーディで簡単というのは、実はお年寄りの負担やストレスを軽減する」と社長の浅野正一氏は話す。「レジでの小銭のやりとりがなくなることにより、支払いが遅くて周りに迷惑をかけずに済み、うれしい」という声はリアルだ。
おサイフケータイが使えるところは、今の段階ではまだ限定されているが、特に関東エリアではモバイルSuicaが始まれば注目度は飛躍的に高まるだろう。携帯電話を持っていない入門ユーザーや、他キャリアユーザーの乗り換えの際に大きな動機になりうるのが「おサイフケータイ」だと思うのだ。
簡易版「おサイフケータイ」の可能性
ただし、今のおサイフケータイをそのまま載せるのは少々問題がありそうだ。現在のおサイフケータイは、使うのは簡単だが、初期設定と機種変更は簡単ではない。NTTドコモもauも基本的には「機種変更の際に内容の引き継ぎはユーザーがやること」という姿勢であり、携帯電話の操作に慣れないユーザーにとって、それは決して楽な作業ではない。
またもう1つの問題がセキュリティだ。クレジットカードや銀行口座とやりとりできる機能は便利だが、そのためにどの端末もセキュリティ機能に配慮しており、それが操作を難しくしているという側面がある。
記者が考える解決策は「おサイフケータイのフル機能を載せない」というものだ。通信機能を搭載せず、端末にはFeliCaチップだけを載せ、初期設定をしてある機能だけを使えるようにする。クレジットカードや銀行口座とは接続せず、チャージは現金のプリペイドのみに制限してしまえばいい。つまり、カードタイプのEdyやSuicaと同じ仕組みだ。
巣鴨信用金庫が、キャッシュカードを廃棄するサービスで評判になっていることからも分かるように、高齢者にとって「銀行やカードでだまされるかもしれない」という恐怖感は根強い。「おサイフEdy」「おサイフSuica」といった単機能なFeliCa端末が高齢者向けに開発されることは、大きな意味があるはずだ。
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