「PC向けIP電話サービス」から普及の兆しを掴むBluetoothヘッドセット :神尾寿の時事日想:
携帯電話向けにはなかなか普及しないBluetoothヘッドセットだが、意外なところをきっかけに普及が進むかもしれない。それは、PC向けのIP電話との組み合わせだ。
8月18日、モバイルキャストとエニーユーザーグローバルが「ワイヤレス・ハンズフリーIP電話」の商品化・サービス開発における提携をする事を発表した(8月18日の記事参照)。今回の提携により、エニーユーザーグローバルのPC向けIP電話サービス「アィムフォン」に、モバイルキャストのBluetoothヘッドセットとアダプターがセットで提供されるようになる。
今回のモバイルキャストとエニーユーザーグローバルの提携は、PC向けIP電話サービスとBluetoothヘッドセット/アダプターをパッケージ化した点で注目だが、それ以前から一部の先進ユーザーの間では「PCでBluetoothヘッドセットを使う」という利用方法が広まっている。その最大の牽引役が「Skype」である。
P2PのIP電話サービスであるSkypeは、多くのユーザー同士が“無料電話”ができる点や音質のよさ、一般電話にも格安に電話ができる「SkypeOut」などが評価され、PCユーザーの間で人気がある(5月25日の記事参照)。“Skype用”をうたう有線のヘッドセットも多く発売されており、先進ユーザーはBluetoothヘッドセットで「Skypeもコードレス」で使っているのだ。
Bluetooth機器メーカーも、“Skype需要”の高まりに注目している。
例えばヘッドセットメーカー大手の米プラントロニクスはSkype社と戦略的パートナーシップを締結しており、日本プラントロニクスでは「Bluetoothモバイルヘッドセット M2500」をSkype向けとして、ライブドアのSkype公式サイトを通じて販売している。また、アイ・オー・データ機器ではSkype向けと限定してはいないが、Bluetoothヘッドセットとアダプターをセットにした「PDI-B911/PHF」を発売中だ(6月22日の記事参照)。
携帯電話ユーザーと比べれば、PC向けIP電話サービスの利用者は少ない。しかし、昨今のSkypeの急成長やユーザーのリテラシーの高さを鑑みると、この分野からBluetoothヘッドセットが認知され、普及していくシナリオは考えられる。また、今回のモバイルキャストとエニーユーザーグローバルの提携のように、PC向けIP電話サービスとBluetooth機器がセットになり、より「使いやすいパッケージ」になれば、対象ユーザー層も広がるだろう。
携帯電話向けとしては逆風のBluetoothヘッドセットだが、意外なところで普及のきっかけが掴めるかもしれない。携帯電話業界関係者も、Bluetooth機器のPC分野での普及と、それによるユーザーの変化をチェックしておいて損はないはずだ。
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