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伊予鉄道はなぜ、「FeliCa採用」に踏み切ったのか(後編):神尾寿の時事日想(3/3 ページ)
伊予鉄道の導入事例を見ていくと、FeliCa対応当初からおサイフケータイに対応、電子マネーとしての利用も見据え、コスト削減も進めるなど、実によく練られた計画であることが分かる。
利用者視点で「決済機能」と「利用エリア」を充実させる
公共交通から近い将来の電子マネー利用まで、ICい〜カードは幅広い用途での利用が想定されている。今後、どのような普及・発展への戦略を持っているのだろうか。
戦略的に重要なのは、まずカードとおサイフケータイ両方での利用者数の増加と、1顧客あたりの利用単価の増加だという。これを実現するためには、現在のプリペイド方式だけでなく、口座引き落としなどのポストペイ方式、クレジットカード方式など決済系のサービスを深めていく必要がある。
もう1つが、利用可能な場所を面エリアとして広げていくことだ。まずは公共交通からだが、次は伊予鉄グループの流通事業、市中心部の商店街や観光地とも連携していく。これらは(地方)行政との連携も重要、と西野氏は見ている。
「我々の目標は、松山に暮らす人、松山を訪れた人すべてにとって、(使いやすくて便利な)『いいカード』になること」(西野氏)
公共交通事業を柱に、地域経済に根を張る伊予鉄グループ。同社が作り出すFeliCa ICカードとおサイフケータイの先行事例は、地方における貴重なケース・スタディであるだけでなく、来たるべき「おサイフケータイ社会」の縮図になる可能性を秘めている。携帯電話産業にとって、注目すべき事例の1つと言えるだろう。
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