登場して1年、モバイルセントレックスの現在は? (2/2 ページ)
沖電気は、モバイルセントレックスの最新状況についてのセミナーを開催。NTTドコモ「PASSAGE DUPLE」や、沖電気「SS9100」について、現在の状況や今後の取り組みを説明した。
IPコミュニケーションからIPテレフォニーへ
沖電気工業IPシステム・カンパニー企業ネットワーク・ビジネスユニット原口哲朗氏はまず、90年代から始まったIP電話導入の目的が、時代と共に変わってきていると説明。これまでのIP電話導入の目的は、コスト削減だったが、IPコミュニケーション導入の目的は、コスト削減だけでなく、業務プロセス改善へと意識が変わってきている、と述べた。
年代 | 名称 | 特徴 |
---|---|---|
80年代〜90年代前半 | 従来型 | 電話は電話網、データはデータ網で別々になっている |
90年代後半〜2003年頃 | IPテレフォニー | VoIPゲートウェイを導入して音声をIP化することにより、音声とデータのインフラを統合。コスト削減を狙う |
2004年頃〜 | IPコミュニケーション | インフラ、端末、アプリの融合が進む。電話とデータを同じインフラで扱い、電話もITの1つとして活用 |
「IPセントレックス」とは、企業の内線、外線通話を取り仕切るPBX機能をアウトソーシングすることを指す。IPセントレックスには、複数置いていたPBXシステムを1つにすることでコストを削減する、という意味が強かった。しかし最近、IPセントレックス環境を構築する要素の中でも、特に高い関心・期待を持たれているのがモバイルセントレックスだ。
プレゼンスを「使える情報」にする試み
沖電気では、モバイルセントレックスソリューションとして、NTTドコモのN900iLと、SIP対応のIP-PBXサーバ「IP CONVERGENCE Server SS9100」(SS9100)との組み合わせを提案している。
SS9100は、N900iLがFOMAの圏内/圏外にいるか、無線LANにアクセスできるエリアにいるかを見て、内線としてかけるか外線としてかけるかを判別。自動的に転送発信する機能を持っている。
また現在取り組んでいる課題として、PC用ソフト「Com@WILL」と連携した新機能を紹介した。
1つは業務用アプリケーションとの連携。そしてもう1つが“プレゼンス”をより利用しやすくする試みだ。例えば、ただN900iLの状況が分かるだけではなく、固定の多機能電話機やPHSまで含めた、よりきめ細かいプレゼンスを表示できるようにする。また、単に「会議中」とプレゼンス表示して着信拒否するだけでなく、「メールか伝言にして」「チャットなら受けられる」「こちらからかけ直す」など、もっと詳しい情報を相手に伝えられるようになるという。
SS9100は1000台以上のN900iLを収容できる大規模事業所向けのSIPサーバだが、もっと小さな規模向けの製品「SS9100 TypeM」についても発表した。既存のPBXに接続することで、N900iL導入用のアダプタとして利用できる。
関連記事
- モバイルセントレックス最新動向インタビュー:ドコモがPASSAGE DUPLEで目指すもの
携帯を内線に利用する「モバイルセントレックス」への取り組みは各社さまざま。「PASSAGE DUPLE」を打ち出すドコモが目指すのは“通話の一歩先”だ。N900iLを核にしてドコモが目指すものは何か? - PASSAGE DUPLE導入事例〜JFEシステムズ
NTTドコモのモバイルセントレックス「PASSAGE DUPLE」。これをいち早く導入したのが川鉄情報システム改めJFEシステムズだ。 - 沖電気、N900iL対応のSIPサーバを発表
沖電気工業は、PASSAGE DUPLE用のFOMA端末「N900iL」に対応したIP-PBXサーバを発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.