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電子マネー“以外”に広がるFeliCaソリューション CEATEC JAPAN 2005:

電子マネーとしての利用イメージが先行しているモバイルFeliCaだが、静脈認証と組み合わせた個人認証用途、モバイルコマースのポータルとして利用するなど、新しい使い方が提案されている。

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 10月4日から千葉県幕張メッセで開かれている映像・情報・通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2005」では、FeliCaを利用した新しい取り組みがいくつか展示されている。

Edyで事前入場登録

 CEATEC JAPANでは2004年から、Edyとおサイフケータイを利用した事前登録を行っている。CEATEC JAPANの公式Webサイトから入場事前登録を行うときに、手持ちのEdyカードあるいはモバイルFeliCa(おサイフケータイ)に記載された16桁のEdy番号を登録しておく。これだけで、当日の入場がスムーズになる。

 当日はEdy入場カウンターに行き、ノートPCの脇に設置されたパソリ(PCに接続して使用するFeliCaのリーダー/ライター)に、Edyのカードあるいはおサイフケータイをかざすだけ。パソリがEdy番号を読み取ると、16桁のEdy番号がノートPCの画面に表示され、入場券がプリントアウトされる。

 通常であれば、予約番号を入力・照会する作業が、FeliCaカード/おサイフケータイをかざし、読み取るだけでできる仕組みだ。


Edy専用カウンターにはノートPC、パソリ、プリンタが設置されており、Edyカードやおサイフケータイをかざすだけで入場券を発券できる(左)

NEC「わくわくu-Train」

 NECブースで参考出展されていたのが、モバイルFeliCaを利用して、観光地や電車・バスの車内、イベント会場で、モバイルコマースを利用してもらうという試みだ。

 電車の車内にFeliCaのリーダー/ライターを設置、おサイフケータイをかざすと「わくわくu-Train」という名称のアプリが起動する。中には「切符とマネー」「今日の電車コラム」「タッチ&Game」など、車内で楽しめるようなコンテンツが用意されている。

 「広告案内」と題されたメニューを選ぶと、実際に車内に掲示されている中吊り広告が表示される。雑誌の中吊り広告などの場合、並んだタイトルから読みたいものをクリックすると、記事の内容をダウンロードでき、携帯で中身を読める仕組み。1本あたりの記事は雑誌1冊よりも安い数十円程度、決済方法にはおサイフケータイの決済機能(Edyなど)やキャリアの料金回収代行などを用いることを想定している。


「わくわくu-Train」の起動画面。デモではiアプリ版のみだった。車内で利用できるようなコンテンツが用意されている(左)。車内の中吊り広告と同じテキストが携帯電話に表示され、お金を払えば携帯でそのまま中身の記事を読める。タイトルが気になって中身を読みたいと思っても、電車を降りる頃には忘れていたり、その雑誌が売店で売られていなかったりして記事を読めないということがなくなる(右)

 電車やバスの車内広告での利用を模したデモを行っていたが、そのほか観光地やイベント会場での利用を促進したい考えだ。インフラには、NECが開発・販売しているおサイフケータイ対応システム「トクトクポケット」の利用を想定している。トクトクポケットは、サークルKサンクス(2月17日の記事参照)やH.I.S.(9月7日の記事参照)の会員証システムとして採用されている。

おサイフケータイ+手のひら静脈認証

 富士通ブースでは、銀行のATMを想定した「おサイフケータイ+手のひら静脈認証」のデモが行われていた。

 静脈認証は生体認証技術の一種で、手のひらや指に走っている静脈のパターンが1人1人違うことを利用して、個人認証を行う仕組みだ。赤血球中のヘモグロビンが近赤外線を吸収する性質を利用し、指や手のひらに近赤外線を照射して静脈パターンを読み取る。

 開発メーカーによって、どこの静脈を見るか、また反射光を読み取るか、透過光を読み取るかなどの違いがある。富士通では、手のひらに近赤外線を照射し、その反射光を読み取る方式を採用、製品化している。現在、東京三菱銀行の一部ATMで導入されている。

 東京三菱銀行のシステムでは、手のひらの静脈パターン情報をICチップに埋め込まれているが、今回のデモでは、携帯の中のFeliCaチップ内のメモリに書き込んでいる。おサイフケータイをFeliCaリーダー/ライターにかざしてFeliCaチップの中に書き込まれた静脈パターンを読み出し、これがかざした手のひらの静脈パターンと一致して初めてATMからお金を下ろせるというデモだ。

 「銀行のATMで利用されている磁気カードは1枚数十円で作れるが、現在手のひら静脈認証ATMに対応したICチップ入りキャッシュカードは。1枚1000円くらいかかってしまう。おサイフケータイを利用してもらえれば銀行側ではキャッシュカードを発行するコストがかからないし、利用者側にとってもカードが増えなくて済むのはメリット。すべてをFeliCaにしようとは思わないが、ラインアップの1つとしてはアリだと思う」(説明員)

 ただしFeliCaチップ内のメモリ領域が少ないこと、モバイルFeliCa端末の普及がまだまだ進んでいないことから、現在はまだ実用化は難しい、としていた。


ATMにおサイフケータイと手のひらをかざして利用する。FeliCaチップに書き込まれた静脈パターンと、手のひらの静脈パターンが一致すれば本人と認証される

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