携帯をクレジットカードに──クレジット10社、KDDI、ボーダフォンが推進(2/2 ページ)
JCBを中心としたクレジットカード会社10社と、KDDI、ボーダフォン、JTBは、「おサイフケータイ」などモバイル環境での少額決済を推進する協議会を設立。「QUICPay」をベースに各社システムの共通化を目指す。
狙いは60兆円の少額決済市場──クレジットの2倍の市場
各社がこうした新方式に注目するのは、少額決済市場という巨大な市場がおサイフケータイの周りに広がっているからだ。
「少額決済市場は60兆円ある。この市場を取り込めば、(現在27兆円の)クレジットカード市場は飛躍的に拡大する。おサイフケータイは600万台以上が稼働しており、2009年には3200万台に達する。少額の決済プラットフォームとしての素地はできあがった」(モバイル決済推進協議会の会長である、JCBの信原啓也社長)
しかし、この市場に対して各社は既に独自の取り組みも進めている。
ドコモ、三井住友クレジットは別プラットフォーム?
クレジットカードが携帯電話に入ったとき、複数のプラットフォームが乱立している状態は、ユーザーにとっても店舗にとっても勝手が悪い。決済プラットフォームが共通化に向けて進むのは、次第に読み取り機が共通化されてきたクレジットカードの例を見ても当然の流れだ。
しかし今回の協議会には、おサイフケータイの稼動台数のほとんどを占めるドコモと、業界大手の三井住友カードが含まれていない。
「ドコモや三井住友カードも、(店舗に置くのは)汎用端末でやりたいという意向があると思う。しかし現時点では、そこまで合意に至っていない。社会の大きな決済インフラにならないと、消費者、加盟店には受け入れられないだろう。ドコモ、三井住友カードにも、配慮していただけるよう、継続して参加をお願いしている」と、モバイル決済推進協議会の会長であるJCBの信原啓也社長は話す。
ドコモと三井住友カードは、おサイフケータイ向けに新クレジットブランドを立ち上げる計画を持っており(4月27日の記事参照)、併せて決済インフラについても独自に立ち上げる方針だ。ドコモはJR東日本と組んで、新クレジットブランドとSuica電子マネーの両方が利用できる共通インフラを構築することを発表している(7月28日の記事参照)。クレジットカード事業者としてのドコモの計画は、QUICPay推進の協議会と対立する構図になるという見方もある。
協議会の会員の中にも、UFJニコスなど独自におサイフケータイを使ったキャッシング対応を進めている企業もあある(7月29日の記事参照)。UFJニコスはQUICPay導入について「加盟店の利便性を考えながら、検討をしていきたい」としており、規格の一本化は容易ではなさそうだ。
なお、ドコモなどを含めた規格の共通化については、「技術的には可能だと思っている。課題は運用面だ」(協議会事務局)とした。
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