Nokiaが描く企業向け携帯ソリューションの突破口:インタビュー
ビジネス向け端末「Eseries」やNokia Business Centerなど、企業向け携帯ソリューションに力を注ぐNokiaに、その展望、そしてIntellisyncの買収について聞いた。
ビジネス向け端末「Eseries」と共に、Nokia Business CenterなどプッシュEメールと組み合わせる企業向けミドルウェアを提供するNokia。企業向けソリューションの展望と、Intellisyncの買収について聞いた。
プッシュEメールの重要性
――日本のようなエンタープライズモバイルの環境がまだ整っていない国では、最初のステップはどこから始まるのでしょうか。
Nokia:最初のステップは、Eメールになると思っている。日本の消費者の間ではSMSが非常に盛んだが、ビジネス環境においてはEメールがファーストステップとなる。ただしEメールだけではなく、ある人たちはEメールから、ある人はSFA(セールス・フォース・オートメーション)、そのほかのアプリケーションから入る場合もあるだろう。
――日本では、携帯電話を使ったビジネスソリューションの普及が遅れている状況です。海外との状況の違いをどう見ていますか。
Nokia:どの国でもまだプッシュEメールの普及率は低い状況だ。世界でもプッシュEメールの利用者はわずか600万にすぎない。企業のPCを使ったメールボックスは2億ほどあるが、プッシュEメールの市場規模はそれほど大きくはない。まずコストの面だ。もう少し安くなれば変わってくる。例えばNokia Business Centerでは無料でプッシュEメールのサービスを行っている。データ通信プランもそうだ。サービスの費用がもう少し安ければ、従業員にも利用させられるようになるだろう。
自分でも、どうして普及率が低いのか分からないほどだ。例えば先ほどのプレゼンテーションが終わったのは30分前だが、(このインタビューまでの)30分の間に、(携帯電話へのプッシュEメールのソリューションを使い)15通もEメールの返信を行った。自分の意見や情報、決定を待っている人たちはあちこちにいるわけで、プッシュEメールによってこの時間が死んだ時間にならず活用できる。
――今年に入ってから日本のキャリアも、ビジネス市場を熱心に見るようになってきています。Nokiaにとっても、日本市場についていいチャンスでしょう。日本への取り組みについて教えてください。
Nokia:日本には非常に大きなチャンスがあると思っている。ビジネス市場に関して新たに関心が高まってきており、特に大手の通信会社にはチャンスがある。日本の市場の夜明けに差しかかっている。Nokiaでは、日本のリーディングキャリアと今、協業できるように力を入れている。
IntellisyncはNokia Business Centerと統合へ
――Intellisyncの買収(11月17日の記事参照)に関して教えてください。Nokiaの狙いはどこにあったのでしょうか。
Nokia:まずNokiaのビジョンや戦略を加速するのが狙いだ。Intellisyncという会社は確立したマルチデバイスマネージャー技術を持っており、さらにマルチベンダーとEメールソリューションを持っている。エンタープライズ市場で成功するにはマルチベンダー、マルチデバイスマネージャは非常に重要なことだ。Intellisyncの持つマルチプラットフォーム、マルチデバイスの同期化が、Nokiaの戦略を強化してくれる。
――買収後、Intellisyncをどう位置づけるのでしょうか。Nokia Business Centerと組み合わせるのでしょうか。
Nokia:長期的にはそうだ。それぞれの一番いいところを取って、統合していく。統合したEメールのソリューションを提供したいと考えている。
――最後にEシリーズの端末について教えてください。コンシューマの携帯と、ビジネスに最適化された端末はどう違うと捉えればいいのでしょうか。
Nokia:1つはライフサイクル。市場に出回っている期間をこれまでよりも長くするということだ。同時に、デバイスが変わるときに企業が計画を立てられるよう、早めに知らせるようにする。
さらに端末が変わっても、サポートも共通でできるのも重要だ。ファーストコール・ファイナルレゾリューションと言っているが、サポートに電話がかかってきたら、受けた同じ人が解決方法を提示できるようにしている。
Eシリーズに共通していえることだが、機械的な意味でロックしたり、データを消去する仕組みを持っている。そうしたことも特徴だといえる。
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