Bluetoothの設定手順は統一すべき:神尾寿の時事日想
Bluetooth対応の携帯電話が増えつつある。Bluetooth機器を利用するには設定が必要だが、現状、その手順はクルマ側も携帯側もバラバラだ。
先週末、ある自動車系メディアの複数車種横断試乗テスト、いわゆる「一気乗り」に参加してきた。試乗したのはレクサスGS、日産フーガ、ホンダ シビックハイブリッドと、アウディのA8。このうち国産車3台は、純正カーナビがBluetoothハンズフリーフォンに対応している。
今回の試乗テストでは、国内のBluetooth対応携帯電話と各自動車のハンズフリーフォンシステムとの接続テストも行った。Bluetooth携帯電話は、ドコモ、au、ボーダフォンのBluetooth携帯電話を合計8台で、それを各車のBluetoothハンズフリーフォンシステムに初期登録し、利用できる機能を確認するという、気の遠くなる作業だ。
接続手順の不統一で使いにくさもひとしお
接続テストの結果については、近日中にレスポンスで記事になるので、興味のある方はそちらを読んでいただきたいと思う。今回のコラムのテーマは、このテストで感じた「接続手順の不統一」という問題だ。
周知の通り、Bluetoothハンズフリーの利用には機器同士の初期登録「ペアリング」という作業が必要になる。この手順がそもそも面倒な上に、今回、痛感したのは各社が接続手順を統一していないので、さらに分かりにくいのだ。
まず、自動車メーカー側の対応だが、トヨタ、日産、ホンダでBluetooth関連の設定メニューが異なり、操作手順が違う。比較的マシなのは設定メニューが見つけやすく、設定項目が少ないトヨタ。日産とホンダは、使用するキャリアによって通信方式の設定までしなければならず、設定メニューの位置も見つけにくい。自動車メーカーは携帯電話キャリアに対して、Bluetoothハンズフリーフォンへの対応機種を増やすように要請しているが、その一方で「自動車業界の中でも、Bluetooth設定の用語や手順を統一していない」という課題がある。
Bluetooth携帯電話側のUIも、不統一で使いづらい。まず、キャリアごとに接続手順が異なり、同じキャリアでもメーカーが異なると設定メニューの位置や細かな手順に違いが出る。
今回のテストで使いやすいと感じたのは、ボーダフォンの903SHなどシャープ製の端末。ボーダフォンの端末は設定メニューの位置に違いがあっても、階層の構造や用語は統一されており、総じてBluetooth関連の設定や操作がしやすかった。一方、ドコモのFOMA M1000は端末の素性からしてしかたがないが、設定方法が一般的な携帯電話とはかけ離れており使いにくい。またauのW32Tの初期設定は、単独で使うにはわかりやすいのだが、他のBluetooth携帯電話とは手順が異なっており、端末を乗り換えた時には混乱しそうだ。
Bluetoothの普及には「UIの統一」が必要
運転中の携帯電話利用については、法律で認められているハンズフリーシステムの利用に関しても様々な意見がある。しかし、世界的に見ればBluetoothハンズフリーフォンは欧米を中心に普及しており、日本の大手自動車メーカーも対応に積極的だ。職業ドライバーのニーズと安全の両立を考えても、自動車業界と携帯電話業界が協同で、Bluetoothハンズフリーフォンの普及とUIの統一、使いやすさの向上にもっと積極的になった方がいいだろう。特に設定画面の構造と手順については、共通化していくべきだ。
また、携帯電話業界の中でも、各キャリアとメーカーで「Bluetooth関連」のメニュー構造は統一化したほうがいい。携帯電話はクルマよりも“乗り換え”が頻繁であるし、ハンズフリーフォン以外にも様々な用途で利用できるからだ。
例えば、Bluetoothに注力するノキアでは、ヘッドセットだけでなく、Bluetoothデジタルペンなどの周辺機器を販売。欧米では、Bluetoothデジタルペンと携帯電話を組み合わせた法人向けソリューションも存在する。さらに日本でも今後増えそうなのが、PCとのデータシンクロや、買い増しした携帯電話に電話帳などの内部データをユーザー自身で転送するといった使い方だ。特に後者は、FOMAの買い増しユーザーの増加など、SIMカード交換をする機会が増えることでニーズが現れてくると思う。
ドコモのP902iなど人気機種に搭載されることもあり、日本でもようやくBluetooth携帯電話が増えそうだ。自動車分野のみならず、関連機器も着実に増え始めている。そのような今だからこそ、Bluetooth関連のUIを使いやすく統一することを考えてもいいのではないだろうか。
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