「iD」でなく「QUICPay」?――ドコモ四国の立場 :おサイフケータイでクレジット
おサイフケータイで利用できるクレジット「iD」の普及に努めるNTTドコモだが、NTTドコモ四国は競合するQUICPayの普及に協力的だ。ドコモ四国にその理由を聞いてみた。
NTTドコモ四国が、高松市の丸亀町商店街に「QUICPay」を導入したことを発表した(12月9日の記事参照)。このニュースを見て「おや?」と思った方もいるのではないだろうか。
現在、おサイフケータイで利用できるクレジットサービスは3つある。JCBが開発・推進している「QUICPay」、UFJニコスが進める「スマートプラス」、そしてドコモの「iD」だ。iDの第1弾は、三井住友カードのユーザーが利用できる「三井住友カードiD」で、12月1日にサービス提供を開始したばかり(12月1日の記事参照)。
いずれも、FeliCa対応のシステムである点や、専用アプリをおサイフケータイにインストールして利用する点、それぞれのクレジットカードユーザーが追加サービスとして申し込む点などは共通している。すべて「おサイフケータイで使えるクレジットカードサービス」であり、ユーザーから見れば使えるクレジットブランド程度しか違いはない。
しかし加盟店から見れば、この3つのシステムは全く異なるもので、互換性がない。QUICPayの端末にiD用アプリをインストールしたおサイフケータイをかざしても、利用することはできないのだ。
通信事業者としての立場、クレジットカード事業者としての立場
ドコモは現在、iDの普及に向けて精力的に取り組んでいる。「おサイフケータイ+クレジット」としては最後発となるiDだが、2006年以降は、三井住友カード以外のカード事業者もiDに参入するほか、NTTドコモ自身もクレジットカード事業に乗り出す予定だ。
ドコモはおサイフケータイのプラットフォームを推進する通信事業者としての立場だけでなく、クレジットカード事業者としての立場も加わることになる。そのドコモの地域会社であるNTTドコモ四国が、iDの競合であるQUICPayの導入を発表することに、少々違和感を覚えるのは、記者だけではないだろう。QUICPay導入の狙いについて、NTTドコモ四国の広報部に聞いてみた。
――QUICPay導入の狙いについて教えてください。四国でQUICPayの導入例は何カ所目になるのでしょうか?
ドコモ四国「四国で面としてQUICPayが利用できるのは、高松シンボルタワー――これは弊社の入っているビルでもあるのですが――に続き、丸亀町商店街が2カ所目となります。おサイフケータイが使えるところが広がり、ユーザーの方が便利に使っていただける環境を作ることになると考えています」
――御社はiDを推進する立場ですよね。iDとQUICPayは競合しませんか。
ドコモ四国「当社の立場としては、iDが確かにメインではあるのですが……(iDとQUICPayの)二本立てで進めることになると思います。JCBさんは努力されてますし、その結果QUICPayが普及すれば、おサイフケータイが利用できるところが広がりますから」
自社でiDというクレジットブランドを推進しながら、おサイフケータイ利用の普及にも努めなくてはならないドコモ。その立場はやはり複雑、といえそうだ。
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