「モバイルコマースは拡大し続けている」――auのEC戦略:Interview(2/2 ページ)
携帯電話でサイトをチェックしてモノを買う“モバイルコマース市場”が急成長中だ。ショッピングポータルの新設や、回収代行サービス「まとめてau支払い」など、熱心に各種の施策を打ち出しているauの目的は何か。
決済方法としては、ユーザー層の広さや年齢分布の影響もあり、代金引換とまとめてau支払いの利用が多いという。
連携を広めて「入り口」を増やす
現在、auでは様々な分野で連携を増やしている。例えば、LISMOではPCインターネットと連携し、地上デジタルワンセグ放送やFMラジオなど放送メディアとの連携にも積極的だ。この流れにauのモバイルコマースも乗るのだろうか。
「まずPC連携は、当然ながら考えています。我々はたまたまauの携帯電話から入り口を広げてきていますけれども、最終的にはお客様の入り口はどこにあってもいい。携帯電話とPCがシンクロされた世界を作るという将来に向けたスタンスでは、eコマースとLISMOは同じ考えを持っています」(長島氏)
LISMOはデジタルコンテンツ分野においてFMCを実現しようとしているが、同様の取り組みがeコマース分野において起こる可能性は高いという。
一方、放送との連携はすでに始まっており、今後の強化ポイントのひとつだ。
「FMラジオとの連携は2006年2月から始まっています。放送中のラジオで楽曲情報をNOW ON AIRで取り込んだ時にアスタリスクボタンを押すと、着うたや着うたフルだけでなく、音楽CDまで買えます。すでにアクセス数の伸びで手応えを感じています。また、リーチという点ではワンセグにも期待しています。テレビ番組とモバイルコマースが結びつけば、多くの購買に繋がる。ワンセグ連携は今年、力を入れていく部分ですね」(長島氏)
しかし、ワンセグには権利処理の問題や、放送局・広告代理店との調整など課題が多いのも事実だ。
「(権利処理など)諸問題をクリアすれば、ワンセグとモバイルコマースとの連携はものすごく単純なモデルが作れるんだと思うのです。ただ、現在は環境がシンプルではないので、関係者全員が『潜在力がある』と口を揃えても、実際の形がなかなか見えてこない。放送局サイトも物販をやっていますし、スポンサーとの関係をどうするのか、という問題もある。このあたりはしっかりと議論していかなければならない。
おそらく(ワンセグ放送の始まる)4月の段階では具体的な形にはならないと思いますが、ここは慎重に整理しないと、将来的にややこしい話になってしまう。諸問題の整理さえつけば、実際のサービスにするのは時間はかかりませんから、関係者すべてが納得できる形を考えていかなければならないでしょう」(長島氏)
auショッピングモールでサービスを強化する
KDDIは2月23日からディー・エヌ・エーとの協業で新たなeコマースポータル「au Shopping Mall」を開始すると発表している(1月26日の記事参照)。従来のauでオカイモノとの違いや狙いはどこにあるのか。
「これまで、auでオカイモノはリンク集という位置づけだったのですが、au Shopping Mallでは新たに『モール形式』に変更します。現在のauでオカイモノ登録事業者様には、モールへの移行をしていただきます。ユーザーから見た場合は、従来のauでオカイモノがあった場所がau Shopping Mallに変わる形ですね。
au Shopping Mallでは、モール内の横断的な商品検索機能やお客様属性に応じたリコメンド機能が使えるほか、店舗を越えて利用できる『au Shopping Mallポイント』も始めます。単に店舗のリンク集だったauでオカイモノでは、これらの機能は無理だったものですが、au Shopping Mallでは可能になります」(長島氏)
auでは以前から「検索とリコメンド」を重視しており、EZwebのサイトの検索はもちろん、EZ music!のアーティスト名による横断的な楽曲検索や、LISMOのうたともによる着うたフルのリコメンド販売の仕組みなどを作っている。2月23日からのau Shopping Mallへの移行は、これらコンテンツ・メディアに対する全体的な戦略・潮流にあわせたものだ。ユーザーから見ても、いちいちサイトを訪れて商品を探す必要がなくなり、より利便性は高まるだろう。
「モバイルコマース市場はものすごい勢いで成長していて、2006年もこの傾向は続くでしょう。市場全体の飽和点にはまったく達していないのが現状ですから、新たな店舗事業者が参入する余地も大きい。今後もさらに成長するでしょう。一方で、今年は安全・安心へのユーザーの関心やニーズが高くなる一年でもあると思います。利便性とセキュリティの両面における強化を、新たなau Shopping Mallでさらに進めていきます」(長島氏)
携帯電話の進化にあわせて力強く成長するモバイルコマースは、今後の携帯電話ビジネスにおいて重要な柱であり、新市場の創出効果も大きい。特に今後のコンテンツメディア連携、FMCへの関わりは注目である。
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