「かっこいいカードがほしかった」──ブランドにこだわるDCMX
DCMXでは、細部のデザインにまで徹底的にこだわっている。カードデザインから利用明細、カードリーダー/ライター、認証時の音までをDCMX専用に用意した。
ドコモの夏野剛氏は、DCMXの発表会(4月4日の記事参照)で、DCMXのブランド戦略について話した。同氏は、クレジットカードには「どうもかっこいいカードがない」と嘆く。「普段あまり使っていないものも含めて、今自分が持っているカードをいくつか思い浮かべてみても、みな今ひとつだ」
だからこそ「DCMXでは、あらゆるフェーズでデザインにこだわった」(夏野氏)という。カードのデザインからカードリーダー/ライターの形状、動作時の音、DCMXアプリや入会用Webページ、請求書などのデザイン、そしてDCMXが体験できるDCMX SITEや表参道にオープンするDCMXコンセプトカフェまで、デザイナーを起用してトータルにプロデュースしている。
DCMXのブランディングは、iDのブランディングなども担当した水野学氏が手がける。DCMXの名前の由来は、ドコモを表すDCMと、未知数を意味するXを組み合わせたものだという。“DoCoMo”というブランドが、今後クレジットの分野で大きく羽ばたいていくという意味を込めている。
水野氏は「ロゴをデザインする際には欧州、特に中欧や東欧の、昔からある金融機関をイメージした」と話した。「古さの中で信頼感を抱かせ、それでいて古くさく感じられることのないよう、先進性が感じられるデザインに仕上げ」ている。「信頼感」があり、かつ「先進的」であるドコモのクレジットカードサービスを象徴するロゴというわけだ。
また可読性や視認性ばかりを追求したロゴが多い昨今、その中に埋もれてしまうことがないよう配慮しつつ、あまり軽い感じにもならないように、DCMXのエンブレムもデザインした。こちらも信頼感を持たせるために昔からあるものをうまく利用している。エンブレムは、信頼の証しである「王冠」、お金を意味する「通貨」、電話を表す「ダイヤルキー」、そして新しい世界への挑戦を示す「世界地図」を盾の上に描いたデザインとなっていて、“かっこよさ”を醸し出すための重要な要素となっている。
さらに、利用明細書や送付用の封筒、申込用紙からユーザー向けWebサイトまで、およそユーザーに触れる部分はすべて専用のデザインを施した。夏野氏は「ドコモの携帯料金の請求書もあまりかっこいいとは思わないが、DCMXの請求書は一番しゃれていると思ってもらえるようにした」と話す。
DCMXのスタートに合わせて用意した専用のカードリーダー/ライターは、工業デザイナーの山中俊治氏の手によるもの。同氏はSuica自動改札機を実用化する際のキーパーソンでもある。リーダー/ライターの上部には、金額やメッセージを表示する大きめのディスプレイを斜めに配置。カードだけでなく、さまざまな形状の携帯電話も置きやすいよう、アンテナエリアを円形にするなど、ユーザーの心理に配慮したデザインとなっている。読み取り部の周囲には円形のLEDを配し、待機中は緑に、読み取りおよび認証中には青く、そして認証が完了すると白く光る。
支払いの完了時や未完時、エラー時などの効果音は、作曲家の小久保隆氏が作曲するという念の入れよう。同氏は「メロディーコール」サービスの初期楽曲の作曲なども担当している。
このほかドコモは、DCMXのコンセプトカフェ「DCMX Cafe」を、表参道の紀伊国屋跡地に4月28日から開設する。DCMXのサービスが実際に体験できる「DCMX SITE」も、新宿の伊勢丹隣、三井住友銀行新宿通支店CSコーナー内に2006年5月末にオープン予定だ。このDCMX CafeとDCMX SITEは、日産銀座ギャラリーなどをデザインしたデザイナー、文田昭仁氏がデザインした。
DCMX Cafeは、骨董通りを望む場所に位置し、ゆったりとした雰囲気のくつろげるカフェ。もちろんDCMXで支払いができる。DCMX SITEでは、実際のサービスを体験できるほか、DCMXの入会手続きを受け付けたり、使い方などに関する質問の受けたりもできるようにする。最新のドコモ端末の展示も行う計画だ。
広告デザインにはクリエイティブディレクターの友原琢也氏、コピーライターの太田恵美氏も参画している。
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