スカパー!「ケータイ連携」の注目点 :神尾寿の時事日想:
今年のワールドカップは、従来型メディアとPC向け動画配信、携帯電話が本格的に連携する、初の大会になりそうだ。スカパー!の取り組みの中でも、筆者が特に注目しているのが、コンテンツの鍵開けを携帯にやらせる「モンKey」だ。
FIFAワールドカップが開催直前になり、各メディアの取り組みも熱くなってきている。特に今年は、4年前の前回に比べて、インターネットやモバイルの技術・サービス発展が著しく進んでいる。ユーザーがこういった新たなメディアやツールをどれだけ活用するかが注目である。
従来型メディアと携帯電話の連携も、今回のワールドカップにおける注目の1つだろう。スカパー!が、衛星放送、パブリックビューイング、インターネット、モバイルの4つのメディアを連携させたコンテンツ戦略を打ち出したが(6月6日の記事参照)、こういったメディア連携がどこまでスムーズに行われ、どれほどのユーザーに受け入れられるかは、今後の“放送と通信の連携”を考える上で興味深い試みである。
携帯電話を決済インフラにする「モンKey」
今回のスカパー!の取り組みの中で、筆者が特に注目しているのが、コンテンツの鍵開け用システム「モンKey」だ。
モンKeyでは、配信されるコンテンツが個別の認証用QRコードを持ち、それを携帯電話側のアプリで撮影すると鍵開けするコンテンツが認識される。続けて携帯電話側で決済をすると、その情報がサーバー側で確認されて、PC側のコンテンツ再生が始まる仕組みだ。
「モンKeyでの決済方法としては、Edyなど電子マネーの(携帯電話側での)利用や、キャリア決済などが考えられる。モンKeyは、インターネット上でのクレジットカード利用を好まないユーザーや、クレジットカードを持たない層などを取り込み、(スカパー!のPC向け動画配信の)裾野を広げる上で重要なもの」(スカイパーフェクト・コミュニケーションズの池田邦彦事業開発推進部長)
PC向け動画配信は複数のサービスが堅実に成長しているが、完全無料放送の「GyaO」を除けば、決済方法をどうするかが課題になっている(4月21日の記事参照)。特に映像系サービスは潜在ユーザー層の裾野が広いため、クレジットカード以外の手軽で安心して使える決済ニーズが高い。
モンKeyのようにPC側のコンテンツ配信と連携し、携帯電話側で電子マネー決済などを行うツールの必要性と可能性は小さくないはずだ。
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