Nokiaの端末ビジネス、そしてS60の最新事情は?――Forum Nokia Japan Summit
ノキアがデベロッパーを支援するために開催しているコミュニティがForum Nokiaだ。また、「E60」「E61」に搭載されているS60の最新バージョンの3rd Editionについても聞いた。
ノキア・ジャパンは6月16日、デベロッパー向けのイベント「Forum Nokia Japan Summit」を開催した。イベントのメインテーマは「Nokiaが提供する統一プラットフォームを利用することにより、携帯向けコンテンツビジネスは容易に海外に進出できるようになる」というものだ。
Nokiaは、コンテンツプロバイダ(CP)や通信事業者などデベロッパー向けに開発環境や各種情報を提供するコミュニティ「Forum Nokia」と、その上位組織である「Forum Nokia PRO」(2004年5月19日の記事参照)を主催している。世界中でForum Nokiaに登録しているデベロッパーは250万人以上、Forum Nokia PROに登録しているデベロッパーは400社以上いるという。
Forum Nokia日本代表の遠藤元宏氏は、日本のForum Nokia/Forum Nokia PROの現状について説明した。現在、Forum Nokia Japanに登録しているデベロッパーが約3万7000人、Forum Nokia PRO Japanが約30社。Forum Nokiaに登録すると、SDKやPC用開発ツール、技術資料をダウンロードでき、さらにForum Nokia PRO Japanに参加すると、よりきめ細かいサービスを受けられる。Forum Nokia JapanではPROメンバーに対して、例えば日本語によるテクニカルサポートやトレーニングを提供しているほか、Nokiaが海外で主催するイベントに招待したり、日本未発売のNokia端末の貸し出しを行ったりしている。
遠藤氏はForum Nokia PRO Japanが海外展開している好例として、台湾のオペレーター「中華電信」へナビゲーションサービスを提供しているナビタイムジャパンの例を挙げた(3月15日の記事参照)。「日本人の特徴かもしれないが、皆礼儀正しくてシャイ。ビジネスにはもっとアグレッシブになってほしいと思っている。また、日本人にはどうも、自分たちの技術を過小評価するところがあると思う。(日本のCPが)もっと世界へ出て行けるよう、皆さんの背中を押すような仕事をしたい」(遠藤氏)
S60最新事情
Nokiaの端末プラットフォームと、その1つである「S60」(旧名称Series 60、2005年11月1日の記事参照)の最新情報について説明したのは、ベンジャミン・タン氏だ。
NokiaはSeries 40/S60/Series 80という3種類の端末プラットフォームを展開している。タン氏はS60が世界のスマートフォン市場で最も高いシェアを誇る、とグラフを示して説明。「S60はスマートフォン市場で独走している。Windows Mobileなど、ほかのOSは下のところをのたうち回っている」(タン氏)
初のS60採用端末が出たのが2002年。S60は5年目に入り、新機能を追加しながらバージョンを上げてきている。現在S60の最新バージョンは、S60 3rd Edition。日本でも発売が決定した「E60」「E61」(6月7日の記事参照)は、3rd Edition対応機種だ。
3rd Editionでは、セキュリティ機能を強化しているほか、新しいブラウザを搭載し、音楽機能にも対応、Flash技術を組み込む(2005年2月12日の記事参照)など、さまざまな機能強化が図られている。
3rd Editionで追加された新機能の中でも、ハイライトとなるのが、プッシュEメールへの対応だ。Exchange ServerやLotus Notesなど、7種類の企業用バックエンドサーバと連携して、企業向けのメールを受信できるようになっている。企業サーバとNokia端末をつないで、BlackBerry(6月8日の記事参照)的なサービスが実現できるようになるわけだ。
BlackBerryのようなサービスに対応することについてForum Nokia アジア・パシフィックディレクターのシャンカー・ミーンパット氏は「Nokiaの端末とサーバをつなぐことでプッシュEメールに対応するようになったのは事実だが、NokiaはBlackBerryに対応した端末も提供している。オープンプラットフォーム、オープンアーキテクチャがNokiaの基本スタンスだ」と話した。
関連記事
- ライバルの登場がスマートフォン市場を広げる──Forum Nokia
5月25日から26日にかけて香港で開催された「Nokia Mobile Application Summit APAC 2005」。主催するForum Nokia Proの運営陣に、携帯市場やコンテンツビジネスの現状について聞いた。 - NokiaにとってS60/Series 60の位置づけとは?
スマートフォン向けプラットフォームとして、S60(Series 60)の展開に力を入れるNokia。Vodafone 702NK IIとしてNokia 6680を日本市場へ投入目前の同社に、日本市場参入の手応えやS60のメリットについて尋ねた。 - Nokia、Series 60の名称を「S60」に変更
- Nokiaの「Series 60」にFlash技術組み込み
- ナビタイムジャパン、「中華電信」に携帯ナビ技術を提供
- アジアで進む携帯とビジネスの融合──Nokia Mobile Application Summit
アジア各地でも携帯とビジネスの融合が進んでいる。香港で開催された「Nokia Mobile Application Summit APAC 2005」では、いくつかの事例が紹介された。 - ノキア、デベロッパー向け「Forum Nokia PRO」のサービス開始
- Nokiaが通信事業者とコンテンツ開発者をつなぐ〜Preminet
- ノキア、日本で初めてSeries 60トレーニング実施
日本語対応のW-CDMA端末「Nokia 6630」の国内投入を控え、ワールドワイドで大きなシェアを持つアプリケーションプラットフォームSeries 60の開発も活気づいてきた。 - Nokia、中国での研究開発強化
携帯電話機メーカーNokiaは、北京にCDMA研究開発施設を設立するほか、北京にあるNokia Product Creation Centerの製品設計と開発の規模を拡大。オープン標準と技術のローカライズを推進する技術プラットフォーム部門を新設する。 - 端末メーカー主導のコンテンツ戦略〜「Forum Nokia」
携帯コンテンツの配信には通信キャリアと端末メーカー、コンテンツプロバイダの3者の協力が不可欠。Nokiaが運営する「Forum Nokia」は、Nokia端末向けコンテンツの開発を支援、通信オペレータやコンテンツプロバイダとの間のコーディネートする役割を担う。 - Symbian OS、そして「Series 60」とは何か
Symbian OSとNokiaのUI、Series 60の組み合わせが、世界のスマートフォン市場で急速にシェアを伸ばそうとしている。Symbian OSそしてSeries 60とは何か。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.