次は“ワンセグ” 携帯電話ビジネスはさらに成長する──シャープ:Interview(2/2 ページ)
かつて2強といわれたNEC、パナソニック モバイルをおさえ、2005年度の通期で端末のトップシェアを獲得したシャープ。その強さの秘密と秋へ向けての見通しを通信システム事業本部長、長谷川祥典氏に尋ねた。
高性能を維持したまま小型化も重視
「ワンセグ以外の部分としましては、FeliCaを使ったおサイフケータイ機能が挙げられます。ここは日本市場では広がる分野ですから、使いやすさの向上も含めて力を入れていきます。また、もう1つ注目しているのが、(通信インフラの進化による)高速ダウンロード。今後は映像配信なども視野に入れて、端末機能を強化していきたい」(長谷川氏)
高性能化と“全部入り”の多機能さはシャープの特徴であり、それは今後も継続して行われる。一方で、小型化も重視していくという。「(シャープの端末は高性能だが)サイズが大きいとお客様にいわれ続けています。小型化、薄型化は力を入れていきたい。目指すのは、『多機能だけど小さい』シャープ製携帯電話です」(長谷川氏)
端末の小型化では、ストレート型やスライド型の採用など、折り畳み型以外のフォルムを選択するアプローチもある。しかし、シャープがこだわるのは、折り畳み型としての進化だ。
長谷川氏は「お客様の使いやすさでいうと折り畳み型に優位性がある。折り畳み型でもスリム化は可能ですし、サイクロイド液晶のような新たな進化もある。工夫のしどころは、多く残されている」とその可能性について話した。
海外市場進出の可能性
シャープは国内市場で躍進しているが、一方で、ほかの国内携帯電話メーカーと同じく、海外でのシェアは小さい。905SHのような斬新かつ精巧なモノ作りができるのに、海外市場で存在感が示せていないのは残念である。国内市場が成熟する中で、シャープは海外進出をどのように考えているのだろうか。
「今後、海外市場でも積極的に進出していきたいという考えはあります。しかし、Nokia(フィンランド)や韓Samsungと同じ事をやっていては、海外では戦えない。規模が違いすぎますから」(長谷川氏)
周知のとおり、NokiaやSamsungの携帯電話ビジネスは、グローバルな市場規模を背景に生産効率をあげて、ラインアップの拡大とコスト削減を実現するというものだ。この“規模の戦い”は、日本市場の仕様やルールに縛られてきた日本メーカーが最も苦手とするものだ。
シャープは技術的優位性を背景にオンリーワン商品を投入し、それを海外のキャリアと一緒に販売していく方法を考えているという。同社は現在、ボーダフォングループを通じて端末供給を行っている。ビジネス的にメリットがあれば、ほかのキャリアを通じて各国市場にも進出していきた意向だ。
市場が成熟期に入っても、ビジネスの成長は続く
シャープは今秋、au向け端末市場にも参入する。これにより国内3キャリアへの供給体制が完成する。
「auでもシャープらしい端末を求める声が多いと聞いています。我々としては、幅広いお客様にシャープ製の携帯電話を使っていただきたいので、au参入はその一環という位置づけです。シャープとしては、それぞれのキャリアにいい端末を供給していきたい」(長谷川氏)
日本市場を鑑みると、MNPの後には累計利用者数の飽和から、携帯電話ビジネスが活気を失うのではないかという消極的な見方もある。しかし長谷川氏は、「(日本の)携帯電話はまだまだ発展する」と話す。
「これまでの市場サイクルを分析すると、2〜3年おきに新しいトレンドが生まれて需要が拡大する。今は3G(への移行)からワンセグにトレンドが移動している段階です。今はまだ見えていない技術でも、次々と新しいトレンドが生まれてくると思います。また、携帯電話は生活必需品であり、1人1台は持っている。一定規模の買い換え市場は将来的に続いていくわけです。(市場の)台数ベースの拡大がなくても、携帯電話ビジネスは確実な発展と成長が望めます」(長谷川氏)
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