iD、QUICPayは競合ではない――UFJニコス(後編):Interview(2/2 ページ)
とかく「三つ巴」といったとらえ方をされることが多いiD、QUICPay、スマートプラスだが、UFJニコスでは「他の2方式と競合するものではない」と説明する。インタビュー最終回では、iDを進めるドコモ、モバイル決済推進協議会の中心的存在であるJCBとの関係・違いについて聞いていく。
モバイル決済推進協議会との関係
モバイル決済推進協議会(MOPPA)(2005年10月25日の記事参照)は、携帯などを利用した非接触決済の普及などを目的としてJCBが中心となって立ち上げた団体で、2006年6月2日現在、クレジットカード会社を中心に76社が会員となっている。大手クレジットカード会社はほとんどが会員だが、三井住友カードは加盟していない。また、携帯キャリアはボーダフォンとKDDIなどは会員だが、NTTドコモは加盟していない。
UFJニコスは、モバイル決済推進協議会に理事会員として参加しているが、モバイル決済推進協議会が推進する決済スキームは、JCBが開発したQUICPayだ。異なる方式で展開しているUFJニコスは、どのように考えているのだろうか。
「モバイル決済推進協議会の目的は、“非接触・モバイル決済サービスの普及促進を目指す”ということで参加している。現時点ではQUICPayを推奨しているが、QUICPayしかやらない、とかそういうことにはなっていないはず。我々も現在のスマートプラスが万能とは思っていないし、QUICPayのようなASP的なサービスにもメリットがある。協議会の協議の中でより良いものができれば、受け入れる余地は十分ある」(鳴川氏)
自販機の売り上げが3倍に
ところで、現金でお金を払うのと、携帯クレジットでお金を払うのとでは、ユーザーの心理や行動に差は出ないのだろうか。鳴川氏が指摘していたのが、自動販売機の例だ。
UFJニコスは、アサヒビバレッジサービスと共同で、スマートプラスで決済できる自動販売機を開発し、本社ビル内で試験運用中だ(2005年12月12日の記事参照)。実験のため、中の商品を入れ替えながら運用している。
スマートプラス対応の自動販売機を、社内の普通の自動販売機を1台あたりの売上で比べると、普通の自動販売機の3倍の売上だという。「普通の自販機では100円のものから売れていくのに、スマートプラスでは130円から売れていく。あと、高いリポビタンDもとてもよく売れる。後払い(クレジットカード払い)が商品の価格の差を消していると思う」(鳴川氏)
非接触IC決済に対応した自販機は、少しずつ増えつつある。都内ではEdyやSuica電子マネーが利用できる自販機を見ることが増えてきたし、先行してCmode対応自動販売機を展開してきた日本コカ・コーラは、先日iDへの対応を発表している。
現金の場合と違い、おつりの心配がない自動販売機では、きめ細かい値付けや割引が可能になる。スマートプラス対応自販機の例が示すように、高い商品も抵抗なく買ってもらえる、という効果も期待できる。
現在スマートプラス対応自動販売機は、社内の40台だけが運用されているが、2006年12月からは一般展開が始まる予定だ。
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