5分で決済完了――手軽さでユーザーを増やす「携帯電話小額決済」とは:韓国携帯事情(2/2 ページ)
コンテンツの購入代金を、携帯電話の利用料金とまとめて支払うことが一般的な韓国。しかし、未成年の住民登録番号盗用などが原因となって本人確認の重要性が増している。
不正使用と収益の間で悩む「無線公認認証」導入
この携帯電話 小額決済には問題点もある。未成年が父母など家族の携帯電話番号や住民登録番号を借用して決済する、ということが時おり発生しているのだ。
これは数年前から顕在化していたもので、問題が起こるたびに未成年が携帯電話で決済するには、「公認認証書」がなければ決済できないようなシステムを導入しようという論議が起こった。
公認認証書とは公的機関などが発行する電子証明書で、オンライン上で金融取引を行う際に、確かに本人であることを証明するものだ。この証明書には番号が記されており、決済時に入力して本人証明を行う。
公認認証書は固定のブロードバンド網では利用していたが、携帯電話など無線ネットワーク上では行われていなかった。システム自体は2003年頃に完成していたが、携帯電話での金融取引が固定回線よりもかなり少ないなどの理由で、まったく利用されていなかったのだ。
しかし、未成年が住民登録番号を盗用する以外にも、携帯電話の金融サービスで類似した事件も起こったため、本人確認やセキュリティーは大変重要な課題となっている。そこで韓国政府の情報通信部は関連業界の各社と協力し、今後「無線公認認証書」の活性化に本腰を入れる方針を固めている。
ところで2003年当時、携帯電話 小額決済が主要決済手段であるゲームメーカーなどは、無線公認認証書の実施に難色を示したという経緯がある。というのも、無線公認認証書の採用によって年齢制限が厳格化すれば、主要顧客である未成年の利用が減り、自社の売り上げが下がってしまうからだ。公認認証書はすぐに発行されるものではあるが、手軽さが売りの携帯電話 小額決済にひと手間加えることになる、というのもネックだろう。
未成年への対策を立てながらも、手軽さはそのままに市場規模を広げていきたい。これが、目下の携帯電話小額決済の課題といえる。この決済方式を韓国から世界へとさらに広げるためには、最優先で解決すべき問題であるようだ。
佐々木朋美
プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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