コミュニケーションを通じて広がる“デコメ”ビジネス:神尾寿の時事日想
色や画像、音などでより多様な表現ができる「デコメール」は、ドコモのFOMA 900iシリーズ以降で利用できる機能だ。若い女性を中心に普及が進むとともに、デコメ用コンテンツ市場も伸びてきている。
8月25日、NTTドコモが「デコメール」の利用状況における最新情報を公開した。ドコモによると、デコメールユーザーは着実に増加し、2006年7月の調べでは、10代女性の約7割が利用しているという。
デコメールはHTMLメールの一種で、メールの背景色や文字色の変更、様々なアニメーション画像が埋め込めるのが特徴だ。ドコモは2004年2月の900iシリーズで導入して以降、普及と機能改善を地道に行ってきており、2006年7月時点で対応機種は約60機種を数える。
デコメールは、音楽や映像といった分野に比べて、一見して分かる派手さはない。しかし、メールのコミュニケーションを通じて広がるため、ユーザーに受け入れ始めると雪だるま式にニーズが成長する。NTTドコモ東海のインタビューで榎啓一社長が語っていたとおり、今では「他キャリアからドコモにキャリア変更させる理由の筆頭。ドコモの(繰り出す)ボディブローになっている」のだ(8月11日の記事参照)。
また、デコメールの普及はデータ通信ARPUの向上にも貢献する。ユーザーのパケット利用量を増加させるものとしては、着うたや写真付きメールの方が、確かに1回あたりのデータ容量が大きい。一方、デコメールは1通あたりのパケット量増加分は微々たるものだが、対応ユーザーが増えることで利用頻度が上がり、少しずつだがパケット利用量を押し上げる。また、今後はメールニュースやメールマガジンなどでの活用もさらに広がるだろう。着うたや写真付きメールよりも、利用の裾野が広がるのもポイントだ。
拡大するデコメ関連ビジネス。他キャリアの対応も注目
デコメールの普及にあわせて素材コンテンツ市場も拡大している。モバイルコンテンツフォーラムの統計によると、デコメール向け素材コンテンツは、今ではモバイルコンテンツ分野の成長株だ(7月21日の記事参照)。ドコモでは今秋発売の903iシリーズでデコメールをさらに使いやすくする模様であり、ユーザーがさらに増加し、利用率は上がるだろう。
また、ドコモから始まったデコメールの普及は、もはやauやボーダフォンにとって無視できないものになってきている。両社がデコメール類似のサービスを導入するのは時間の問題だ。早ければ今秋の新モデルから、デコメール対応が始まるだろう。
デコメールの普及と素材コンテンツ市場の拡大は、今後も堅調に推移しそうだ。
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