「MBG」でユーザー自身がホットスポットに──アイピーモバイルがサービスをデモ(2/2 ページ)
日本発の通信技術TD-CDMA方式を用い、2GHz帯の周波数でデータ通信中心のサービスを提供予定のアイピーモバイル。2007年春のサービス開始へ向けて、同社は着実に準備を進めている。
TD-CDMAのデータ通信デモでは最大2.88Mbpsを記録
では、TD-CDMAの実際の性能はどのようなものなのか。今回、アイピーモバイル本社の会議室で実際の基地局から発射されている電波を用いた簡単なデモでその一端を垣間見ることができた。
基地局は、東京都千代田区平河町にあるアイピーモバイル本社近くのビルの屋上に設置されており、すでに商用サービスと同レベルのサービス環境が整えられている。サービス半径は1キロ程度で、赤坂駅、溜池山王駅、国会議事堂前駅の北側から、四ッ谷駅の南側、麹町駅、半蔵門駅、千鳥ケ淵、皇居の一部などがエリアに入っている。
周波数帯域は10MHz幅。商用化時には下り最大10Mbps以上のスループットを実現する「R5」のスペックでサービスを行う予定だが、デモは最大スループットが6Mbpsの「R99」のスペックで行われた。そのため変調方式も16QAMではなくQPSKで、実アプリケーションでの平均的なスループットは1Mから2Mbpsといったところ。これが商用サービスでは2Mから3Mbps程度になるという。
デモではまず、ノートPCにTD-CDMAに対応したPCカード型端末を装着して動画のストリーミング再生をしたり、Skypeでのテレビ電話機能を利用した通話を行ったりした。動画のストリーミング再生中の瞬間最大スループットは2.88Mbpsで、GyaOで配信している300kbpsの動画ニュースなどはコマ落ちすることもなくスムーズに再生できていた。
また、無線LANルータのWAN側回線にTD-CDMA対応のPCカード型端末を装着し、W-ZERO3やニンテンドーDS、PSPを用いてWebブラウズしたり、「ロケーションフリー」を利用してPSPでテレビを視聴したりもしたが、いずれも問題なく利用できた。Skypeフォンを利用した通話も、ときどき途切れたりはしたもののほぼ問題ないレベルで使えた。
基地局が近い上、ほかに基地局にアクセスしている端末がほとんどない状況でのデモだったとはいえ、ロケーションフリーはデモ中ずっと流しっぱなしで、いくつかの端末から同時にWebにアクセスしたりもしたが、特に通信速度が低下するといったことはなく、快適な通信環境だった。
2007年春のサービスインへ向けて
気になるサービスエリアは、2007年春のサービスインの時点で東京の山手線内をカバーする程度になる。その後、東京23区内、横浜、川崎、国道16号まで広げていく計画だ。その後は国道16号内の人の動線を徐々にカバーしていく。端末は、量販店などでの販売ではなく、ネットでの直販を考えているようだ。
サービスの具体的な価格についてはまだ未定としながらも、平均すると月額利用料金はおよそ5000円前後になるとのこと。またサービスの種類ごとに複数の料金プランを用意し、既存のインターネット接続サービスとそれほど変わらない価格で提供したいとのことだった。料金体系は、端末が広範囲で移動するか、狭い範囲で移動するか、あるいはほぼ1カ所で固定かといったユーザーの移動範囲や、必要とする最大通信速度など、複数の利用シーンを想定したものをいくつか用意し、ユーザーが選べるようにするという。
なお、実際のサービス開始日については「今年中に発表したい」と意気込みを見せた。
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