「クローン携帯を確認」は誤報──ドコモがコメント
11月23日、読売新聞が「クローン携帯の不正使用をドコモが確認した」と報道したが、真相はクローン携帯ではなく、海外の携帯電話事業社が国際ローミング時の認証を正しく行っていなかった、ということのようだ。
11月23日、読売新聞が「NTTドコモが識別番号が同じ“クローン携帯”の不正使用を確認した」と報道した。
これまで、ドコモを始め、KDDIやソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)らキャリア各社は、同じ識別番号を持つクローン携帯の製造は「技術的に不可能」との認識を示しており(2004年1月の記事参照)、クローン携帯の存在が確認されたとなれば、初めてのケースとなる。クローン携帯は、「使った覚えのない高額なパケット料金が請求された」として提訴するユーザーが出るなど、以前からその存在が取りざたされてきた。
しかしドコモは、「今回の件は誤接続・誤課金であり、クローン携帯ではない。クローン携帯の製造が技術的に不可能との認識は従来と変わるものではない」とコメントしている。
今回の件の真相は、「海外の携帯電話事業社が、交換機での認証をしなかったために、解約済みのSIMカード(FOMAカード)が挿入されたと推定される携帯電話から海外で発信した際に、通話できてしまった」ということらしい。
携帯電話には、電話番号だけでなく、キャリアが管理のために用いる、IMUIという個別の番号がある。このIMUIと、端末とネットワークが持つ認証キーで、接続に関する認証を行っている。ただ、海外の携帯事業者の一部の交換機では、例外的にこの認証を行わない設定になっているものが存在し、かつ解約済みのFOMAカードに書き込まれているIMUI番号と同じIMUI番号が契約中の状態で、通話を接続してしまったために誤接続と誤課金が発生した。
この通話はパケット通信ではなく音声通話で、ドコモは2005年9月にこの現象を初めて確認、2006年2月までに6件の誤接続と誤課金が生じた。しかし2006年2月に正しい認証手続きを行わない交換機との接続は拒否する機能を付加し、同事象を継続して監視する機能を追加しており、2006年2月以降は発生していないという。
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