マクドナルドに「iD」「トルカ」を導入──マクドナルドとドコモがe-マーケティングの新会社(2/2 ページ)
全国のマクドナルドにiDとトルカを導入し、おサイフケータイを利用したe-マーケティングを進める新会社を設立――日本マクドナルドホールディングスとNTTドコモの狙いは何か?
「トルカの成功事例」を作りたいドコモ
ドコモ側の期待はトルカの普及と発展にある。「市場にはいろいろな形のクーポンがあるが、“携帯の中のクーポン”というのはまだまだ未知数。期待している」(中村氏)
“おサイフケータイ”という名称からも分かるように、ドコモでは携帯のFeliCa機能について、決済利用を軸にアピールしてきた。当初は電子マネーのEdyだったが、現在ドコモが最も力を入れて訴求しているのがクレジット決済のiD/DCMXだ(2月20日の記事参照)。
ドコモでは他の決済方式に対するiDのアドバンテージとして、トルカを利用したCRMの可能性を訴求したいと考えている。「我々を含め、民間がハンドリングする電子マネー(注:ポストペイのクレジット系決済を含む)を導入すれば、どうしても(加盟店から)数%の手数料をいただかなくてはならない。その点、電子マネーの最大のライバルは、手数料ゼロで利用できる日銀発行券だ。しかし電子マネーには大きく2つのメリットがある。1つは現金をハンドリングするコストを削減できること。そしてもう1つはマーケティング」(NTTドコモプロダクト&サービス本部マルチメディアサービス部長夏野剛氏)
ここでいう「マーケティング」ツールがトルカだ。電子クーポン、電子チラシなどと紹介されることが多いトルカは、FOMA 902iシリーズで初めて搭載されたおサイフケータイの新機能で、903iシリーズはいくつかの機能が追加され、よりきめ細かい使い方ができるようになっている(2006年10月の記事参照)。
トルカはリーダー/ライターにかざして取得する方法のほか、メールに添付して送ったり、赤外線で送ったりといった形で人に送ることもできる。マクドナルドでは「雨の日に、ビルの地下に入っている店舗でビルの近くにいるお客さんにだけ『地下店舗なら雨に濡れずに来られますよ』とクーポンを送る、といったこともできるようになる」と話しているが、会員向けのメールにiエリアを組み合わせる、といった方法であれば、こういった配布のやり方も難しくない。
トルカが利用できる端末は徐々に普及しつつあるが、まだトルカに対応したサービスは数が少なく、実際に利用できるところはまだまだ少ないのが現状だ。「トルカの大成功事例を作りたい、これに尽きる」という夏野氏の言葉こそが、ドコモの狙いと言えるだろう。
他キャリアユーザーに対しては?
現在、携帯用iDアプリが利用できるのはドコモ端末だけである。「基本はオープン。(iDを使い始める)最初はドコモの携帯かもしれないが、三井住友カードから、iD一体型のカードも出ている」(中村氏)とはいうものの、実際には「iD+トルカ」でサービスが始まれば、auやソフトバンクのおサイフケータイではiDを利用することはできない。
マクドナルドでは、トルカ相当のクーポンを他キャリア携帯のユーザーにも提供していく考えだ。「トルカと全く同じではないが、トルカ相当のクーポンを(auやソフトバンクモバイルの)携帯で受け取れるようにはできる。決済(iD)は仕方ないとしても、できるところからやっていくスタンス」(日本マクドナルド)
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