あなただけに光る49個のLED――「N703iμ」の「マイシグナル」誕生秘話:「N703iμ」開発陣インタビュー 後編(2/2 ページ)
液晶や有機ELを使ったサブディスプレイではなく、合計49個のLEDが背面のディンプルに溶け込んでいる「N703iμ」。どういった経緯でこの新しい試みが行われたのだろうか?
たった1個のキーでも、0.1ミリのせめぎ合い
薄型化に貢献するため、最近の薄型端末で多用されているシートキー。N703iμでもシートキーが使われているが、キーの1つ1つが別パーツとして貼り付けられているため、シートキーだと気が付かない人もいる。しっかりしたクリック感もあり、シートキーとは思えない使いやすさだ。NEC製端末でシートキーが使われたのは、同社薄型端末の祖となった「e949」からだという。
「e949で使われている、いわゆる普通のシートキー。これだとキー1個1個が判別できないので、ブラインドタッチができず、使いにくいという意見が寄せられました。N703iμの商用化のときには、e949の技術をベースにしながらも、独立するしっかりしたキーに作り替えました」(近藤氏)
もちろん“薄さ”にもこだわっている。
「シートキーを使った弊社の端末と比べても、やはりこのN703iμのシートキーが一番薄い。シート部分と、キー下の押し込む部分はもちろん、非常に薄く塗れる接着剤を使っています」(白石氏)
一番苦労したのは「5」キーの“突起”だという。5キーには触るだけでダイヤルキーの位置がわかる小さな突起が付いているが、これを単純にキーの上に付けると、本体の薄さが11.4ミリから11.5ミリに厚くなってしまう。そこで、N703iμではキーをいったん掘り下げてから、突起を付けるという方法を採用した。
「これも試行錯誤した結果です。キーの形状ごと変えようとか、いろいろなアイデアがあったんですが、指で触ってもよく分からなかった。結局行き着いたのが、掘り下げてから出っ張らせるという方法。結果的に視認性もよく、デザイン的なまとまりも出ました」(白石氏)
「実はe949でもかなり掘り下げて突起を付けています。ただ、今回はもっと薄くしなくてはいけないということで、先行試作機のときには、5キーだけををザラついた質感にしてみました。でも、やっぱり分からなかった。商用化チームでも色々な案は出ましたが、やっぱり掘り下げてポツっと出っ張らせるのが一番ということで落ち着きました」(近藤氏)
有田氏は「薄さだけでなく、重さにもこだわった」と付け加えた。薄型端末の場合、ビジネスマンがスーツのポケットに入れることが多い。そのときに、いかに格好よく見せられるかを意識したという。胸ポケットに重たいものが入ると、服のシルエットが崩れてしまう。「スーツがよれないほど軽いというのを目指したかったのです。結果として、FOMAの中でもかなり軽い90グラムを実現しました。弊社の『SIMPURE N1』が88グラムですが、その次に軽いモデルになっています」(有田氏)
NEC携帯の新しい顔を目指して
「この薄さと軽さは、ポケットに入れても苦にならない。体感していただくとすごく分かると思います。そして、一度それを経験してしまうと、たぶん他の端末にはもう戻れないですね。実はそこをちょっと狙っていて、お客さんをしっかり捕まえて、『NEC=薄型、薄い=NEC』というところに持って行きたいと思っています」(有田氏)
N703iμを、薄型=NECの新しい顔にしたいと強い意気込みを見せる。
「佐藤可士和さんがデザインされたN703iDも、ある意味新しいNECの顔になるわけですが、やっぱりNECの中から出たもの、生え抜きのモデルで新しい顔を作っていかなくてはならない。そこで、N703iμはN703iDと対になる形での新しい顔、NECオリエンテッドなものとして開発しました。この2モデルを今年のNECの2つの顔として展開したいと思います」(有田氏)
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