電子キャビネットの非接触ICはFeliCaが主流に:SECURITY SHOW 2007
入退室管理用カードへの採用が増えているFeliCaに、電子キャビネットの開け閉めもさせてしまうシステムが増加している。
“鍵の管理”から社員証を使った電子錠へ。企業の機密書類などを保管するキャビネットの施錠手段として、非接触ICチップFeliCaを使うシステムが増えてきた。「SECURITY SHOW 2007」に出店している各社は、「FeliCa対応のニーズが高い」と口を揃える。
「みんなFeliCaカードを共通カードとして使っている。特に入退室管理のカードと共通にしたいというニーズが強い」。そう話したのは、FeliCa対応の電子キャビネットを展示しているコクヨ。
従来の鍵を使ったキャビネットの管理では、施錠という意味は果たしても「誰がいつキャビネットを開いたのか」というログの保管は難しい。これを解決するため電子化する際には、ICカードの種類が増えることを嫌い、既に入退室用に使われているFeliCaカードを流用したいというニーズが高い。
同社は、サーバで各キャビネットを一元管理するシステムだけでなく、配線や電源供給もなしで単独で動作する「セキュア収納スタンドアローンタイプ」も展示しており、“鍵ではなくFeliCa”のニーズが高いことを伺わせる。
岡村製作所の「InfoCabin」や「パーソナルロッカー」も、すべてFeliCaを使う。非接触ICには、国際的に使われるMifare(TypeA)や、メモリ容量が大きな高機能タイプのeLWISE(TypeB)も存在する。しかしJR東日本のSuicaや電子マネーEdy、そして「おサイフケータイ」の普及もあり、「最近では圧倒的にFeliCaが多い」(非接触ICを使ったプリントソリューションを展示している富士ゼロックス)という状況だ。
デファクトスタンダードとしてのFeliCa対応が見えてきた電子錠だが、コスト面はまだまだ課題が残っている。読み取り機だけでなく、制御用の基板、ログを保管するメモリ、そして電子錠そのものが、シリンダー錠と比べてまだまだ高価だからだ。コクヨの電子キャビネットの場合、制御装置1台のもので定価40万円。8つの読み取り機と制御装置を持つ岡村製作所のパーソナルロッカーは、シリンダー錠タイプの5倍近い価格となる135万円の値付けがされている。
まだまだ高価だが、管理の容易さ、利便性があるのは確か。ログの保持などの機能強化とともに、“施錠といえばFeliCa”と広く認識されることが普及の第一歩となりそうだ。
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