NTTが考える“次世代型”Bフレッツとは?

光ファイバーの上でISDNやCATVのサービスを提供する――有線ブロードや電力系通信 会社の追撃を受けるNTTは,その対抗策として,サービスの高付加価値化を進めよう としている。

【国内記事】 2001年11月19日更新

 有線ブロードネットワークスを皮切りに,電力系各社など,続々と事業者が登場しているFTTHサービス。き線点までの光化を進め,大きなアドバンテージを持っているはずのNTTだが,このまま競争優位を維持できるとは限らない。NTTアクセスサービスシステム研究所(AS研)の佐藤登所長は,NTTアドバンストテクノロジ主催のセミナ ーで,NTTが競争優位を保つための方策を語った。キーワードは,「最低帯域保証」 と「サービス多重」だ。

コストメリットの高いLAN系

 現在,「Bフレッツ」のラインアップには,ビジネスタイプ(アクセス最大100Mbps,月額4万円),ベーシックタイプ(アクセス最大100Mbps,月額9000円),マンションタイプ(100Mbpsを共同利用,月額3800円),ファミリータイプ(アクセス10Mbps,月額5000円)の4つがある。ただし,その回線品質を単純に数字で判断することはできない。サービスには,大きく分けて2つの技術が使われているためだ。

 1つは,ベーシックタイプなどに使われている「LAN系」サービス。有線ブロードネットワークに対抗するため,NTTがFTTHを本格展開する際に導入したもので,イーサネット技術を全面的に採用している。NTT局舎内に置かれたLANスイッチにより,多くのユーザーが中継回線を共有できるうえ,汎用的な機器を使える点がサービスの低価格化に大きく貢献した。

 ネットワークトポロジはSS型(シングルスター型)で,NTT収容局とユーザー宅を1芯の光ファイバーで繋ぐ。宅内機器はONUではなく,メディアコンバータとなる(マンションタイプでは100BASE-TXに変換された後で棟内の各戸に提供されるため,最終的には最大256ユーザーで共有する)。最近では,メディアコンバータの低価格化とともに,このLAN系サービスの採用が増えている。またギガビットイーサネットベースのアクセス回線としてGbE-MC方式も開発が進められており,将来の高速化にも期待が持てる。

 良いことずくめのように見えるLAN系サービスだが,難点もある。それは,「もともとフロア間で利用する技術であったため,トラブル管理機能など,キャリアが使うための機能が欠けている」(同氏)こと。したがって,高速化と並行してキャリアグレード化(機能を付加してキャリアが使えるレベルにする)を進める必要があるが,「そのために機器の価格が上がってしまっては意味がない」。しばらくは,このジレンマを抱え続けることになりそうだ。

多彩なQoSを実現するBPON

 もう1つは,NTTが2000年5月から提供している「ワイドLANサービス」と同じ,シェアドアクセス方式を使った「PON系」ネットワークだ。その特徴は,シェアドアクセス方式の持つ帯域保証。10Mbpsの中継回線を16〜32分岐しているが,それぞれ300Kbps程度の最低帯域が保証されているという(ネットワークトポロジはダブルスター型)。

 ただし,現在のメニューの中で,PON系サービスはファミリータイプのみだ。低コスト化が容易なLAN系サービスにおされ,主流から外れたようにも見える。だが,NTTは次世代のBPON(Broadband PON)導入により,新しいサービスを展開する考えのようだ。

 このBPONは,全世界で21のキャリアと12のメーカーが参加する業界団体「FSAN」(Full Service Access Networks)で標準化と共同調達に向けた検討が進められている。米Bell SouthやSBCなど,BPONを使ったサービスを計画しているキャリアも多く,共同調達が可能になれば,量産効果によって低コスト化も期待できるだろう。

 BPONには,ミリ秒単位で各クライアントからの帯域要求を識別し,動的に帯域を割り当てるDBA(Dynamic Bandwidth Assignment)機能が盛り込まれる。これにより,ネットワーク全体で空き帯域があれば,それが他のONUのものであっても利用できるため,ピーク時は100bpsの帯域幅を実現可能。要求帯域の競合が発生した場合でも,ユーザーやサービス毎に最低保証帯域を維持するという。この最低保証帯域は事前設定が可能だ。

 なお,佐藤氏によると「(DBAは)既にITU-Tに提案されており,早ければ12月にも世界標準として勧告される見込みだ」。

 BPONの導入に伴い,ファミリータイプは高速化し,さらに「最低速度保証」の付加サービスが実現する。たとえば,「2Mbpsのコンテンツ試聴時だけ2Mbpsを保証する」,あるいは,特定のユーザーに対して「6Mbpsを常に保証する」といった個別の要求にも対応できるようになる。ユーザーごとに帯域を保証する場合は有料オプションとなる可能性が高いが,佐藤氏は「今後は,ストリーミング動画の普及とともに需要が増す。(最低帯域保証を)新サービスとして検討中だ」として意欲を見せた。

 また,「優先制御型」と呼ばれる新しい帯域保証サービスもある。こちらは,サービスや相手先によって優先/非優先を設定しておき,トラフィックの状況に応じて設定したサービスのパケットを優先的に疎通させるというもの。「企業では特定の拠点間(例えば,東京本社=大阪本社間)の通信を優先したいケースがある。また,コンテンツのネットワークにアクセスしたら帯域を保証してほしいといった需要もあるだろう。これからのサービスとして必要だ」(佐藤氏)。

 単に「早いもの勝ち」のベストエフォート型は,サービスの低価格化には貢献したものの,ユーザーの要求に応えているとは言い難い。NTTは,Bフレッツを単なるアクセス回線ではなく,付加価値の高いサービスとすることで,競争力を維持したい考えだ。ただし,帯域保証はやはり企業やヘビーユーザーを対象としたもの。そこで,よりコンシューマーに近い付加サービスも検討されている。

1本のファイバーでIP・電話・CATV

 NTTはかつて,FTTHの本格展開にあたり,電話を重畳する計画を棚上げにした(1月26日の記事を参照 )。競合相手の登場により,サービスの開始と低価格化を急ぐ必要があったからだ。しかし,同社はまだ1本の光ファイバーで複数の情報インフラを家庭に提供する構想を捨てたわけではないらしい。

 佐藤氏は講演の中で,高速IP通信とISDN(電話&FAX),そして映像を1本の光ファイバーで提供する「サービス多重」の可能性に触れた。例えば,PON系の10Mbpsサービスでは上り/下りとも1.3マイクロメートルの波長を使うが,ピーク時でも伝送容量には余裕があり,ここにISDNサービスを載せることができる。また,1.5マイクロメートルの波長を下り方向のみに使用し,アナログ×40チャンネルとデジタル×120チャンネルのCATVをそのまま多重することも可能だ。

 CATVを提供するには,「NTT局舎内に専用のOLTをおき,スプリッタで合波するだけでいい」(佐藤氏)。信号はそのまま32分岐され,各家庭に届く。FM一括変換により,映像は,伝送品質(受信感度)の向上や伝送距離の延長も期待できるという。

図は10MbpsのPON系サービスを前提としたサービス多重(出典はNTT)。一方,100MbpsのPON系サービスでは,ピーク100MbpsのIP伝送容量をかせぐため,下り方向に1.49マイクロメートルの波長を使う(拡大画像

 電話やCATVのサービスは,国内初のFTTHサービスとなった横浜市戸塚区のタウンテレビ南横浜などでも行われており,技術的な課題は少ない。佐藤氏の「Bフレッツのサービスエリアでは,すぐにCATVも提供できる」という言葉からは,サービスに向けた自信も伺えた。

 もちろん,実現に向けてはNTTの事業範囲も含め,多くの調整が必要になるだろう。しかし,光ファイバーさえ引いてしまえば,多彩なアプリケーションを提供できるサービス多重は,FTTHへの移行を進める大きな武器になるはずだ。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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