アクセス回線としてのPHS「bモバイル」〜前編

8MbpsのADSLに注目が集まる中で,32KbpsのPHSはいかにも低速に思える。しかし,定額&使い放題で,回線速度が最大200Kbpsになるとしたら? 注目のPHS定額接続サービス「bモバイル・プリペイドサービス」を開始した日本通信に聞く。

【国内記事】 2001年12月10日更新

 設立して5年ほどの通信ベンチャーがユニークなサービスを開始した。日本通信が11月28日に発表した「bモバイル・プリペイドサービス」だ(当日の記事を参照)。定額(プリペイド)・使い放題のうえ,2002年3月以降は最大200Kbpsの速度を実現するという同サービス。地理的条件からADSLやCATVが導入できないユーザーにとっても,強い味方になるだろう。

 PHSを使ったつなぎ放題サービスは,DDIポケットの「AirH"」が既にあるが,bモバイルでは,専用のデータ通信カードと1年間のサービスをパッケージ化し,全国の家電量販店で販売するというユニークな方法を採用した。さらに,通信速度は当初32Kbpsだが,プロキシサーバでデータを圧縮・転送するアクセラレータ機能(詳細は次回)により,Webコンテンツなら50Kbps程度のスループットが出るという。また,2002年3月には,DDIポケットの128Kbps化に伴い,アクセラレータ併用で200Kbps程度の速度を実現する見込みだ。

 同社は,DDIポケットが8月に開始したPHS回線の大口ユーザー向け卸売り(8Mbps以下で3000万円/月)を受け,付加サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)だ。これまでは企業向けのサービスとしてbモバイルを展開しており,コンシューマー向けは初の試み。人の住んでいる地域をほぼカバーしている既存のPHS網を活かし,運用性の高いアクセス回線としての可能性を求める。

 日本通信の上席執行役員でCTOを務める中井純氏は,「PHSは,もともとWLL(ワイヤレスローカルループ)のラスト100メートルとなることを目指したもの。その原点に立ち戻る」と話している。


日本通信上席執行役員,CTOの中井純氏

数で勝負の新ビジネス

 同社が,敢えて利益率の低いコンシューマー市場に乗り込んだのは何故か。理由は,回線コストの“割り勘効果”だ。「bモバイルの事業は,2万人のユーザーが集まれば採算ベースに乗る。われわれは数で勝負しなければならない」(中井氏)。

 もう1つは,帯域を有効利用すること。メインとなるビジネスユーザーが利用する時間帯は,主に営業時間の9〜17時。夜はあまり利用することがない。対して,コンシューマーユーザーは夜から深夜がメインだ。

 月間3000万円という回線コストが変わらなければ,トラフィックのバランスを取り,利用効率を上げるのは当たり前。同社のサービスに「24時間プラン」のほか,「ナイトプラン」 (20時から翌朝8時),「ミッドナイトプラン」 (23時から翌朝6時) があるのはそうした理由による。

ホントにお得?

 各プランはオープンプライスとなっており,販売店によって価格には差がある。24時間プランの場合では,7万円台半ばから9万円台だ。ナイトプランなら,ここから約3割,ミッドナイトプランなら約4割安い。また,一部のショップでは独自に15カ月間(通常は12カ月)のサービスをバンドルし,人気があるという。

 同じインフラを使うDDIポケットの「AirH"」は,年間割引の場合で5万9160円(つなぎ放題コース)。通信カード代を含めても,大差ないようにも見える。ただし,128Kbps化の際もカードを買い換える必要がない点,そしてアクセラレータによる高速化を考慮すれば,bモバイルに軍配が上がるだろう。気になるのは,AirH"が128Kbpsになったときの料金だ。

 中井氏は,「どんぶり勘定だが……」と断った上で,ひとつの試算を示した。AirH"(32Kbps)を約3カ月間使用したあと,約1万5000円で128Kbps端末を購入,仮に32Kbps料金の6割増しとした128Kbps通信を9カ月間利用する。事務手続きなどを含めると,1年間のコストは11万3400円になるという。

 どちらかといえば希望的観測に近い数字かもしれない。ただし,DDIポケットは128Kbps通信の料金を「32Kbps料金+α」としており,少なくとも値上げは覚悟しなければならない。その点,“プリペイド”なら期間中の値上げはありえない。

“家電感覚”を目指した

 残る問題は,初期投資額の大きさからくる心理的な障壁だが,この点に関して同社は,「ほかの通信事業者のように販売店の方針に口を出すことはない」としている。つまり,前述の15カ月キャンペーンなどにくわえ,「分割払い」や「ボーナス一括払い」といった方法も店側の判断で行えるわけだ。店を選べば,ユーザーの希望する支払方法を選択できるだろう。販売ルートは,主に家電量販店やインターネット通販のため,逆に分割払いなどのシステムは既にある。

 また,店でカードを購入するだけで,その日からサービスを受けられるのもメリット。細かい手続きや毎月の支払いが不要という点も合わせ,同社ではこれを初の“家電感覚の通信サービス”と表現した。

「販売ルートは,今後も早いペースで拡大していく。また1年後には,今よりも安く,かつ競争力のある値段でサービスを提供するつもりだ」(同氏)。

後編では,アクセラレータの仕組みと制限,そして実際の使用感をレポートする。

関連リンク
▼ 日本通信
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[芹澤隆徳,ITmedia]

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