連載 2002年12月13日 07:56 PM 更新

Streaming Now!〜流れをつかめ!
FOMAのiモーションメールは発信して遊ぼう!(1/2)

FOMAがMPEG-4に対応し、動画メールを送信可能になった。つくづく思うのは、「携帯は発信ツールだ」ということである。そして、ストリーミングという技術も、本来は発信のための技術なのではなかったか?

 NTTドコモがようやくMPEG-4(.mp4)対応のFOMAを発表した(記事参照)。私が最初にこの話を聞いたのは、実は今年の2月、ビバリーヒルズで行われたAppleのイベント「QuickTime Live !」である。ここのところ、「ひょっとしてドコモはもうMPEG-4の話を忘れちゃったんじゃないかしら?」と心配していたのだが、発表されてからほぼ10カ月後に製品化された、ということになる。

 ファイルフォーマットは、ASFをやめてMPEG-4(.mp4)に変更されたが(記事参照)、どういうメリットがあるのか? と疑問に思う方もいるかもしれない。しかし、一企業の選択としては当然という見方ができる。ASFは、米Microsoft一社が握っているフォーマットである。万が一、Microsoftが課金し出したり、潰れてしまったりしたら、採用したほうは弱ってしまうのである(どちらもないとは思うが)。

 一方、MPEG-4は、基本的にはISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)が標準として定めたものであり、細部まで公開されている。その中の特許は、様々な会社が握っていて複雑だが、そのあたりはライセンス管理団体であるMPEG-LAが仕切っている(ヒンシュクをかったりもしているが)。様々な機器での互換性まで考えていたとすれば、.mp4の選択というのは良いことなのではないかと思う。

3GPPとISMAとMPEG-4とQuickTimeの関係

 ところが、MPEG-4というのがまたややこしいもので、NTTドコモのMPEG-4は現在のQuickTimeが扱えるMPEG-4とは互換性がない。整理すると……。

 MPEG-4というファイルフォーマットは、あまりにも広い範囲に及ぶ規格であるため、その互換性が問題視されていた。そこで米Appleが中心となってInternet Streaming Media Alliance(ISMA) という団体を作り、そこでインターネット用の基本プロファイルを決めた。一方で、3G技術の標準を策定する3GPPも、携帯端末で扱うMPEG-4の標準プロファイルを定めた。そこで、ネット系のMPEG-4にはISMA系と3GPP系という2つの標準ができてしまった。その主な違いは音声コーデックで、3GPP系がAMR、ISMA系がCELPAACというワケである。


注:ISMA規格の中にも、QuickTime 6で再生できないものは若干存在する

 これまで、QuickTimeはISMAの一部に対応していたが、QuickTimeの次期のバージョンではAMRのコーデックが追加されて3GPPにも対応する、というワケだ(と、ドコモの発表で言われているが、Appleのサイトには情報がない。一体どういうことだろう?)。

 そんなことをわざわざドコモが説明するというのは、Appleとの間できちんとした協力関係があったに違いない。かなりの協力……というか、URLへのリンク機能など「小技」が効いている(細部のすりあわせができている)ところを見ると、ひょっとするとQuickTimeのエンジンに限りなく近いものがFOMAに載っているということなのかもしれない(そういえば、最近のCLIEでもそんな話があった。私はあれにもQuickTimeが載っていると確信している)。

ポイントは機動力と制作の容易さ

 問題は、互換性が高まると何ができるか、ということだ。

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[姉歯康, ITmedia]

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