Mobile:NEWS 2002年12月10日 00:43 AM 更新

「ASF」から「MP4」へ〜FOMAのiモーションメール

撮影した動画をメールに添付して送信できる「iモーションメール」に対応した、新しいFOMA端末が登場する。しかし動画関係の機能拡張に伴い、動画フォーマットは変更され、既存の「iモーション」対応端末との互換性は失われてしまった

 NTTドコモがついに動画メールサービスを開始する。12月中旬以降に発売される新しいFOMA端末は、「iモーションメール」と名付けられた動画送信サービスに対応。それぞれ、10秒-15秒の動画をメールに添付して送信することができる(12月10日の記事参照)。

 ドコモでは今後発売するFOMAすべてをiモーションメール対応としていく予定だ。

 併せて、動画配信サービス「iモーション」も強化された。従来の100Kバイト/最大15秒から、300Kバイト/最大40秒となり、テロップ表示にも対応。ドコモの津田志郎副社長は「(30秒の)フルバージョンのCMも提供可能。極めて高画質なiモーションの提供も行える」と説明する。


ファイルフォーマットは「ASF」から「MP4」へ

 大きくスペックアップしたFOMAの動画周りだが、関連して動画のフォーマットが大きく変更された。映像/音声のコーデックはMPEG-4/AMRと変わらないが、ファイルフォーマットは従来の「ASF」から「MP4」に変更されている。

 ASFは、Microsoftが開発した動画配信のためのフォーマットで、最初期はMPEG-4の代名詞にように言われた。MP4は、QuickTimeのファイルフォーマットを基本として策定されたファイルフォーマットで、MPEG標準とされている。ドコモは今回のFOMAから、標準とされているフォーマットに変更を行ったことになる。

キャリア映像コーデック音声コーデックファイルフォーマット
ドコモ新FOMAMPEG-4AMRMP4
ドコモ旧FOMAMPEG-4AMRASF
KDDIムービーMPEG-4QCELPまたはMP3MP4
J-フォンムービー写メールNancyAMRNancy
同じMPEG-4でも細部が異なっており、互換性がないのが実情。また特別なソフトをインストールせずにWindowsで再生できるのは、上記の中では1つもない

 その結果、受け取ったiモーションメールを再生できるのは「N2051」「F2051」「P2102V」など新しいFOMA端末と、QuickTimeの新バージョンをインストールしたPCとなる。従来からQuickTimeはMP4に対応しているが、音声コーデックがAMRであるiモーションメールの再生にはバージョンアップが必要。リリース時期は12月下旬以降とされている。

 またKDDIの動画対応端末もファイルフォーマットとしてはMP4を採用しているが、こちらは音声コーデックにQCELP/MP3を使っているため、やはり再生できない。“世界標準”と言われるMPEG-4だが、音声コーデッックやフォーマットの違いで相互に互換性がないのが現状だ。

 フォーマットを変更した結果、iモーションコンテンツにも制限が出てきた。ファイル容量が大幅にアップされ、表現力は増したものの、コンテンツプロバイダはMP4ファイルで新たにファイルを作り直す必要があるという。ドコモでは変換サービスを用意する予定はないとしており、従来のFOMA向けコンテンツは次第に減少していきそうだ。

少々複雑なiモーションメール送信

 動画をメールに添付したiモーションメールの仕組みは少々複雑だ。まず、添付できる動画ファイルサイズは最大100Kバイト。通常のFOMAメールは10Kバイト(全角5000文字)が、添付ファイルも含めた最大送信容量だから、iモーションメールはメールシステムもかなり拡張されている。送信方式は、パケット通信になる。

 送信相手がFOMAの場合、動画ファイルはいったんサーバに蓄積され、相手には動画をダウンロードできるURLが送られる。これは「望まない動画を送りつけられる危険を考慮して」(ドコモの説明員)だという。なおPCや他社の携帯電話に送信した場合、動画ファイルは添付ファイルとして届く。


新FOMAで撮影した静止画はiモードに送信不可

 今回の新FOMAでは、カメラが標準装備になったのもポイントの1つ。しかし、静止画のやりとりも少々混乱を招く部分がある。PDCのiショット端末では、他社の携帯電話やPCを含め、ほぼすべてに画像を送信できるが、FOMAの場合、送信先は添付ファイルを受信できる端末に限られる。

 つまり、PCやFOMA、auやJ-フォンの端末には送信できるが、普通のiモード端末には送信できない。ドコモ自身は、KDDIの「フォトメール便」やJ-フォンの「@写メール」のような画像のURL変換サービスを用意しておらず、ユーザーは自分で変換サービスに加入する必要がある。

端末FOMA(静止画)FOMA(大容量静止画)iショット
送信方法パケット通信回線交換
受信できる端末FOMA、PC、KDDIやJ-フォンの端末PCなどiモード対応端末。PCやKDDI、J-フォンの端末

J-フォンには受信できるファイル容量に制限がある



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[斎藤健二, ITmedia]

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