FOMAの逆襲が始まる?〜PDCとのデュアルもドコモの新FOMA端末開発ペースはますます加速しそうだ。今回の新機種投入に続き、2003年春にはPDCとのデュアルモード端末、秋には国際ローミングにも対応させる。来年末には、PDC端末の機能をFOMAが上回ることになりそうだ
これまで、“PDCに機能的に劣る”と言われることの多かったFOMAだが、来年以降は大きく状況が変わりそうだ。NTTドコモは12月10日、連続待受時間の増加を中心としたFOMAの新機種を発表(12月10日の記事参照)。その席で、津田志郎副社長はFOMAの今後の展開に言及した。
ディスプレイが回転し、「ムービースタイル」で撮影ができる「P2102V」を手に持つ、ドコモの津田志郎副社長
「来年(2003年)の春が1つの節目。現在開発中のFOMAとPDCのデュアルモードの端末を投入する予定だ」(津田氏)。 デュアルモード端末とは、FOMAのサービスエリア内ではFOMAとして、それ以外では現行の携帯電話のネットワークを使って通信が可能な端末のこと。サービススタートから1年もたってデュアルモード端末を投入するのは、細かなサービスエリアのカバーのためだ。 FOMA自体のサービスエリアは、2002年度末で人口カバー率90%を達成。2003年度には97%を見込む。特に東京23区内では基地局数が大幅に増加し、基地局数は「PDCの9割程度の併設率」(津田氏)にまでなっている(11月28日の記事参照)。 にも関わらずデュアルモードを追加するのは、「数値に表れない補強、という点では(人口カバー率が)90%、97%でも対象箇所がある」(津田氏)という意識からだ。FOMAのサービスエリアを細かく詰めていくよりも、この時点では「とりあえずデュアルモード」(津田氏)を選択した。 FOMAの利用者の3割程度が、PDCと同番号を利用できる「デュアルネットワークサービス」に加入しているという事実もある(7月4日の記事参照)。
FOMAのサービスエリアは2003年度には人口カバー率97%に達する。右の図は、首都圏のFOMAの基地局配置図。緑の点が既存の基地局で、赤い点が11月30日に増設された基地局
同時に、春の段階でUIMカード(FOMAカード)の差し替えによる国際ローミングも提供する予定。「チップをGSM端末に挿して利用するところからスタートする」(津田氏)。ローミング可能な国は、現在「World Walker」でサービスを行っている25カ国から始め、2003年には65カ国まで増やす予定になっている。 さらに、2003年秋には端末による国際ローミングも予定している。こちらはW-CDMA方式によるローミングとなり、「相手国の事業者も3Gのサービスをやっていることが必要」(津田氏)だ。 しかし「今3Gのネットワークは海外でのスケジュールが遅延気味」(津田氏)。その上、「相互接続の確認をしなくてはならない」のもネックだ。といっても、J-フォンの3Gのように(12月3日の記事参照)GSMを使って海外ローミングをやるほどの優先度はない。 「国内ではGSM機能は不要になるので、それを優先するよりも、むしろPDCとのデュアルのほうが国内で利用するユーザーにはメリット。ステップとしてはそちらを優先した」(津田氏)。
FOMAの今後のロードマップ。半年おきに新しい機種が登場、2003年秋にはPDCを機能的に追い抜くという
2003年秋は、PDCの行く末にとっても節目になりそうだ。 「PDCに(FOMAが)機能の点で劣っているという指摘を受けた」と津田氏が話すとおり、504iシリーズとFOMAを比べると、FOMAのほうが一世代古い印象を受ける。「もともと位置づけはFOMAのほうが上だが、技術開発の難しさなどにより逆転していた」(津田氏)というのがその理由だ。 しかし、「秋にはPDCの機能をキャッチアップし、それ以降はFOMAのほうが高機能な端末になる」と津田氏。秋モデルでは待受時間も「300時間以上を図っていきたい」(津田氏)としており、来年末には“高機能な端末といえばFOMA”ということになりそうだ。 なお、2003年春の段階では、動画をソフトウェアで処理することで端末のコスト低下を図った、「簡易テレビ電話」対応端末も予定されている。現在のテレビ電話は秒間15コマの動画を使っているが、「ある程度コマ数を落とした形で実現できないか研究中」(移動機開発部長の永田清人氏)だという。
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