リビング+:ニュース 2003/05/14 19:25:00 更新


ソニーもIEEE 802.11g製品を投入、キーワードは“セパレート”

ソニーは、無線LAN製品「CarrierGate」シリーズにIEEE 802.11g対応のブロードバンドルータなど4製品を追加した。このうち、ルータ、アクセスポイント、LANアダプタの3つが独自のセパレートデザインを採用。設置の自由度を上げている

 ソニーは5月14日、無線LAN製品「CarrierGate」シリーズに、IEEE 802.11g対応の無線ブロードバンドルータ「PCWA-AR300」など4製品を追加した。いずれも米Atheros Communications製の無線LANチップを採用し、IEEE 802.11gドラフト仕様のVer. 6.1に準拠している。新製品は、5月31日から順次出荷を開始する予定だ。

型番概要価格
PCWA-AR3002.4GHz帯ワイヤレスブロードバンドルータオープン(実売2万5000円前後)
PCWA-A3202.4GHz帯ワイヤレスLANアクセスポイントオープン(実売2万円前後)
PCWA-DE302.4GHz帯ワイヤレスLANコンバーター未定(6月28日発売予定)
PCWA-C300S2.4GHz帯ワイヤレスLANカードオープン(実売1万円前後)
「PCWA-DE30」を除く3製品は、5月31日発売

拡張性を持ったブロードバンドルータ

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セパレート構成の無線ブロードバンドルータ「PCWA-AR300」

 PCWA-AR300は、ルータ本体と無線アクセスポイント部を分離したセパレート構成の無線ブロードバンドルータ。独自のダイバーシティアンテナ内蔵のワイヤレスユニットを柔軟にレイアウトできるのがメリットだ。

 ワイヤレスユニットとルータ本体は、電源供給も可能な独自のイーサネットケーブルで接続する。LAN側ポートは4つあり、このうち側面の2ポートがソニー独自の電源供給に対応している(写真参照)。もちろん、通常のイーサネットケーブルも接続できる。

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ポートの横に切り欠きがあるのは電源供給に対応している証拠

 セパレート化により、AR300は拡張性も併せ持つことになった。例えば、もう一方のポートにIEEE 802.11a準拠の「PCWA-A520」(発売中)を接続すれば、2.4G/5.2GHzのデュアルバンド無線アクセスポイントとして機能するという。「将来のUWBや802.11nなど、新しく登場する無線技術にも柔軟に対応できる」(ソニー)。

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「PCWA-A520」を接続してデュアルバンド対応になった「PCWA-AR300」

 ルータ部は、NAT、ポートフォワード、UPnP、PPPoE、ダイナミックパケットフィルタリングといった機能を一通りサポートするほか、VPNパススルー(PPTPはマルチセッション、IPSecは1セッション)にも対応した。無線LANのセキュリティは、MACアドレスフィルタリング、64/128bit WEP、そして「7〜8月をメドに、ソフトウェアアップデートでWPAにも対応する予定だ」(同社)。

 本体サイズは、ワイヤレスユニット部が98(幅)×98(高さ)×33(厚さ)mmで約320g。ルータユニット部は200(幅)×69(奥行き)×32(高さ)mm。重量は約340g。価格はオープンプライスだが、店頭では2万5000円前後で販売される見込みだ。

家電用途も視野に入れたワイヤレスLANコンバーター

 ブリッジタイプのIEEE 802.11g無線LANアクセスポイント「PCWA-A320」もセパレート構成を採用した。やはりワイヤレスユニットと電源ユニットの間にはケーブルが1本しかないため、柔軟な設置が行える。実売価格は2万円前後になる見込み。

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PCWA-A320はIEEE 802.11g無線LANアクセスポイント

 「PCWA-C300S」は、アンテナ突出部が小さい独自のスリムデザインを採用したIEEE 802.11g対応のワイヤレスLANカード。サイズは54(幅)×91(奥行き)×12(アンテナ突起部含む)mm。付属ソフトの「ワイヤレスパネル」には、動画データなどの伝送時に安定性を高める「ストリーミングモード」(昨年11月の記事を参照)も備えている。店頭では1万円前後で販売される見込みだ。

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IEEE 802.11g対応のワイヤレスLANカード「PCWA-C300S」。ノートPCの形状によっては利用できないケースがあるので購入時には確認が必要だろう

 「PCWA-DE30」は、デスクトップPCなどをワイヤレス化するIEEE 802.11g準拠の無線LANコンバーター。こちらもセパレート構成だ。

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イーサネットポート接続のワイヤレスコンバータ「PCWA-DE30」

 もう1つの特徴は、PCWA-AR300およびPCWA-A320と組み合わせて利用する際にセッティングが容易になる点。通常の無線LANアダプタでは、Windows PC上で各種の設定を行った後で接続する必要があるが、PCWA-DE30の場合は「PCWA-AR300やPCWA-A320の電源供給対応ポートに接続し、“簡単セットアップスイッチ”を押すとWEPやESS-IDなどの設定がコピーされる」(ソニー)。

 これは、ゲーム機やHDD/DVDレコーダーなどイーサネットポート搭載の家電製品が増え、今後は非PCユーザーが無線LANを使う機会が増えるという判断によるもの。松下電器産業の「ホームネットワークステーション」&「無線LANアダプター」と同様のアプローチといえる。

 PCWA-DE30の価格は未定。なお、同製品のみ6月28日発売予定となっている。

 これまで、5.2GHz帯を使うIEEE 802.11aを積極的に展開してきたソニーだが、今後は用途による無線LANの“すみ分け”を目指すという。同社は「Bluetoothや電子レンジなど干渉源の多い2.4GHz帯は、AVストリームの伝送に不向き」というスタンスは崩していないものの、既に普及しているIEEE 802.11b無線LANとの互換性を持ち、競合各社が相次いで投入を始めたIEEE 802.11gも無視できないようだ。

 「VAIO Mediaを使ったMPEG2伝送などは5.2GHz帯のIEEE 802.11a、メールやインターネットには802.11gと、用途に応じた使い分けを訴求していく」(ソニー)。

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関連リンク
▼製品情報「PCWA-C300S」
▼製品情報「PCWA-A320」
▼製品情報「PCWA-DE30」
▼製品情報「PCWA-AR300」

[芹澤隆徳,ITmedia]



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