リビング+:特集 2003/06/18 23:59:00 更新

特集:ITでこころ・からだ健康に
医薬情報をWeb公開することのむずかしさ 〜万有製薬

インターネットの利便性といえば、やはり“アーカイブ性”“検索性”に尽きるだろう。それでは、医薬情報をオンライン上でアーカイブすれば、市民の健康管理に役立つのでは? 万有製薬のケースを見てみよう

 インターネットの利便性といえば、やはり“アーカイブ性”“検索性”に尽きるだろう。それでは、医薬情報をオンライン上にアーカイブして一般公開し、ユーザーにオンデマンド配信すれば、市民の健康管理に大いに役立つのではないだろうか? ……実際、いくつかの試みが既に存在している。

 万有製薬が提供するビデオライブラリ「ビデオ図書館」も、そんなサイトの1つ。同サイトでは心臓病、糖尿病、緑内障、ぜんそく、花粉症などのさまざまな疾患、生活習慣病ごとに動画コンテンツが無料公開されており、それぞれの病気の概要、対策などを知ることができる。

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 同サイトの運営に携わる、同社情報サービスセンターのセンター長、平澤重明氏と、同係長の藤田かがり氏に、サービス提供の経緯、コンセプトなどを聞いた。

患者・医療関係者向けVHSをもとに

 同社はもともと、疾病関連の映像データを保有していた。たとえば、患者が待合室で視聴するためのVHS映像を、各病院に提供するなどしていたほか、専門家を対象とする実務映像も保有していた。同社が情報提供するTV番組や、同社がサポートする日本医師会の映像などもあり、これらをオンライン向け素材として提供する素地はあった。

 1998年の6月、ちょうど今から5年前に、「上の方からビデオ・オン・デマンドに力を入れろという声もあって」(藤田氏)So-netと共同実験のかたちで、それら映像をオンライン化した。掲載にあたっては、トピックが比較的新しいものや、できる限り普遍的なものなどを選択。その後、世間のブロードバンド化の流れに沿って、映像を高ビットレート化するなどして、現在のラインアップにいたるという。

 「医療関係者向けに配信しているものもあるが、ビデオ図書館で提供しているのは、一般の患者向け。プロフェッサークラスの人間に監修を頼んでおり、まず間違いのない知識を提供している」(同)。

 映像は最高300Kbpsのsure streamで配信され、視聴環境に応じてビットレートが変わる。ときおり図やアニメをまじえながら、疾病の説明が展開される仕組みになっている。時間は、およそ30分程度。

 「映像では、やはり伝わる情報が大きい。プラークだとか、動脈をどう血液が流れるとか、そういった情報が音声情報と視覚情報をあわせて、分かりやすく解説される。インターネットは、高齢者が扱いにくい場合もあるだろうから、その場合は家族が視聴して知識を得てもらえれば」(同)。

 ビデオライブラリの内容は、基本的に専門的な知識を必要とせず視聴できるものとなっている。サイトには、医療用語集も用意されているため、併用してほしいという。

 より詳細な情報を入手したいというユーザーには、米Merckの提供する「メルクマニュアル 医学情報」も、テキストデータとしてオンライン上に公開している。これにより、さまざまなユーザーのニーズに対応できる体勢を整えている。

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規制と必要性のはざまで

 万有製薬は、医薬品の製造、販売、輸出入を手がける企業。医療情報を公開する背景には、当然ながら同社の事業との関わりが予想される。

 しかし、同社ではサイト上で、営利目的のマーケティング活動は行っていない。たとえば、自社が医薬品を開発していない分野の疾病解説も、きちんと行っている。また、同社の医薬品を説明するページでも、製品の副作用や、添付文書まで含めて公開している。

 「これは、われわれの使命の1つじゃないかな、という考えでやっている。実際、製品の副作用まで含めて公開しているのは、うちぐらいだろう(笑)。業界では、驚きをもって見られたのではないか」(藤田氏)。

 同社がこうしたスタンスをとるのは、薬事法の規制があるため、という側面もある。同法では、製薬の商品名、効能を併記して一般ユーザーに告知することは、禁止されている。ユーザーからの問い合わせに応じることはできるが、自ら積極的に広告を行うことは違法となる。

 万有製薬のサイトでも、疾病を解説した後に「対策にはこのお薬を……」とやったら、即違法。必然的に、サイトはボランティア活動的な色合いを帯びざるを得ない。

 「我々は“疾患の啓発”はできるが、“製品の啓発”はできない。最近では規制緩和もあるが……当社でも、先日初めて新聞広告を出せたほどだ」(平澤氏)。

 もっとも、医薬品は医者が処方する生命関連製品であるため、こうした規制はある程度必要だ。その点は、平澤氏も十分認めている。

 「ユーザーが情報をむやみに信じて、お菓子を買うようにあれこれと製薬を購入しては、問題になる。信頼性に欠ける、民間の代替療法が過度にもてはやされることがあるかもしれない。やはり、発信側の規制は必要。しかし我々は、必要な情報を、適切な方法で提供したい」。それは、医療費抑制にもつながるはずだと、平澤氏は話した。

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[杉浦正武,ITmedia]



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