なぜ日本企業ではタレントマネジメントシステムの活用がうまくいかないのか?人材戦略を再考せよ

欧米企業を中心に広まってきたタレントマネジメントシステムは、数年前から日本企業でも導入が活発になってきた。しかしながら、成果という点では、大きな実績はまだ乏しいと言わざるを得ない。乗り越えるべき課題とは何なのだろうか……?

» 2015年11月16日 10時00分 公開
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利用は進むが成功まで漕ぎ着けないわけ

 グローバル化などに起因する企業競争の激化によって、企業における人事部門の役割が大きく変わってきた。今や人事にもビジネスへの貢献が強く求められているのだ。

 そうした中で、社内人材の有効活用を実現すべく生まれたのが「タレントマネジメントシステム」である。欧米を中心に普及してきた同システムは、2011年ごろから日本でも利用が活発になってきた。

 背景には、人材管理に対する経営層からの要求が、リーマンショック前後から多様化かつ高度化してきたことがある。その一端には、少子高齢化の進展により、働きやすい職場作りを通じた人材の確保/つなぎとめが経営課題となっていることからも理解できるだろう。

 また、不況によって多くの人材が確保できない中、限られた社員で対応するための、組織としての生産性の向上も強く求められるようになっている。これらの要求に応えるには、能力や適性をより的確に判断した上での人材配置が欠かせない。その“切り札”として、社員データをシステムで管理し、人事業務の効率化を目指すタレントマネジメントシステムが企業で利用されるようになったわけである。

 だが、その活用で十分な成果を出した企業は決して多くはないようだ。人材関連ビジネスを手掛けるインフォテクノスコンサルティングでセールス・マーケティング事業部長を務める大島由起子氏は、「せっかく導入しながらも、データを思い通りに抽出できなかったり、社内に分散する人事データまでは管理できなかったりなどの理由から、想定されたほど活用できていないとの話を耳にします。その結果、人事の現場では、依然としてエクセルなどによる、手作業での膨大な人事データ処理を行っています」と、利用の実態を打ち明ける。

人材管理はパッケージ化できるのか?

 海外では実績を上げているにもかかわらず、国内企業がタレントマネジメントシステムの活用に苦労しているのはなぜか。その理由は、これまで人事で利用されてきた人事・給与システムと比較すると分かりやすい。

インフォテクノスコンサルティングでセールス・マーケティング事業部長を務める大島由起子氏 インフォテクノスコンサルティングでセールス・マーケティング事業部長を務める大島由起子氏

 人事・給与システムの一番の目的は、長らく行われてきた、社員の採用から退社までのデータの管理と、給与計算などの処理を正確かつ迅速に行うことである。こうした、既に固定化した業務の効率化には、ベストプラクティスの集合体であるパッケージ製品が有効だった。他社の知見を基に標準化された理想の仕組みを短期間で整備できるからだ。

 対して、タレントマネジメントシステムで目指すのは、他社との競争優位の確立に向けた人事戦略の実現である。ここで見逃せないのは、競争優位の創出には標準化とは相反する、何らかの“独自性”が不可欠となることである。

 「ビジネスモデルや社内リソースが異なれば、当然ながら何を強みとするのかも企業ごとに変わります。また、経営環境は絶えず変化するため、戦略も継続的に見直す必要があります。これらを勘案すると、実は標準化を指向するパッケージ製品と、独自性と変化が前提となる人材管理は本来的に相性が良くないと言わざるを得ないのです」(大島氏)

 また、多くの日本企業にとって、タレントマネジメントはまさにこれからの取り組みであることも挙げられる。大島氏によると、タレントマネジメントシステムの導入を成功させるには、システム化の目的を明確にすることが肝要なのだという。「多くの日本企業では、『自社に有効なタレントマネジメント』とは何かを、走りながら構築していくという状況だと思います。その作業をするための武器として、どんなシステムがあればいいのかを、冷静に考える必要があります」(大島氏)

 その上で、パッケージとの相性の本質を踏まえ、自社の要求と機能の折り合いを付ける作業も必要になるという。大島氏は「このプロセスが欠けた場合には、“やりたいこと”と“やれること”の乖離によって、結局はエクセルなどで作業を行わざるを得なくなることを肝に銘じておくべきでしょう」と強調する。

“機能”だけでなく確実かつ継続的な“データの一元管理”にも注目すべき

 製品選定にもポイントがあるという。タレントマネジメントシステムは経営層や現場が必要とする人材情報を迅速に提供するものだが、「戦略の見直しなどによって、必要とされる人材情報は変化し続けます。そのため、何が適切かを継続的に見直せなくてはなりません」と大島氏は話す。そして、課題克服のために鍵となるのが、“機能”ばかりにとらわれすぎず、確実で継続的な“データの一元管理”に注目をしたシステム選びなのだという。

 「タレントマネジメントシステムには、『後継者選抜』や『コンピテンシー管理』など、経営への貢献度が非常に高いと考えられる機能がいくつも実装されています。そのため、選定にあたっては、機能の優劣に目が奪われがちです。ただし、そもそも必要なデータを一元化することができ、その後も人事データの重要性の変化に対応できなければ、どんなに素敵な機能が揃っていたとしても、処理結果の精度低下は免れず、結局は使えないシステムになってしまうのです」(大島氏)

 とりわけパッケージ製品では、管理できるデータが固定化されがちだ。管理項目を増やせたとしても、限定された方法や範囲に限られてしまうことが多い。結局、管理したい情報が思う通り登録できず、結局はエクセルで作業せざるを得ないのも、このことに起因する。

 一方で、データの重要性が変わるのだとすれば、手作業で管理してきたデータの価値が高まることもあり得る話である。その点を考慮すれば、それらのデータも含めてシステムで適切に一元管理できた方が望ましいことは明らかだ。

 「だからこそ、データの一元管理を最優先に、柔軟な変化対応を可能とするシステム選定が、導入を成功に導くための有力なアプローチなのです」(大島氏)

サントリーや旭化成など大手が導入した人材管理システム

 ただし、その実現は困難でもある。最大の理由は、タレントマネジメントシステムでは、例えば、あらゆる社員に紐づいている各種履歴データを、社員ごとに異なるタイミングで更新することが必要とされる。そうした複雑なデータを、単に会社が基準とする年度という区切りだけではなく、その時々に必要な基準日で複数のデータを同時に確認するなど、多様な切り口でのデータ抽出も行えなくてはならない。加えて、最近の傾向として、各社員の現場での具体的な仕事内容の継続的な収集などに取り組む企業が増えている。そもそも精緻な管理が必要になることに加えて、扱うべきデータの種類や範囲が増え、そうしたデータの収集方法も考慮されなければならないのである。

 こうした高度なデータ管理を実現するものとして、日本の大手企業などに導入されているのが、インフォテクノスコンサルティングの人材マネジメントシステム「Rosic」である。

Rosicが目指すもの Rosicが目指すもの

 同製品はデータの一元化や可視化、活用を目的に、他システムとの連携を前提とした製品である。大きな特徴の1つは、各種連携機能により社内システムやエクセルなど、あらゆる人材データを取り込み、一元化した上で、柔軟なデータロジック設定により、自由度の高いデータ管理を実現できることである。その上に、タレントマネジメントを構築し有効に運用していくために必要となる、現実的な各種機能を提供している。大島氏は、「いわばRosicがあらゆる人材データの格納元となるとともに、検索や分析、シミュレーションなどのRosic自体の機能により、多様な形でのデータ活用が実現されるのです」と力を込める。また、柔軟な開発プラットフォーム上に構築されているため、戦略変更を踏まえた将来的な高い拡張性も担保されている。

 もっとも、タレントマネジメントの実践には、システムの整備に加え、人事戦略の確立などが求められることは既に述べた通りだ。

 「その点を踏まえ、当社は人事コンサルを手掛けるパートナー企業と連携し、人事戦略の確立支援からシステム化の最終目標の設定、収集すべきデータとそのシステムにおける適切な構造の見極め、さらに導入後のフォローまで、システム面以外の人事に関する課題を一貫してフォローできる体制を敷いています。システムを継続的に経営の武器として使い続けるためです」(大島氏)

 人事は難しい仕事である。人は数値として測れない要素が多く、人材配置に絶対的な正解はないからだ。期待された人が失敗する一方、意外な人が活躍したというのは良く聞く話である。

 だが、Rosicを利用すれば、成功や失敗の原因を従来よりも多角的かつ迅速に検証することが可能だ。これにより、いわば人材のPDCAサイクルを回すことも不可能ではなく、人事としてより重要な仕事に注力できるようになる。

 Rosicのユーザー企業には、サントリーホールディングスや旭化成、IHI、本田技術研究所など、多数の従業員を抱え、長期視点で人材育成を行ってきた国内の大企業を中心に100社以上が名を連ねている。これも、その使い勝手の高さがあればこそだ。

 他社との競争の激化によって、人事戦略の重要性は企業にとって増すばかり。Rosicは、人事がその方向性を判断するための羅針盤となるはずだろう。Rosicの存在感が今後、さらに増すことは間違いなさそうだ。

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提供:インフォテクノスコンサルティング株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2015年12月22日