アトランタ市の復旧難航 サイバー攻撃で紙と電話頼みに「猛烈にイライラする」(2/3 ページ)

» 2018年04月06日 12時50分 公開
[ロイター]

アトランタ都市圏の人口は600万人近い。米国勢調査局の最新データによれば、ジョージア州の州都であるアトランタ市本体だけで45万人以上が暮らしている。

市職員がロイターに語ったところでは、警察や財政関係のファイルが正体不明のハッカーによりアクセス不能になっており、ハッカーはファイルの暗号化を解除するデジタルキーと引き替えに5万1000ドル(約540万円)相当のビットコインを要求しているという。

パソコン情報のバックアップ・サーバーにどの程度の障害が起きているのか、また、どのようなデータが「身代金」の支払いなしには復旧できないかという点について、市当局者は明言を避けている。

アトランタ市庁舎の壮麗な高層ビルにあるオフィスでは、市監査役のアマンダ・ノーブル氏が「ハードディスクの中身がすべて消えた」とため息をつく。

彼女が異変に気づいたのは3月22日だった。コンピューターを起動すると、「SamSam」と呼ばれる強力なコンピューターウィルスによってファイルが暗号化されており、開けなくなっていた。ファイル名も同ウィルスによって意味不明のものに変えられていた。

「『何かが変だ』と私は告げた」

市職員がすぐに彼女のオフィスに駆けつけ、コンピューターの電源を切るように告げてから、館内に注意喚起を触れ回った。

ノーブル氏は現在、個人用のノートパソコンで仕事を進め、そこに保存されていた電子メールに書かれてあった進行中のプロジェクトの詳細については、スマートフォンを使って調べているという。

全てのコンピューターがウィルスに感染したわけではない。ノーブル氏によれば、監査室にある18台のうち、10台は無事だった。

<昔ながらのアナログ手法>

アトランタ警察では手書きの事件記録が復活しており、捜査用データベースの一部にはアクセスができなくなったと、カルロス・カンポス報道官は語る。影響を受けたファイルの内容は明らかにしなかった。

「データ管理チームが、これらシステムの通常運用と機能の回復に向けて勤勉に取り組んでおり、近い将来、ネットワークに再接続されるものと期待している」と同報道官は語る。週末までには警官によるデジタル形式での報告書作成が再開されつつあると語った。

一方、市職員の一部からは、状況が明らかにされず、コンピューターを起動しても大丈夫かどうか確信が持てない、と不満の声が聞こえてくる。

「何も知らされていない」と昼食休憩を取りに外出した職員は30日、苛立ちを口にした。

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