AIを活用した問い合わせ対応の自動化はここまできた!業務で“本当”に使えるAIとは?

企業がビジネス競争力を高めるために、これまで以上に重視されているのが、コンタクトセンターや社内のヘルプデスクにおける問い合わせ対応業務である。この業務のスピード感や正確さがなければ、顧客の不満は募るばかりだ。そうした中、この領域にAIの導入が進んでいるのをご存じだろうか。

» 2018年05月16日 10時00分 公開
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 競争の激しいビジネス環境の下、今や企業などでは優れた製品やサービスを提供するだけでなく、より良い顧客体験の提供が求められている。顧客との接点として重要な役割を果たすのが、コンタクトセンターにおける問い合わせ対応業務だ。対応に不満があれば、顧客はすぐに離れてしまい、それが自社のビジネスに大きな悪影響を及ぼしてしまう。

 業種業態問わず数多くの企業で重要性が増している問い合わせ対応業務だが、企業側にはさまざまな課題がある。例えば、顧客対応するコミュニケーターの人材不足だ。商品やサービスが多様化・高機能化している中、コンタクトセンターに寄せられる問い合わせは日々増加・複雑化している。コミュニケーターにはサービス品質や対応速度は維持しつつ、適切に対応するための高度なスキルが求められるため、その負担の重さによる高い離職率が問題となっている。就業者人口が減少している中では、優秀な人材の採用だけでなく維持することもままならないのだ。

 利用者からの不満への対応も求められる。コンタクトセンターへの電話が混み合っていて、なかなかコミュニケーターにつながらなかったり、内容によってはさまざまな部署にたらい回しにされ、問題解決に時間を要したりするという経験をお持ちの人も少なくないはずだ。さらに、対応時間が平日昼間などに限定され、時間外では迅速な解決ができないという悩みもある。

 また、社内に目を向けても、企業競争力強化のためには、業務の効率化は継続的に取り組む必要があるだろう。それを実現するためには、社員からの各種問い合わせに対応する社内ヘルプデスクにも、正確かつ効率的な仕事が求められることは言うまでもない。

問い合わせ業務でのAI活用が急増する理由

 そうした中、このような問い合わせ対応業務の課題を、人工知能(AI)技術を用いた自動化の仕組みで解決しようとする動きが広がっている。なぜだろうか。

 「従来、問い合わせ対応は電話が主流でしたが、音声会話による対応の自動化は難しく、なかなか実現できなかったのです。今ではメールやWebフォーム、さらにはチャットなどでの問い合わせ対応が増えてきていますが、それらはテキストでやり取りするため、AI技術を適用しやすいのです」と、NEC AIプラットフォーム事業部 シニアエキスパートの高橋勝彦氏は、問い合わせ対応チャネルの変化があり、それがAIを使った自動応答が注目されるようになった理由だと説明する。

NEC AIプラットフォーム事業部 シニアエキスパートの高橋勝彦氏 NEC AIプラットフォーム事業部 シニアエキスパートの高橋勝彦氏

 実際に問い合わせ対応業務のAIソリューションは急速に増えており、NECでもAIを活用した自動応答ソリューションを提供している。同社の自動応答ソリューションには、主に2つのユースケースがある。1つが顧客向けのAIチャットボットで、一問一答型や対話型などさまざまな形式で、問い合わせに対して最適な回答を自動で返答する。単純な問い合わせはチャットボットで対応し、コミュニケーターはより複雑な問い合わせに専念させることで、利用者への対応品質を維持しながらコミュニケーターの業務効率化に貢献する。もう1つがコミュニケーター向けとして、問合せに対して適切な回答をコミュニケーターへ提示するものである。

 これら2つのケースで活用するのは、よくある質問とその回答を集めた「FAQ(Frequently Asked Questions)」のデータであり、蓄積されているFAQデータを検索して最適な回答を導き出す。しかし、さまざまな言い回しで寄せられる問い合わせ内容に対し、従来のキーワード検索などで対応していては、少しの表現の違いによって意図しない回答が導き出されてしまい、解決までに時間を要することも少なくない。多様な表現の中から質問の意味を正しく理解し、そこから高い精度で最適な答えを導き出すことが重要となるのだ

 その精度を高めるための技術として、他社にはないNECの武器となっているのが、テキスト含意認識技術である。試用した企業からの評価も高いこの技術とは、一体どのようなものなのだろうか。

企業と顧客双方にメリットをもたらすテキスト含意認識技術

 NECの自動応答ソリューションの特長であるテキスト含意認識技術では、2つの文章があった時にそれが似たような意味かどうかを判別するのが基本機能となる。問い合わせで寄せられた質問文と、あらかじめ整備したFAQにある質問文とを比較し、似たような意味を持つ質問文がFAQから見つかったら、対応する回答を返す仕組みだ。

 似たような意味かどうかを判断する仕組みの実現は容易ではない。例えば、「突然エンジンが止まった」と「急にエンストした」という文章では、単語表現は異なるが同じ意味となる。これをコンピュータが同じと判別するには、「突然」と「急に」、「エンジンが止まった」と「エンストした」が同じものだと辞書に登録する必要がある。文章にはさまざまな表現があるので、意味の一致を判別するために同じ意味の単語を全て登録するのは大変な作業となるのだ。

 また、「エンジンから突然異音がした」といった文章では、「エンジン」「突然」のように同じ単語が含まれているが、文章の意味は異なっている。そうした場合においても、その意味を正しく判別しなければならない。こちらについては、同義語辞書だけでは判別できないのだ。

 対してNECのテキスト含意認識技術では、同義語だけでなく否定語など複数の辞書を持っており、それらを使ってスコアリングを行い、2つの文章の意味が似ているかどうかを判断する。単語の意味の一致だけで判別するのではなく、文章をフレーズで捉え、認識することで「日本語の文章のさまざまな表現にも対応できるようになっています」と高橋氏は胸を張る。

 「NECのテキスト含意認識技術による検索ならば、キーワード検索よりも高精度かつスピーディーに結果が得られるのです」と高橋氏は強調する。利用者は知りたい内容を検索する際に、自然文のまま入力すればよく、コンピュータがそのまま解釈して質問の主旨に沿った回答を導き出すことができるという。

テキスト含意認識技術のイメージ テキスト含意認識技術のイメージ

 テキスト含意認識技術のもう1つのメリットが、チャットボットなどを導入する際に準備するFAQデータの量が少なくても、精度の高い回答を提供できることだ。通常は、さまざまな質問パターンを想定したFAQデータを用意しなければ、なかなか回答精度は上がらない。1つの回答につき最低でも10〜20個の質問パターンを用意するそうだ。そのため、運用を開始するまでに数カ月もかけてFAQデータを整備しなければならない。

 一方、NECのテキスト含意認識技術を活用したチャットボットでは、1つの回答に対し数個の質問パターンを用意することで、精度の高い回答を提供できるという。そのため素早く本番環境での導入が可能で、運用に入ってからのFAQデータの追加や修正などのメンテナンス作業も削減できる。このようにNECのテキスト含意認識技術を使うことで、精度の高い回答を顧客に提供できる自動応答の仕組みを素早く導入できるようになるのだ。

 「さまざまな企業にヒアリングしてみると、他社製のAIエンジンで試験導入を行ったところ、FAQデータの整備でかなり苦労したうえに、なかなか回答の精度が上がらなかったケースがあるようです。そうした企業にNECのテキスト含意認識技術を試していただきたいですね」と高橋氏は胸を張る。

顧客向けだけでなく、社内のヘルプデスクにも

 自動応答ソリューションを活用できるのは、外部の顧客向けだけではない。前述した社内のヘルプデスクも同様だ。例えば、社内手続きで分からないことが発生した際に、すぐにそれを解決できるようにしたいのだが、ここで活躍するのが社内ヘルプデスクである。たとえ社内からの問い合わせであっても、正確で迅速な対応が求められる。

 ただし、社内ヘルプデスクなどでは、問い合わせ対応のノウハウが人に依存してしまうことも多い。加えて、知識のある人が片手間に対応している場合も多いため、その人に問い合わせ業務が殺到してしまうことはよく見る光景ではないだろうか。企業は迅速に問題解決ができるスキルの高い人をもっと担当に据えたい一方で、ヘルプデスク業務にはなかなか人員を割けないというジレンマがあるのは事実だろう。そこで自動応答ソリューションが効果を発揮する。

 すでに導入が始まっているNECマネジメントパートナーでは、社内のヘルプデスクに寄せられる、人事、総務の手続きや経費精算などに関する社員の質問に自動回答することで業務効率化を見込んでいる。同社ではトライアル段階から問い合わせに対する正答率が90%以上と高い精度を発揮しており、ヘルプデスクのコミュニケーター作業時間も30%以上削減できる見込みだ。

 「提供開始からわずか3カ月で、製造業や金融機関、官公庁など、大手企業を中心にすでに十数社がトライアルや検討を開始していますが、多くの企業がまずは自社内のヘルプデスクへの問い合わせで使い、そこで効果を実感して外部の問い合わせにも広げる動きとなっています」(高橋氏)

活用の広がる自動応答ソリューション

 テキスト含意認識技術だけでなく、同社が提供する他のAIエンジンとの連携も検討されている。

 例えば、クルマの運転中にトラブルが起きて、顧客が自動車メーカーのコンタクトセンターに問い合わせる際、スマートフォンでクルマなどのダッシュボードに表示される故障のインジケーターを撮影し、その写真をアップロードすると、画像解析エンジンでそれを認識し、その結果と質問内容から最も関連性の高い回答を顧客に提供するのだ。

 また、企業の業務システムとも連携する見込みだ。スケジュール管理のやり取りをチャットボットで行い、例えば、アポイントの訪問先が決まればそこまでの移動時間や交通手段の情報を他のシステムから取得し提示する。さらにはそこから経費精算システムと連携し、訪問終了後に自動で交通費の精算を完了といったことも容易に実現できる。

実用化が進むNECのAIソリューション

 NECのAI技術は、テキスト含意認識技術を活用する自動応答ソリューションだけではもちろんない。NECにはAI分野で半世紀あまりにおよぶ技術蓄積と事業実績があり、「世界でもトップクラスの性能を持つAI技術群があります」と高橋氏。主に実世界のさまざまなものの稼働状況を「見える化」し、「分析」して、その結果を用いて「対処」するという3つの領域をAI技術で実現している。

 「これらを「NEC the WISE」というブランドで体系化しており、それらの技術要素を最適に組み合わせ、ソリューションの形で提供しています。」(高橋氏)

 経営層などから「わが社でもAIを活用したい」などと言われ、どこから手を付けて良いか悩んでいる人たちは多いだろう。

 NEC the WISEの技術群を基にしたソリューションは、きっと御社のビジネス成長の大きな助けとなるはずだ。

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提供:日本電気株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年6月15日



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