鍵は「フロントERP」 すぐにでも実現可能な仕組みとは財務部門はもっと評価されるべきだ

同じ企業の「カネ」を扱う部門で経理と財務の扱いが違うのはなぜか。財務がもっと“輝く”ことで企業の成長が促進されるという。その理由を聞いた。

» 2018年09月03日 10時00分 公開
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 企業にとって「カネ」の管理は極めて重要な業務だ。資金をどれほど、どのように使っているかを把握することは、経営者にとって非常に重要なミッションの1つである。

 ITも、そのニーズに応じて発達してきたように思える。経理部門では、古くから会計管理ソフトウェアが利用されておりERPも多くの企業が標準的に利用するシステムとなった。

 一方で、同じカネを管理するはずの財務部門は、経営者の関心が低く、IT化も進んでいないケースが多い。しかし、特に日本企業が成長を見込んで海外展開を図ろうとしたとき、財務管理は非常に重要な役割を担うことになる。

 なぜ財務は軽視されがちなのか、どのような「武器」があれば財務部門は大きな力を持てるのか。会計管理と財務管理は、どのように連携すべきか。詳細を解説しよう。

軽視されがちな財務IT

 財務部門は、組織の資産や負債、損益、キャッシュフローを幅広く管理する部門である。事業やプロジェクトの収支、資金の調達や運用などを担い、場合によってはM&Aをサポートする役割も果たす。特に海外展開を行っている企業においては、国内外の事業全体の財務を管理する必要がある。

 しかし、これまで財務の重要性を認識していない経営者が少なくなかった。どちらかというと「どれほど資金を使ったか」という情報ばかりに目が行きがちで「どれほど資金を使えるか」という点を軽視してしまう。財務部門もサポート役として捉えられることが多く、ここに投資をしようと考える経営者も少なかった。

 既存のIT資産の運用に追われており、なかなか新しい取り組みを実施できないという問題をIT部門も抱えている。財務ITの重要性は理解できたとしても、専門性が高く利用者も限られているため、影響力の強い既存システムを優先せざるを得ないというわけだ。

財務部門は「宝の番人」

 軽視されがちだった財務部門だが、最近では景気が向上しつつあることもあって状況が変わりつつある。積極的に海外展開を図ったり、事業の拡大に取り組んだりする企業が増え、財務の重要性が再認識されている。財務を可視化するためのITを検討するようになって、初めて1つの課題に直面しているという。

photo キリバ・ジャパンの小松 新太郎氏

 「経理や会計は、重要視する経営者が多かったこともあり、会計管理パッケージやERPなどのITが活発に開発され、広く普及しています。しかし財務は、これまで強力なITツールが開発されてきませんでした。専門的で複雑な業務を担当しているにもかかわらず、国内外の全ての財務をExcelシートで管理している大企業もあるほどです。財務部門は、自らの業務を高度化するための“武器”を持っていないのです」と、キリバ・ジャパン代表取締役社長の小松 新太郎氏は指摘する。

 財務部門は欧米企業などで「トレジャリー」と呼ばれることがある。小松氏によるとトレジャリーの役割は、事業に必要な資金をグループ内外から調達するファイナンス業務を通じて宝を探し、調達した資金が毀損(きそん)しないようにリスクマネジメントによって宝を守り、そして余剰資金を減らし資金を効率的に活用するキャッシュマネジメントにより宝を持ち腐れにしないことだという。

 「資金は企業活動の生命線です。その資金を預かる財務部門は宝の番人であり、役割は非常に重要です」(小松氏)

立ちはだかる「SAP S/4HANA移行」

 小松氏によれば、多くの企業にとって、財務ITの課題を一層難解にしている問題があるという。国内では、SAPのERPソリューションを利用している企業が多い。しかし、現行バージョンであるSAP ERP(「SAP ERP 6.0」「SAP Business Suite 7」)のメーカーサポートが2025年に終了してしまうのだ。既存のユーザー企業は、新しい「SAP S/4HANA」へ移行するかどうかの選択を迫られている。

 2025年はずいぶん先のことに思えるが、ERPは検討から実装まで長期間かかるのが一般的で、移行までの期間は決して十分とはいえない。技術者不足の懸念もあって、検討を急いでいる企業も多いという。限られた時間とリソースの中で、財務ITを含めてインフラの再構築を検討するのは、確かに難しい問題だ。

財務ITとERPで完全なデジタルツインを目指す

 SAP S/4HANAは、リアルタイム処理を追求した強力なERPソリューションである。しかし、財務部門向けの専門機能はあるものの、利用するためには各拠点やグループ全体で、システムをSAP S/4HANAに統一しなければならない。財務ITは、複数の拠点・部門に分散した情報を統合管理する仕組みとなるが、国内外でシステムを統合するのは非常に難しいだろう。

 そこで小松氏は、財務ITについて“ERPの外”で解決する策を見いだした。顧客管理(CRM)や経費精算、人材管理といったERPだけではまかなえない企業活動に重要な仕組みであるフロントシステム──「フロントERP」として、財務ITを捉えるという考え方だ。

 ERPの最大の目的は、日常の企業活動をリアルタイムにシステムへ反映することだ。これはIoT分野でよく言われる「デジタルツイン」を実現することである。小松氏は、ERPとクラウド型財務管理ソリューション「Kyriba Enterprise」とを組み合わせると、この目的を達成させられると述べる。

 「ERPのリアルタイム性は、技術的には完全ではなく、ある程度のタイムラグが発生します。例えば、銀行口座から払い出しが発生したことを、ERPは知るすべを持ちません。ERPに情報が入ってくるのは、支払いが完了した後です。Kyriba Enterpriseであれば、銀行口座の情報をリアルタイムに取得して、資金の動きを把握することができます。完全な資金管理のデジタルツインを実現できるのです」(小松氏)

 仮に、支払い業務で不正が行われたとしても、ERPで把握できるのは事後のことだ。ERPで把握した時には既に対処不能、といった状態になり得る。Kyriba Enterpriseであれば、払い出し行為そのものを把握できるため、不正を検知して防止することも可能だ。性悪説を主張するわけではないが、より大きな企業への成長を図るのであれば、そもそも不正ができないプロセスにすることが重要である。

Kyriba Enterpriseは財務担当者の強力な武器となる

 小松氏は、キリバ・ジャパンの在り方として、顧客の成功(Happy)を導き、顧客から信頼(Trust)され、その結果としてさらなるビジネスの機会(Business Opportunity)を得る「ゴールデンサイクル」を目指したいとしている。

photo キリバ・ジャパンが目指す「ゴールデンサイクル」

 このサイクルの実現によって、Kyriba Enterpriseは企業の財務部門の武器として働き、財務担当者は経営者から信頼される。そして、クラウドサービスであるKyriba Enterpriseを使い続けてもらうために、キリバ・ジャパンは継続的に顧客満足度の向上を図る。

 「ゴールデンサイクルへの取り組みを強力に推進するためには、キリバ・ジャパンのリソースだけでは不十分で、ユーザーを支援できる協業パートナーの存在が重要です。特にSAP ERPの連携については、Kyriba Enterpriseをより効果的に利用するだけではなく、ERPの価値をさらに上げるためにも協業パートナーの存在は欠かせません。今後、キリバ・ジャパンは各事業者との協業連携を推進し、またパートナーを支援する専門家(Center of Excellence:CoE)の育成と採用を強化して、多くのユーザーがKyriba Enterpriseを活用できる体制を整えたいと考えています」(小松氏)

 日本企業においては、財務の高度化と業務改革のニーズが急速に高まっている。Kyriba Enterpriseは、そうしたニーズに応えるクラウドサービスだ。Kyriba Enterpriseの活用により財務部門は大きな武器を持ち、企業の宝である「資金の番人」としてより存在価値を上げることができるだろう。「Kyriba Enterpriseを、企業の国際競争力強化につなげていただきたい」と小松氏は語る。

 では、企業のKyriba Enterprise導入事例を紹介しよう。

強い財務体質を目指す企業

 Kyriba Enterpriseは、既に世界中で約1800の企業が利用しており、Amazon.comやスターバックスといった流通・小売り系、GE(General Electric)やABBなどのエネルギー系、SpotifyやAirbnb、UBERといったサービス系、シマンテック、Oracleなどのテクノロジー系と、幅広い業種・規模で、新興・老舗にかかわらず活用されている。

 海外だけではなく、国内のユーザー数も急速に伸びている。

 例えばコニカミノルタでは、Kyriba Enterpriseによって国内関連会社間の決済をキャッシュレス化し、銀行手数料の大幅削減に成功しているとのことだ。また、グループ会社に滞留する資金をリアルタイムに管理したことで保有キャッシュを半分程度に抑えて、投資効率の向上にも成功した。

 また有機顔料、合成樹脂の事業を担うDICでは、SAP ERPとKyriba Enterpriseを利用し、海外子会社の資金繰りを可視化、その作業は完全自動化されているという。子会社の報告業務がゼロとなり、大きな業務効率化を図ることができた。

 「日本のKyriba Enterpriseユーザーの多くは、海外拠点やグループ会社の資金口座を可視化して、リスク管理に努めています。Excelの管理に悩まされ、検算にも長時間かかっていたことでしょう。Kyriba Enterpriseで自動化・可視化することで、リスクを確実にコントロールできるようになるのです」(小松氏)

 一方、資金口座を可視化するためにKyriba Enterpriseを使おうとして、事前の手続きに手間取る企業は多い。銀行との接続手数料が均一化されておらず、海外を含めた複数の銀行とやりとりが必要になるためだ。キリバ・ジャパンでは、銀行とのコミュニケーションや手続きを支援する「プレミアムサポート」を合わせて提供している。スムーズに口座を接続し、財務状況を速やかに把握するため、既存のユーザーのほとんどが活用しているという。銀行との調整に苦労している担当者には心強いサポートになるだろう。

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提供:キリバ・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2018年9月24日