電子サインを埋め込んだPDFを共通基盤として、ペーパーレス化を実現した京都銀行(2/2 ページ)

» 2019年07月24日 10時00分 公開
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PDFを共通基盤として使うことで、将来のペーパーレス化加速に布石

 PDFは、既存の帳票を変換して利用できるため拡張性が高い。さらに閲覧だけではなくデータが入力でき、入力したデータを1つのファイルにまとめて保管できる「デジタルコンテナ」的な使い方ができる。スカイコムのSkyPDF WebAPIを使うことで、サーバのデータを読み出してPDFに表示したり、入力されたデータをJSON形式で出力してサーバに保存したりといった柔軟性もある。

システム部システム企画室の山本眞士室長

 この柔軟性を生かせるものとして、京都銀行はPDFを共通基盤に置く仕組みを作り上げた。各種業務システムをいったんPDF基盤に接続し、仮想環境上のPDFにiPadからアクセスする流れだ。

 「業務にひも付いている電子サインの仕組みだと、それに縛られてしまう。それを避けるためにPDFを使って基盤化し、PDFを作ったり、PDFにサインを埋め込んだりして、いろいろな業務で使おうと考えた」(山本氏)

 複数のPDFソリューションを比較したが、電子サインの情報を、筆跡データだけでなく画像としてもPDF内に保存できることが、スカイコムのSkyPDF WebAPIを選択した決め手の1つとなった。PDF内にすべてのデータが保存されるため、将来的にスカイコムのシステム以外でも利用できる利点もある。

 SkyPDFの仕組み自体が共通基盤として使えると、矢島氏は評価する。「他社のシステムでは、電子サインのデータをPDFとは別に保存する仕組みを用意する必要があった。SkyPDFでは、PDFファイルの中に埋め込んで保存できる。そのため一つずつシステムごとに開発しなくても、PDF共通基盤として開発することでコストを下げ、開発効率も上げることができた」

PDF活用は事務作業削減だけでなく、データ活用にもメリット

 PDFを使った電子サインの仕組みを使い、各業務のペーパーレス化を進めた。銀行の現場での反応はどうだったのか。

 「紙の申込書があって、iPadから同じものを見ることができて、手書きでサインしたりチェックしたり同じようにできる。店頭の受付シーンなどを考えたときに、わざわざキーボードを出して入力してもらうのには違和感がある。手書きならペン一本で使えるのがいいと評価された」(山本氏)

 ペーパーレス化によって事務業務を削減できただけでなく、データ活用の面でもメリットがあった。「データ化されているので、そのデータを元に管理系の業務が楽になった。集計なども簡単だ」(西川氏)

京都銀行が構築したPDF共通基盤のシステム構成図

京都銀行の業務効率改善、次の一手

 PDFをベースにした基盤を作ったことで、そのほかの業務のペーパーレス化を進める際にもコストを抑え、スピーディーに開発が可能になった。次の一手はどこにあるのか。

 「口座開設業務のペーパーレス化は検討中」だと山本氏は話す。そのほかにも、例えば店頭の申し込みは全部紙を止めるということもシステム的には実現できるという。単純な申し込みやアンケートならば、現状の基盤で簡単に作れる。「PDF1つ作るのに、システムを作るような費用はかからない」(山本氏)からだ。

京都銀行システム部の矢島茂利次長

 ペーパーレス化によりデジタル化したデータをどう活用するかが大切。取引量が多く、業務改善効果が大きいものを見定めて取り組む方針だ。

 銀行のシステム開発というとじっくり検討を重ねるイメージが強いが、京都銀行のペーパーレス化では、17年5月に検討を開始してから約半年後の10月には実業務での試行を開始した。基幹システムでは慎重さを大事にして開発に取り組んでいるが、業務改善面の開発では、外部のソリューションをうまく活用し、現場での検証も含めて迅速なPDCAを回す形に変わってきている。このスピード感も京都銀行の強みだ。

 「京都銀行は、先陣を切ってITを活用した業務改善を行う方向になってきている。スピード感を持って、新しいことをやっていく」(矢島氏)

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提供:株式会社スカイコム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2019年8月30日

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