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» 2020年03月02日 10時00分 公開

小型で使いやすいグローバルスター 衛星通信が拓く、海洋観測の今

地球環境が激変するなか、海洋についてのデータを集める海洋観測市場が盛り上がりを見せている。観測に使うのは、海面に浮かぶブイだ。ブイにGPSや衛星通信機能を搭載することで、さまざまなデータが取得できる。Globalstarが提供する小型の衛星通信機が、海洋観測を変えようとしている。

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 地球温暖化が騒がれる中、海洋での気象、海流、水質などの観測は計測データを無線で陸上に伝送するブイシステムとして50年前から導入されてきた。昨今、海洋観測の世界でも小型化軽量化省電力化が進み、合わせて飛躍的に技術が進化してきたのは、ブイに衛星通信装置が搭載されてきた点が大きい。

 「普及とともに技術も進歩し、都度ユーザーのニーズも変わってきましたが、当社はその場面場面において衛星通信を用いた海洋観測データ通信を先駆的に導入してきました。現在は海洋観測の中で欠かせないインフラとして取り組み、今日に至っています」 

 そう話すのは、海に浮かぶ航路標識などのブイの国内最大手メーカーである、ゼニライトブイ(大阪府池田市)の小森茂典氏だ。ゼニライトブイは、1972年創業。直径30センチくらいの小型のブイから、直径10メートルにも及ぶ大型のブイまで手掛け、港湾管理者や自治体だけでなく、電力会社や漁協、大学研究機関など、幅広い分野でブイを提供している。

海洋観測の今について話を聞いた、ブイ最大手メーカー、ゼニライトブイの皆さま

 もともとは、船舶が目印に使うための航路標識となるブイの製作を手掛けてきた同社。周囲を海に囲まれた日本でニーズが高い、海洋観測にブイを使うという方法をゼニライトブイは70年代から先駆的に取り組んできた。

広がる海洋観測市場

 例えば日本近海では、サンマは黒潮の暖流域で孵化(ふか)し北上、オホーツク海方面で成長したあと、秋になると親潮に乗って南下し、日本列島を囲むように回遊する。しかし、この海流の流れは、海流に乗って日本近海で回遊する魚類の生態と密接な関係があり、ブイなどを使って漂流観測しないと分からない。

 19年の秋、サンマの不漁が話題になった。秋の味覚として日本の食卓に不可欠なサンマ。獲れない理由としてさまざまなことがいわれたが、明確な原因は分かっていない。

 「なぜ魚が取れないのか。外国船が獲っているだけじゃなくて、環境の変化があります。今後、戻ってくるのか、戻ってこない環境に変わりつつあるのか。それを知るためには海洋環境の調査が必須なのです」 (ゼニライトブイの吉田氏)

 災害時にも潮流観測が重要だ。「東日本震災のときに、ゴミがどこに流れていったのかは、潮流についての事前の研究によって分かりました。人工衛星で海面表層の流れをとらえることもできるが、海面下で起こっていることは分かりません」

 温暖化など、地球環境の変化が話題になるなか、こうした潮流観測への期待が高まる。小森氏によると、日本では70年に日本海において気象庁が海洋の気象観測をするために、同社がブイを開発することになった。「米国では大きなブイを定点に係留して観測する方法が導入されていて、それを日本でも開発しようという計画が、観測用ブイのスタートでした」

 10メートルクラスのブイを、日本沿岸の3、4箇所に設置。当時は電池がもたないために、2〜3年毎にメンテナンスする必要があったという。ブイを定点に設置するには、海底に重りを置きケーブルで接続しなくてはならない。この係留するケーブルのメンテナンスも大変なので、00年ころからは海流に乗って移動する漂流型が登場してきた。

ゼニライトブイが提供する、中型のブイ

 当然、海上を漂って移動するものなので、ブイにGPSと計測装置を積んで計測し、衛星通信装置で位置情報と計測データを送る。初めて漂流型のブイが日本で導入されたのは30年ほど前だというが、そのころは小型のブイといっても、直径1メートル、重さ200キログラムほどの大きさがあった。

小型で使いやすいグローバルスター衛星通信がこれまでの常識を変えた

 この状況を大きく変えたのが、衛星通信システムの進化だ。「当時の衛星通信システムを搭載した漂流ブイは数千万円もして、しかも免許を取る必要がありました。通信費用も高額で限られた省庁でしか採用されずほとんど普及しませんでした」

 その後、各社が衛星通信に参入するたびにブイへの搭載を進めてきたなかで、徐々にコストは下がってきたが、それでもまだ位置情報を多点で取りたいというニーズに応えられるほどにはならず、「衛星通信のブイは高い」というイメージは直近まで変わらなかった。「モジュールを買って、回路設計はこちらでしなくてはならない。数がまとまればコストも下がるが、特注のシステム以外、海洋用の場合は標準化が難しいのです」と、小森氏は振り返る。

 そんなこれまでの常識を大きく変えたのが、18年に日本でサービスを開始したGlobalstar Japanの衛星通信システムだ。Globalstar Japanは、世界に4社しかないグローバルな衛星携帯電話サービスを提供する米国企業Globalstar(91年設立、本社ルイジアナ州)の日本法人だ。現在世界122カ国で利用可能で、衛星携帯電話を始め、SPOT位置情報端末、法人市場向け衛星IoTモジュールを中心に、世界で75万余りの端末が利用されている。

 日本でも、サービス開始当初から企業向けBCP対策用途として衛星携帯電話を主に大手企業や地方自治体向けに販売し、19年から本格的に衛星IoT市場へアプローチしてきた。同社の超小型GPS位置追跡装置「SPOT Trace(スポット・トレース)」は重さわずか90グラム。衛星通信システムとGPSユニットを標準で備えている。日本周辺の海域は元より、世界中の多くの地域が通信エリアとなっており、端末から送信されたデータはGlobalstarの衛星を経由して約1〜2分で専用のクラウド上のシステムで確認できる。

超小型GPS位置情報端末の「SPOT Trace」。単4型リチウム電池4個を内蔵し、60分に1度のトラッキングの場合、約50日間利用が可能。国際規格であるIPX67の防塵(ぼうじん)防水規格にも対応する

 日本での商用サービス開始を聞きつけたゼニライトブイは、すぐに海洋観測用の試作機を作り始めた。「日本でのサービス開始からすぐに検討を始めました。海洋観測用に衛星通信ユニットがほしいけど予算がそれほどない、そんな若い研究者が買える衛星IoT端末なのです。現在販売している衛星通信式ブイに比べ、機能が固定されるが、これまでの3分の1以下で買えるようになりました。誰でも手が届く価格帯です」(小森氏)

 さらに、大学や自治体など公的機関で利用する際に、Globalstarの大きなメリットとなったのが通信契約が不要ということだ。予算があっても、法人や団体で契約を結ぶとなると事務手続きが複雑で大変な手間と時間がかかる。Globalstarは1年分の利用料込みでの提供もされていて、買うだけですぐに利用できるところも大きく評価された。

 衛星IoT端末が小さいことから、ブイ全体を小さくできる。ブイには海流を受けて移動するように抵抗体が付いているが、ブイが小さいとこれも小さくできる。全体に小型化できるため、運搬などの取り回しもよい。

ブイの実物。バッテリーを備えライトを点滅させることで、船舶の航行安全を守る
SPOT Traceを組み込んだ試作のブイ。小型で電源を含めて完結しているため、シンプルな用途であれば簡単に組み込むことができる

災害時の通信システムとしての期待

 日本でのサービス開始からまだ1年少々のGlobalstarだが、海洋研究用途では使い勝手の良さが口コミで広がっている。特に漂流観測用途では、「これまでとはひと桁違うボリュームでの利用が見込まれる」(ゼニライトブイの奥本氏)という。

 「小型軽量でコンパクト。GPSレシーバー、衛星通信アンテナも入っている。これは魅力的です。SPOT Trace単体で完結しているので、小型のブイでもどこにでも付けられる。防塵(ぼうじん)防水規格も取っているので海洋利用にも適しています。外部電源がつなげられるのもメリットですね」(ゼニライトブイの山田氏)

 小型で誰でも使いやすいという特徴から、海洋観測以外の用途でも活用が始まっている。小型のブイは、台風などの悪天候時にまれにケーブルが切れて流れていってしまうことがある。GlobalstarのSPOT Traceをブイに付けておけば、特定のエリアから流れ出てしまうと衛星通信経由で管理者にアラートを出してくれるという仕組みだ。

 もともとGlobalstarのSPOT Traceは重機など、高価な資産の遠隔監視用にも使われており、設定したエリアから出ると、インターネット経由でユーザーに通知を送る機能を持っている。これを応用した形だ。

 ほかにもさまざまな用途への広がりが想定されている。例えば防災用途だ。東日本大震災の際にも、東北地方沿岸に観測ブイがあり、携帯通信と衛星通信システムを入れていた。震災のときに、携帯の地上基地局が壊れてしまったが、衛星通信網に切り替わって通信が継続されていたという。

 「何か緊急の事態があった際に衛星通信は活躍します。一般的には衛星通信はコストが高く、大変使いにくいイメージがありますが、Globalstarは携帯電話の位置情報端末よりもむしろ手軽で安価なシステムが期待できるので、携帯のようなサービスエリアを気にせず、地球上のあらゆる通信ニーズに対応可能です。本製品はこれまで考えもしなかった分野での利用が広がるでしょう」(小森氏)

衛星IoTに適した法人専用モデル、SmartOne(スマートワン)シリーズ

 Globalstar Japanでは、今春、法人市場に向けて新たな衛星IoT端末「SmartOneシリーズ」を販売する予定。携帯電話の圏外エリアでの資産監視、状態監視や位置情報トラッキングなど、あらゆるニーズに対応できる。特に太陽電池を搭載した「SmartOne Solar(スマートワン・ソーラー)」は内蔵のバッテリーをソーラーパネルで充電するため、電源を取りづらいコンテナ、トレーラー、重機などや海洋の大型ブイなどでの利用も期待されている。

組み込みモジュールとして柔軟な使用が可能な「SmartOne C」(左)と、太陽電池を搭載した「SmartOne Solar(スマートワン・ソーラー)」

製品に関する問い合わせ先:

Eメール: Info.Jpn@globalstar.co.jp


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提供:株式会社Globalstar Japan
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年3月18日