「カスタマーサービスはコストセンター」? マネーフォワードの“CX戦略”から見えた、顧客視点が放つ圧倒的効果顧客ロイヤルティを高める方法とは?

2022年2月、カスタマーサービスプラットフォームを提供するZendeskが、CXをテーマにしたウェビナーを開催した。ウェビナー内には、Netflixの創業者であるMitch Lowe氏のほか、日本からはマネーフォワードでCS本部を束ねる竹下晴基氏等が登壇。顧客視点の重要性と、コストセンターとして捉えられがちなカスタマーサービスから得られる“真価”について言及した。時代の先端を走る企業が考える、CXとは何なのか?

» 2022年04月27日 10時00分 公開
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 コロナ禍でデジタルシフトが進んだことで、オンライン上のCX(カスタマー・エクスペリエンス)を重視する消費者は増加傾向にある。デジタルを活用した最適な顧客接点の設計は、今企業が取り組むべき最重要課題の一つといえるだろう。

 そこで、顧客接点を考える際に参考にしたいのが、Zendesk主催で2022年2月22日に開催されたオンラインセミナー「CX Trends 2022 Japan」だ。国内外のCXトレンドをキャッチしつつ、自社に合った顧客接点を設計するポイントはどこにあるのか。ウェビナー内で語られたマネーフォワードの成功事例とあわせて紹介する。

消費者はリアルの「おもてなし」をオンラインでも求めている

 ウェビナーは、Zendeskでグローバル戦略イベント シニアディレクターを務めるSarah Reed氏のあいさつからスタート。Netflixの共同創業者であるMitch Lowe氏の講演を経て、米ZendeskのCTOであるAdrian McDermott氏にバトンが渡された。

 Adrian McDermott氏がまず言及したのは、毎年自社で実施している「CXトレンドレポート」の調査結果だ。これは、世界21カ国のアンケート調査と、Zendeskのベンチマーク調査に参加する9万7000社以上のサービスデータであり、Adrian McDermott氏は「調査結果から得たインサイトと共にCX向上のヒントを紹介する」と解説を進めた。

photo ウェビナーでCXトレンドレポートについて解説する、米ZendeskのCTO、Adrian McDermott氏

 何でもレポートによると、消費者の61%は一度不快な対応を受けただけで「競合他社に乗り換える」と回答。この結果は、前年と比べて22%上昇したことが分かったという。さらに、不快な体験が2回以上になればその数字は76%に跳ね上がる。「今のデジタル市場において代わりの商品・サービスはすぐに見つかるため、対応に不満があればすぐに乗り換えられてしまう」と同氏は警鐘を鳴らす。

日本も同様 コロナ禍で高まるカスタマーサービスの重要性

 続いて登壇した、Zendesk社長の冨永健氏は、「コロナ禍により問い合わせ数は継続して増加傾向にあり、グローバルでは14%増加した」と説明。一方で日本では19%増と、増加率はグローバルを上回ったという。冨永氏は、この要因を「日本はもともとECサイトの利用率が低く、リアルでのコミュニケーションが多かったが、コロナ禍でデジタルシフトが進み問い合わせ数が増えた」と分析する。

 また、グローバルでは61%の消費者が「パンデミックを経てカスタマーサービスに対する基準や期待値が上がった」と回答。日本では、「パーソナライズされていて一貫性がある顧客体験を得られる企業から、より多くの製品やサービスを購入したい」と回答した消費者の割合が79%に達した。

 「日本では店舗などリアルのコミュニケーションで『おもてなし』を受けていただけに、オンラインにおいても顧客対応の期待値が上がっている。オンラインでもリアルのような高品質なコミュニケーションを実現していくことが重要ではないか」(冨永氏)

 では、問い合わせに対応する、オペレーターを始めとするサービス担当者の状況はどうか。グローバルで見ると、15%の担当者が「業務量に満足している」。しかし日本では、その割合がわずか2.5%であり、ほぼ全ての担当者が、負荷が増す業務に疲弊している状況だ。

 この背景には、カスタマーサービスに対するマネジメント層の姿勢がある。冨永氏いわく、「カスタマーサービスとビジネス業績に相関関係がある」と答えたビジネスリーダーはグローバルでは73%だったのに対し、日本では58%にとどまっているという。

Zendesk社長、冨永健氏(左)。日本におけるカスタマーサービスの状況や、CXへの理解度などを解説した(右)

 これを多いと見るか少ないと見るかは人によって違うだろうが、CXに対するヒト・モノ・コトへの投資がグローバルに比べて低いことは事実であり、サービス担当者の疲労度にも影響が出ていることが懸念される。

顧客接点を3段階でデジタル変革 マネーフォワードのCX戦略とは

 現場のサービス担当者が効率的に働ける環境が構築できれば、消費者のカスタマーサービスへの満足度は向上する。その結果、顧客離れを防げるだけでなく、顧客基盤を拡大させることも可能となる。そこで注目したいのが、Zendeskユーザーとしてウェビナーで紹介されたマネーフォワードの事例だ。

 同社は個人向けに「マネーフォワードME」、法人向けには会計、確定申告、請求書作成、経費精算など、20を超えるバックオフィス向けサービス「マネーフォワード クラウド」を提供する。ITreview Grid Awardで最高位を受賞するなど、顧客満足度が高い会計サービスとして知られている。

※法人向けソフトウェア・クラウドサービスのレビュープラットフォーム「ITreview」で投稿されたレビューをもとに四半期に一度ユーザーに支持された製品を表彰する場「ITreview Grid Award 2022 Winter」にて、「マネーフォワード クラウド会計」などが受賞

photo ウェビナーに登壇した、マネーフォワードの竹下晴基氏(ビジネスカンパニー CS本部 副本部長 兼 運用設計部部長)

 それらのカスタマーサービスを一手に引き受けているのが、マネーフォワード ビジネスカンパニー CS本部であり、なんと月間3万件もの問い合わせに部員約60人が対応するという。ウェビナーには、同本部の副本部長 兼 運用設計部部長を務める竹下晴基氏が登壇。同氏は、「コロナ禍の影響で問い合わせチャネルの軸足を電話対応からチャット対応に移し、現在は全体の7割がチャット対応となっている」とCS本部の近況を紹介する。

Zendesk導入で顧客の「分からない」を最速で解決

 マネーフォワードの行動指針に「ユーザーフォーカス」がある。それをCS本部の行動方針に落とし込むと、CSの主な仕事は「課題解決の障害となる『分からない』の解決」だと竹下氏は説明する。

 「目の前の問い合わせに回答することはあくまで業務の一つに過ぎない。ヘルプページやチャットボットのようなセルフサービスの充実や、お客さまの意見を説得力ある形でプロダクトに届けることも業務である。有人対応、セルフサービス対応、ユーザーの意見を届ける対応。この3本柱をもって、お客さまを悩ませることなくプロダクトの魅力を届ける存在を目指したい」(竹下氏)

photo マネーフォワードの行動指針(ウェビナーで使用された、同社資料より)

 マネーフォワードがZendeskを導入したのは15年。「事業規模が数倍に伸びる中で、社内外ともに大きな混乱なく顧客対応ができ、さまざまな施策を実施できたのは、Zendeskの柔軟性によるものも大きい」と竹下氏は振り返る。

 同社はZendeskの柔軟性を生かし、3段階に分けてデジタル変革を進めた。第1段階はZendesk Chatの導入だ。当時は事業拡大に伴って問い合わせ数も急激に増加し、そのときに使っていたチャットソフトが問い合わせ数に対応できなくなっていた。

 そこでチャットソフトをいくつか試し、高機能なレポート機能、オペレーターが使いやすいインタフェース、増加する問い合わせ数に耐えられるソフトとしてZendesk Chatを採用。さらに問い合わせ数が増加した現在も、Zendesk Chatはメインチャネルの窓口として満足度95%を維持している。

 「Zendeskはツール一式を入れることで便利になることが前提ではあるが、現場に重大な課題があれば単独でも入れる価値がある。1つツールを入れておけば、今後の横展開をしやすくなるメリットも大きい」(竹下氏)

「Zendesk一番の魅力」 強固な連携機能とは?

 第2段階では、カスタマーサポートソフトウェアのZendesk Supportを導入した。それまで、電話は社内で開発したツール、メールはクラウドツールを入れていたが、ツールが分かれていることによる二重対応の問題が発生していた。そこで、チャットツールで実績が認められていたZendeskに顧客対応ツールを統一。結果、電話・メール・チャットでの問い合わせを一元管理する環境を構築できたという。

 「構築については社内のセキュリティ担当、運用相談面のアドバイザーにはZendesk公認パートナーに入ってもらい、フロー・マクロ・トリガなどをほぼ一人で構築した。CSメンバーの意見に基づく改善も容易で、エンジニアでなくともすぐにカスタマイズできるのがZendeskの強みである」(竹下氏)

 社内の開発チームごとに課題管理ツールがバラバラだった点も改善。素早いエスカレーションができたり、改善要望を上げやすい状況にしたりするため、Zendeskで完結できるよう一元化する環境も整えた。

 しかし、同社では全てのツールをZendeskに統一しているわけではない。現在、マネーフォワードのチャットボットは他社ツールを導入している。「Zendeskをサポートの基盤にして、必要に応じてさまざまなサービスを同時に運用できる柔軟性がZendeskの一番の魅力」と竹下氏は分析する。

 「企業によって求める仕様は異なる。そこを豊富な連携機能でカバーできるのがZendeskの優位性だ。例えば、Zendesk Chatと他社のチャットボットをつなぎ、1つのウィジェット上でチャットボットが答えられなかった質問に、人間が答える仕組みが実現できている」(竹下氏)

photo Zendeskには、APIのほかWebhookといった連携機能が豊富だという(ウェビナーで使用された、同社資料より)

 開発の案件管理・要望管理ツールとも連携している。マネーフォワードでは最速でサービスを開発するためにスモールチームで組織していることもあり、チームごとに異なるツールを使っている。そこで、Zendeskをハブにそれぞれのツールをつなぎ込むことで、ツールの違いを意識することなくチームを超えてコミュニケーションを取れるようになったという。竹下氏は、「個人情報関連の問題や大規模障害を検知したときには、連携したSlackに即時通知が届き、緊急対応できるような設計を施した」例など自社の取り組みを紹介し、Zendeskを軸に外部サービス連携ツールの併用が、CSにおいては「強力な武器になる」と強調した。

重要なのはZendeskで「何ができるか」より「何をするか」という視点

 デジタル変革の第3段階では、新たに発生したニーズに対応するため、Zendeskのさまざまなサービスを活用している。

 竹下氏は、組織拡大に伴い他部署から「顧客とのやりとりを確認したい」という要望が発生した例を紹介。そこで、Zendeskのライトエージェントを採用したという。これは一部機能を限定する代わりに、プラン次第で追加料金なく一定数のアカウントが利用できる機能だ。無料で問い合わせ内容の閲覧や、社内メモへの書き込みが可能なアカウントが発行できるため、文字通りライトな利用に向けた機能となる。

 今までは消費者からの問い合わせがSlackに通知されても、個人情報保護の観点から、アカウントを持たない部門は具体的な内容が見られなかった。しかし、ライトエージェントを使い、通知に記載されたURLにアクセスすれば、Zendesk上のセキュアな環境で問い合わせ内容を見ることができるという。

 この機能によってセキュアな環境に情報を一元化し、ユーザーのリアルな声を幅広い部署でチェックできるようになった。現在はカスタマーサクセスやマーケティング、営業にライトエージェントのアカウントを提供し、顧客向けの資料作成や日々の対応内容の検討にユーザーの声を反映させている。

 このように、Zendeskを幅広く活用しているマネーフォワードだが、「まだ生かせるところはたくさんある」と竹下氏は先を見据える。

 「『何ができるか』ではなく、『何をするか』から考えられるのがZendeskだ。もし使い方で困った際は、Facebookコミュニティー上で有志により運営されているZenlabや、パートナー会社を通して人に頼れば、会社に適した運用方法が見つかるだろう」。竹下氏はそう説くと、自社の中だけではなく他の力や知恵をかりてZendeskの活用方法を見つけ出し、また共有していきたいと展望を語ったのち講演を終えた。

コストセンターからイノベーションセンターへ 変革が求められるカスタマーサービス部門

 ZendeskのCXトレンドレポートによると、3社に1社がカスタマーサービス部門を「コストセンター」とみなしているという。しかし、対面時における「おもてなし」のようなコミュニケーションをカスタマーサービスでも実現できれば、クロスセルやアップセル、顧客定着率の向上につながる可能性は高い。

 マネーフォワードが高い顧客満足度を誇りながら急速な事業拡大を実現できたのは、顧客接点を重視し、カスタマーサービスを充実させてきたことが要因の一つにある。カスタマーサービスは、収益の向上と優れた顧客体験の両方を提供できる重要な部門なのだ。

 ウェビナー冒頭に登壇したNetflix共同創業者のMitch Lowe氏は、顧客視点に基づいた自社サービスの取り組みに触れながら、「カスタマーサービスの見方を変えてください」と訴え、こう聴講者に語りかけた。

 「カスタマーサービス部門は意思決定権のある上層部に有意義な意見を提供できる。さまざまな視点から、顧客が期待する製品の改善点を伝えることが可能なのだ。カスタマーサービス部門を単なる『コストセンター』ではなく、『イノベーションセンター』として捉え、顧客との関係を強化し、ロイヤルティを高めるために活用していただきたい」

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提供:株式会社Zendesk
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年6月1日

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