会計改革の「空白地帯」 グローバル時代で複雑・高度化する固定資産管理を紐解くには?カギは「標準化」と「効率化」

固定資産管理は会計業務の中でも標準化しにくい業務だ。企業活動のグローバル化が進む中、この状況を放置したままでは「効率性」と「ガバナンス」の両面で問題が増し、経営上のリスクとなってしまう。そこでカギを握るのが、グローバルでの利用に耐え得る十分な機能を備えたツール活用だといえ、中でも注目すべきがプロシップのソリューションだ。

» 2022年03月31日 10時00分 公開
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 国内市場が成熟化する中、新たな成長機会の獲得やコスト削減などを狙いに加速する企業活動のグローバル化。この中で各社が推し進めてきたのがグローバルで標準化された業務プロセスと、業務基盤であるシステムの標準化だ。業務/システムの標準化による各種の“ムラ”の解消を通じて、業務の品質や安定性、効率性を確実に高められる。また、データの連携や集約、一元化も容易となり、グローバルでの状況の可視化、ひいては経営判断の高度化にもつなげられる。

 代表的な取り組みが、より精密かつ迅速な経営数値の把握に向けた会計業務/システムの標準化だ。ただし「会計業務の中には、この流れから取り残された領域が存在します」――プロシップの藤田友秀氏(システム営業本部 営業1部・海外ビジネス営業部 マネージャー)は、そう指摘する。建物や生産設備など、企業活動で利用している固定資産、特にグローバルでの管理業務が該当するという。

 こうした業務で標準化が遅れる大きな原因は、世界各国における固定資産税制の違いにあるという。

プロシップの藤田友秀氏(システム営業本部 営業1部・海外ビジネス営業部 マネージャー)

 「固定資産管理は、現地の法制に合わせて行う必要があります。そこで悩ましいのが、現状として、大手ベンダーのERP製品でも各国の減価償却の違いにまで対応したものがほとんどないことです。無論、カスタマイズすることで各国制度への対応は可能になりますが、拠点を置く国ごとに作業が発生し、少なからぬ手間とコストを要します」(藤田氏)

 これらを背景に、会計業務のほとんどで標準化を完了した企業でも、固定資産管理に限っては大半が現地製パッケージやExcelにより、国ごとに、そして独自に実施しているのが実情なのだという。

グローバル展開している企業が抱える固定資産管理の課題(プロシップ資料)

“非効率”と“ガバナンス欠如”が経営上の問題に

 ただし、この手法では現地がどういう管理をしているかがブラックボックス化しやすい。経営判断に必要な数値は確かに作成されるものの、その意味の把握が困難にならざるを得ない。そして、そのことが企業経営における2つの問題を招いているのだという。

 1点目は「非効率な経営」だ。上記のような固定資産管理では各国資産の一元把握が難しく、有効活用もそれだけ困難となる。必然的に本来は不要な同一資産への再投資も発生しやすい。それだけでなく、固定資産の増加により不要資産の保管料の支払いという二重の無駄が生じてしまう。

 2点目が「ガバナンスの不徹底」である。これは、ERPであれ現地製パッケージであれExcelであれ、帳簿上の固定資産の有無を実際に確認する現物管理業務へ十分に対応できていないことに起因する。毎年、固定資産の棚卸に多くの人手を要しているのも、現物管理業務がほぼシステム化されていないからだ。人手の作業だとミスの発生はどうしても避けられず、場合によっては恣意(しい)的な判断が紛れ込む可能性もある。それらのリスク対応のために国内では責任者が作業ににらみを利かせてきた。

 だが、国外での作業となればどうか。そもそも作業がシステム化、つまり標準化されていないため現地任せとなり、かつ、監督の目も届きにくくなることも相まって上記のリスクが格段に増してしまう。

 「海外ではそれだけ固定資産台帳と現物の不一致が生じやすいわけですが、これはガバナンス上、看過できない問題です。そのことが監査時に発覚すれば、財務諸表の正確性を欠く原因として指摘を受け、修正申告のための工数も生じます。のみならず、現物を正しく把握できていなければ盗難や不正流用などの察知も難しく、対応が後手に回ることで損失もそれだけ拡大してしまいます」(藤田氏)

グローバル標準化の現実解は「ERP」+「ProPlus」+「ProPlus Pit」

 グローバル化がこれまで以上に進む中、この状況を放置できないことは明らかだ。その対応に向けた“現実解”としてプロシップが提案するのが、大手ERPパッケージとプロシップの資産管理ツール「ProPlus」の組み合わせによる固定資産管理の標準化の推進と、現物管理ソリューション「ProPlus Pit」による効率的な現物管理の徹底だ。

「ProPlus」+「ProPlus Pit」がカギを握る(プロシップ資料)

 まずは前者の「固定資産管理の標準化の推進」について説明しよう。藤田氏によると、固定資産管理のグローバル標準化を進めるには、「海外税制への対応」「複数言語への対応」「複数通貨への対応」「複数帳簿への対応」という4つの業務要件に対応する必要があるという。

 対してプロシップは固定資産に特化したパッケージ製品を、国内でも早期の1980年にリリースして以来、顧客の声を踏まえて多様な機能拡張にいち早く取り組んできた。そのノウハウが結集したProPlusは、24カ国の税務標準や各国通貨、そして英語と中国語にも標準で対応。日本基準と現地基準の複数帳簿の同時作成/保持も実現するなど、グローバルにおける固定資産管理の標準化に必要な4要件の全てを網羅する。

ProPlusの導入実績(プロシップ資料)

 しかも、ProPlusはシステム連携によりERPのアドオンとして利用できる点も見逃せない。会計システムの標準化が進む中、固定資産管理がそこから取り残されてきたことは既に述べた通りだが、「ProPlusを会計システムの固定資産管理モジュールとして採用することで、既存環境を生かしつつ、カスタマイズよりもはるかに低コストかつ容易に、固定資産管理の標準化への道筋を付けられるのです」と藤田氏は力を込める。

 会計の世界ではIFRS適用がグローバルで拡大中だ。国内でも日本の会計基準を策定する企業会計基準委員会(ASBJ)が、日本基準のIFRSに準拠する形での見直しを表明しており、将来的な強制適用もほぼ確実な状況にある。

 現行基準であるIFRS16では、あらゆるリース契約の資産計上を原則的に求めており、対応に向け業務とシステムの両面での見直しが必須となる。ProPlusは既にIFRS16への対応を完了しており、導入を通じて固定資産管理の標準化によるデータの一元化と状況の可視化にとどまらず、将来の新基準への対応に向けた布石も打てるわけだ。

グローバルな現物管理もProPlus Pitで効率化

 続いて、適切な現物管理はどのように実現すればよいか。海外拠点における棚卸の問題の根本には、どんな固定資産があり、それらが適切に管理されているかが国内よりもはるかに把握しにくい点がある。同社のProPlus Pitは、この問題に対して活用を見込める。

 ProPlus Pitを端的に説明すると、棚卸に用いる現物管理台帳上の資産データと現物とを、バーコードやQRコードでひもづけて管理するクラウド上の仕組み。その利用を通じて、各資産の「場所」や「管理担当者」などの情報を明確化しつつ台帳を簡単に作成できる。その内容を確認しつつ、固定資産に添付されたバーコードやQRコードをスマホの専用アプリで読み取るだけで棚卸作業を確実に実施できることから、大幅な効率化が見込める。

 「作業後は台帳と自動的に突合され、現物の不足や余剰が明らかとなります。ラベルを貼れない資産についても、現物の撮影により対応しています。これらの仕組みにより、棚卸業務の大幅な簡素化が実現できます。人手に起因するミスも大幅に削減でき、かつ、国内外を問わず作業の標準化も可能です。しかも、クラウドであるため本社からの作業確認も容易で、現地ににらみを利かせられることから、ガバナンスも確実に強化できます」(藤田氏)

「導入後の定着」にも豊富なノウハウ

 もっとも、仕組みがいくら優れていても、システムの導入に際して留意すべきことは多々ある。例えば、新たなシステムを導入したものの、その後に何らかの理由で使われなくなってしまう事例が数多いという。導入後も継続して海外の現場に利用してもらうためには、「なぜ業務改善するのか」といった理念への理解や、入念な事前説明を通した操作方法の浸透が欠かせない。

 この点、20カ国175法人へのProPlusの導入実績を誇るプロシップは、経験とノウハウに大きな強みを持つ。

 「導入作業に割ける人的リソースが極めて限られる企業も、実際問題として少なくありません。この点に関してわれわれは、経験やノウハウを基に、現地向けの説明/教育プログラムを確立しております。コロナ禍で海外出張が難しくなる中、2021年からは動画による教育にも着手するなど、内容の高度化も継続的に進めています」(藤田氏)

 システムの導入・展開に関する“ひな型”も用意している。基本は国内で要件定義と開発を進めつつ、インボイスの扱いなど各国で細かな対応が必要な部分は現地向けに個別の設定を行うというものであり、国内と海外拠点の標準化を実現しながら、現地のニーズにも的確に対応することで、導入後も継続してシステムを活用してもらえるはずだ。

「固定資産管理」を起点に競争力を段階的に強化していくために

 ProPlusを活用し、固定資産管理を軸に大きな成果を上げた企業は既に少なくない。その1社が精密機器メーカーのA社である。

 固定資産管理の可視化が不十分なことに起因する「固定資産比での収益の低さ」に悩まされていたA社は、固定資産の活用度を高めるべく、生産企画部の主導で管理方法を改革。ProPlusとProPlus Pitをベースとするグローバル資産の統合データベースを構築した。これにより固定資産の廃棄や転用、活用の判断が格段に高度化し、全拠点への導入が完了すると資産活用の改善効果は約5億円に達するもようだ。

 A社の施策は固定資産管理の中でも極めて高度で「当社では現実的ではない」と捉える担当者も多いことだろう。藤田氏も、ProPlusに問い合わせを寄せる企業の大半は現状、固定資産管理の業務標準化を目指すレベルにあると説明する。

歩むべき資産管理のステップ(プロシップ資料)

 ただし、まず業務の標準化を進められれば、資産のリアルタイムな可視化、さらにグローバルでの管理精度の向上も自ずと視野に入る。そこに対して何も手を打たなければ現状の改善は何も望めず、自社の競争力は相対的に低下するばかりだ。

 「固定資産管理は標準化に取り残されてきたがゆえに、他社に先行しやすい領域でもあります。しかも、自社の現状に合わせて段階的に取り組みを高度化できます。グローバル競争が激化する中での優位性の獲得に向け、その意義は決して小さくないはずです」(藤田氏)

 プロシップのProPlusとProPlus Pitは、企業経営における新たな武器となりそうだ。

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提供:株式会社プロシップ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2022年6月8日