活躍の場広がる「プロダクトマネージャー」 リクルートが持つ巨大PdM組織の“お仕事”をキーマン対談で探るPdMって何してるんですか?

» 2023年03月13日 10時00分 公開
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 昨今、企業内で領域を問わず求められている業務にプロダクトマネジメントがある。これは、カスタマーの課題を解決するプロダクトを開発するだけでなく、継続的な改善を行いながら“長期的な成功”を支援するための取り組みだ。

 プロダクトマネージャー(以下:PdM)を専任で設けている企業は日本ではまだ少ないが、100人以上のPdMが所属する巨大組織を持ち、200以上ものプロダクトをマネジメントしている企業も存在する。リクルートのプロダクトデザイン室だ。同室のキーマン2人に、PdMの役割と同社のプロダクトマネジメント、独自のカルチャーを聞いた。

photo リクルート プロダクト統括本部 プロダクトデザイン室の部長2人に取材した。左:小田真理子氏<事業開発領域 プロダクトデザイン部>。右:白川圭太氏<販促領域プロダクトデザイン1ユニット(住まい) 住まい領域プロダクトデザイン3部>

数百人規模、リクルートのPdMはどんな組織で何をしている? ※以下、敬称略

――お二人のご経歴と業務を教えてください。

白川: 前職は化粧品メーカーでECサイトを運営していました。リクルートに転職したのは2017年で、当初は「SUUMO」のプロダクトデザイン室(以下:プロデザ)に配属されました。一時期はプロダクトマネジメント室(以下:プロマネ)とプロデザのグループマネジャーを兼務していましたが、現在は後者に絞っています。

小田: リクルートでは、世にいうプロダクトマネジメントを行う部がプロデザで、事業企画のようなお仕事をする部がプロマネなんです。

白川: そう、初見だと分かりにくいんですけど(笑)。小田さんは、前職ITコンサルタントだったんですよね?

小田: はい、大学時代に「自分で事業をつくりたい」と考え、多様な企業と協働できるコンサルタントを選びました。でも、徐々にプロダクトそのものについての知見を得たいと感じるようになって、17年にリクルートへ。当時はまだ新領域だった「ポンパレモール」「保険チャンネル」に配属され、以来、事業開発フェーズのプロダクトに携わっています。

――プロデザとはどのような組織で、どのように仕事を進めているのですか?

白川: リクルートのほぼ全てのプロダクトに関わる部門ですが、旅行や飲食、住まいといった事業ドメインで領域を分けており、PdMのほか2職種(デザインディレクター、クライアントサクセス)が各プロダクトにコミットしています。人数でいうと、PdMだけでも数百人規模になるかな。

小田: 領域は縦軸なんですが、そこに機能(役割)別に横軸でマーケティング組織やエンジニア組織もあります。PdMもこの横軸組織の1つで、例えばPdMが「こういうプロダクトをつくろう」といえば、横軸の組織と密に連携しながら開発を進めます。プロデザに所属するメンバーのバックグラウンドも、営業、デザイナー、SIerなどいろいろです。

PdMに必要な視点 プロダクトに関わるメンバーの価値を最大化するためには?

――部としての行動指針はありますか?

小田: 事業開発領域では「最速で最高のカスタマー体験をつくり、最大効果を追求する」ことをテーマに掲げています。一番入口のところからゴールを見据えた上で緻密な仮説設計を行い、具体的な推進を行うことが「最速」につながり、既存の何かを改善するのではなく180度違った発想を持つことが「最高」の体験を生む。こういった視点で、PDCAを回すスピードとプロダクト品質を両立することで「最大効果」を得る――これをうちの部では“最・最・最”と呼んでいます(笑)

白川: 新規事業を担う、事業開発領域ならではのスタイルですね。

小田: 新規事業には「見えていないこと」「分からないこと」が圧倒的に多いです。それを明瞭にした上で深掘りしながら仮説を立て、検証設計を固めてから前進する。それが、手戻りをなくすことにつながり、ゴールに到達する一番の近道になると思うんですよね。住まい領域はどうですか?

白川: マーケットが大きく、古い商習慣も多く残っている領域なので、「前提を疑う」ことを重視しています。例えばPdMとしてやりたいことがあったとき、過去事例に照らし合わせてメンバーが諦めちゃうようなことがままあって。だけど、都市伝説的に受け継がれているだけの習慣であることも多いんですよね。だから、今の事業フェーズを背景に「あるべきもの」「なくてもいいもの」をフラットに考えて、不足パーツを足していく。そんな考え方や行動を部の中では大事にしています。

小田: 白川さんも私も、「価値」にコミットするために行動指針を考えていると思うんですよ。そこが事業企画との違いですよね。カスタマーやクライアントなどユーザーにとっての「価値」とは?――を追求し、ソリューションとなるプロダクトを開発する。その価値の仮説が正しいのかを検証し、プロダクトを磨いていくのが役割というか。

白川: 以前、同業者の方が「エンジニアやデザイナーの生産性を最大化することが、PdMのミッションだ」と話していてなるほどなと思いました。小田さんがいう“最・最・最”はまさに、エンジニアやデザイナーの生産性を最大限に生かすための行動指針だと感じます。

小田: ユーザーに提供する価値を最大化するためにも、PdMがチームの目線を合わせたり、目指すゴールを明確にしたりすることが重要ですよね。

――そういったPdMとしての知見、ノウハウはどのように養われたのでしょうか?

白川: 異動機会に恵まれているリクルートだからこそ得られたのかもしれません。僕はSUUMOで賃貸領域を経験した後、複数の領域を経て2年半ほどで再び賃貸領域に戻りました。そのとき、以前とは見えるものが全く違って驚きました。他領域の視点を広く知ることができたおかげで、物事をフラットに捉えられるようになったんです。

小田: 分かります。私も複数プロダクトに関われたからこそ気付けたことって多いですよ。ポンパレモールでは、クライアントの売上やリピート率をどう上げていくかを考え、プロダクトに還元させていく取り組みをしていましたが、ここで気付いたのはリアルと向き合っていないと成果につながらないことでした。自分たちを主語にして、「こういうのあったらいいよね」だけではだめなんですよね。バックキャスト的に考えることと、フォアキャスト的に積み上げなきゃいけない数字を行き来することで、クライアントと同じ気持ちになって事業の数字にコミットしていく、その重要性に気付きました。

白川: その後、異動した保険チャンネルは、業界の中では後発のプロダクトでしたよね。

小田: 保険チャンネルでは、保険というニーズが顕在化される前の「将来のお金の悩み」を持つカスタマーに注目して、ファイナンシャルプランナー相談という事業に注力しています。その中で、競合差別化を図るためにどんな体験価値を提供すべきかを考え、保険という時間と手間が一定以上、必要な加入プロセスにおいて、まずはシンプルに手間を最小限にすること。その上で、将来のお金のことについてすぐに相談・検討・対策ができるスキームの構築として「リードタイム0」構想を掲げプロダクトを設計中です。

白川: PdMとして中長期視点で業界を見て、どんなカスタマー体験をつくっていくべきか考えた結果の良例ですね。

小田: その市場が社会構造としてどう変化していくかを捉えながら、目指すプロダクトの絵を描くことが、PdMには重要だと実感しました。保険チャンネルでは、具体的な計画をもって実践していく体制づくりを一通り経験できたので、非常に良い機会になりましたね。

リクルートで重視される「Will」は、小さくても流動的でもいい

――リクルートには「Will(やりたいこと)」を尊重するカルチャーがあると伺いました。プロデザにおけるWillとの向き合い方を教えてください。

小田: 事業を運営するのも、プロダクトを描くのも結局は人。だから内発的な動機付けになるWillが強いものであるほど、良い結果に結び付くと経験上、感じています。必ずしもはっきりとしたWillを持っているメンバーばかりじゃないんだけど、個人的にはWillは大きなものである必要はないと思っていて。メンバーの足元にある「これを変えたい」を拾うことが、マネジャーとしての私の役割かなと。

白川: すごく分かります。僕もメンバーのWillはかなり深掘って聞くんですけど、小田さんがいうように「はっきりとしたWillがない」というメンバーも多いです。でも仕事で楽しいと思うことを尋ねると、必ず何か出てくる。その時間を増やしたいと思うことだってWillだよと、気付いてもらうようにしています。Willにひも付いた仕事をしているとき、人は一番輝くし成長する。それって企業にとっても個人にとってもWin-Winな状態ですよね。

小田: Willって変わるじゃないですか。私も最初は自分で事業をつくりたいというWillを持って入社したけど、リクルートの多様なプロダクトを通して経験を積むにつれ「こういう世界もあったんだ」と本当に視野が広がりました。それとともに大小問わずWillは増えたし、変わりました。Willは流動的なものでいいんです。

白川: 超、共感です(笑)。5年後、10年後を見据えた大それたWillなんて僕だってなかなか出てこないですよ。でも今向き合っている組織とか、プロダクトの課題とかに対して「こうしたい」という思いはあるし、それが実現できるリクルートの環境が原動力にもなっている。それで十分ですよね。今後もそういった柔軟さを持って、メンバーの小さなWillを一緒に見つけたいです。

「失敗共有」も含めたナレッジシェアが、プロダクトと“個”の成長に寄与

――Willに基づいて関わるプロダクトを選択することもできるのですか?

白川: 基本的に本人の意思を尊重しますよ。ただ、Willとその人が一番成長できる環境がイコールにならない場合もある。そのときは僕らマネジャーが「Willに近づく最短距離」を提案することもあります。

小田: リクルート全体のカルチャーとして、メンバーのWillやキャリアプランに対してより良いマッチングが尊重される傾向にありますよね。

白川: 領域を超えて経験を積むメンバーもたくさんいますしね。各領域内でキャリアや情報が閉じてしまうことがないというか。「ナレッジシェア」が最たる例ですよね。

――ナレッジシェアとは?

小田: 各領域から出てくるナレッジを、データベース化してプロデザ全体でシェアするという取り組みです。各領域で活用している新しいテクノロジーや取り組みを横断でキャッチアップできる上に、失敗事例も学べます。

白川: 失敗事例を共有することで、「過去」に失敗はしているけどアイデア自体は面白いから「今」やってみよう、そんな動きが自然に出てくるんですよね。

小田: 自分が担当するプロダクトグロースを支えているだけではなく、個人の学びの場としても、ナレッジシェアはすごく貴重な機会だと思います。

リクルートならではの文化をベースに「これから」を創っていく

――最後に展望をお願いします。

白川: リクルートのプロデザとしては、常に価値を創造する組織でありたいですね。そのためにも、PdMが考えた価値提供に向けて何が必要か、考えて実現できる組織にしていきたいですし、そういう文化を守り、新たにつくっていきたいと思います。

小田: 私としては、リクルートのプロダクトマネジメントを経験したらどこでも通用する――そんなPdMの登竜門的な存在になっていけたらと考えています。白川さんがいう価値創造のためにどんなテクノロジーを使い、どんなイノベーションを起こしていくかというところにもコミットして、追求し続けることで良いプロダクトを世に出していきたいです。

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提供:株式会社リクルート
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2023年3月26日