業務DX基点の電帳法とインボイス対応 袖山税理士に聞く、現場メリットを最大化させる極意とは

» 2023年04月17日 10時00分 公開
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 電子帳簿保存法(以下、電帳法)とインボイス制度への対応期限が迫っている。そのような中でヒントにしたいのが、オープンテキストが電帳法とインボイス制度をテーマに開催したラウンドテーブルで見えてきた、大手企業における対応課題とその先にあるDXで成果を出すためのポイントだ。

 本記事では、ラウンドテーブルでファシリテーターを務めた市野郷学氏と特別ゲストとして登壇した袖山喜久造税理士をあらためて取材。昨今の業務DXのトレンドとともに、参加したユーザー企業から挙がったリアルな法対応への課題を振り返りながら、解決策を語ってもらった。

※以下、敬称略

リアルな課題から考える、業務DXを視野に入れた法対応とは? 

――経理業務のDXとは、具体的にどのような変革が求められているのでしょうか。

photo 袖山喜久造氏(SKJ総合税理士事務所 SKJコンサルティング合同会社 所長 税理士 業務執行社員)

袖山: 経理は、企業活動において正確な取引が行われているかをチェックし、記録することで情報の真実性を保たなければなりません。ところが現実は、報告を受け帳簿に記録するにとどまっており、取引の実態を把握して真実性を保ちながら経理業務ができている企業はそう多くない。これは、経理で確認できる情報が少なく、取引の実態を把握できないことが要因であり、横領や経費の不正使用につながりかねない環境です。

 そのようなことがないように、業務をデジタル化しデータ活用することで、経理が必要な情報を得て適正な処理ができる体制を整える――これが、私が目標とする業務DXです。

市野郷: 組織や経理には、今までとは違った役割や機能が求められていますよね。ステークホルダーから経理への期待値が変化しているからこそ、デジタル化によって柔軟にフォーメーションチェンジすることが重要な時代になりました。

袖山: 請求書や領収書の情報を手でシステムに入力していては、手間がかかる上に適正かどうかの確認も手薄になります。そもそも経理は、非常にリスクが高い業務です。AI-OCRやRPAを導入することで、効率化と真実性の確保を実現することは非常に重要です。

――電帳法は業務DXを促進する法律だと思いますが、ラウンドテーブルに参加したユーザー企業からはどのような対応課題が挙がりましたか。

photo 市野郷学氏(オープンテキスト EIMエバンジェリスト)

市野郷: 「紙の書類は紙で管理する」方がいいのか、「(スキャナ保存に対応し)全て電子化する」方がいいのか、双方のリスクをてんびんにかけている方が多いように感じました。先生はいかがですか?

袖山: IT戦略やDX推進といった部門の方が参加されているのが印象的でしたね。会社としてDXに取り組んでおり、電帳法やインボイス制度もデータ活用を前面に出して検討を進めている。しかし、法対応について詳しく分からない中で「どの程度、業務を変えればいいのか落としどころに困っている」。そのように見受けました。

――どのような解決策が考えられますか。

袖山: 「書類の管理を紙でするか電子でするか」についていえば、紙でも問題がないなら無理して電子化する必要は全然ないんですよ。

市野郷: おっしゃる通りです。この先、企業が成長して経理の仕事量が増えたときに困らないなら、私もそのままでいいと考えています。しかし、仕事の増加量に対して単純に人を増やす時代はもう終わりました。そことどう向き合うかですよね。

袖山: 23年の改正法令では、電子取引について「(当面の間は)出力書面の保存を認める」と公表されています。ただし、これは「データ保存をしなくていい」のではなく、「書面で出力する際は、同時にデータも保存すること」という内容です。しかし、紙とデータが混在する状態で網羅性を持って管理するのは難しいですよね。

 じゃあ全て紙で処理するとなると、データで受け取った書類を出力する手間が発生します。逆に電子で処理するとなると、紙をデータ化する手間が発生します。どちらが将来的に有益か、という話になるんです。

市野郷: 電子取引の「出力書面の保存を認める」という救済措置もいずれ終わります。データ活用による業務効率化が必要な今、スキャナ保存への対応も視野に入れた上で業務DXに取り組んでいただきたいですね。

「現場にメリットがなければ進まない」 鍵は「社内ルール」の見直し 

――「法対応に業務をどう合わせればいいのか」という課題についてはいかがですか。

袖山: 社内ユーザーの協力なしに業務変革はできません。だからこそ、法対応に伴う業務の変更はエネルギーをかけて検討する必要があります。

市野郷: いざ始めてみると、電子化の利便性を実感してもらえる例も少なくありません。「電帳法に対応して電子化が進むと業務が楽になる」という視点を現場に持ってもらえるかが、最初のハードルになるのではないかと、先生のお話を聞きながら考えました。

袖山: 社内ユーザーにメリットがないと、電子化やその先のDXはうまくいかないんですよ。せっかくシステムを導入したのに、結局、紙で承認を回している例も実際にあるわけで。

市野郷: 要は「紙に出力して、ハンコを押して保存するルール」になっている企業が少なくないですよね。しかし、そういった社内ルールはそろそろ変えていただく必要がある。

袖山: 電帳法で重視されているのは「どのようにデータを作成して、どのように保存しているか」という手順です。その手順を規定して運用する――つまり市野郷さんがいうように社内ルールを変えた上でデータを保存することが求められているんです。それが真実性の高さにも直結しますから。

市野郷: 「ガバナンス含め、既存の業務プロセスや社内ルールを変えてはじめてシステムが生きる」ということなんでしょう。弊社としても、お客さまにはそのように説明していますし、これからもそこを含めサポートしていきたいと考えています。

インボイス制度「Peppolは様子見」が多数、なぜ?

――インボイス制度について、ラウンドテーブルで挙がった課題はありますか。

市野郷: まずは書式の改修により対応するという声が多く出ましたが、Peppol対応について気にされている方もいましたね。Peppolはヨーロッパや、アジアなら韓国では普及しているため、グローバルで取引がある国内企業は対応が進んでいく流れにあります。ただ国内取引でいえば、他社がどう動くか様子見をしているように感じました。

袖山: Peppolだけでインボイス制度対応はできないんですよね。Peppolデータは記号と数字の羅列です。だからこそシステムに取り込みやすくデータ活用もしやすいのですが、人が内容を「見る」には適さない。

市野郷: 目視可能文字(ヒューマンリーダブル)な形にする必要があるということですね。

袖山: はい。見られる状態にしないと承認作業ができませんからね。Peppolデータから請求書を生成するといった領域は、ベンダーさんの努力にかかっています。

市野郷: おっしゃる通りです。Peppolデータを会計システムにどう取り込むか、どう請求書に変換するかという部分は、われわれベンダーも引き続き検討するべきだと考えています。

袖山: Peppolについては今後、さまざまなサービスが出てくるはずです。Peppolサービスプロバイダーとして、すでにソリューションをお持ちのOpenTextさんのようなサービスを活用し、まるっとお任せしてしまうのも手ですね。中小企業でも利用可能なサービスがあるでしょうし、ぜひ多くの企業に使っていただきたいと思います。

市野郷: 弊社のOpenTextTM B2B Managed Servicesは、大手の取引業務ではほとんどの企業が利用しているEDI(電子データ交換)をベースに、国内外の調達や販売といった取引業務で採用されています。今回のPeppol対応による請求業務の部分最適化だけではなく、サプライチェーン業務の全体最適へと波及することが可能です。

日本における認定 Peppol Service Provider一覧はこちら(デジタル庁Webサイトより) 

法対応、業務効率化、ガバナンス強化まで実現 「ECM」の価値は?

――オープンテキストのソリューションは、これら電帳法やインボイス制度への対応をどのように支援するものでしょうか。

市野郷: 電帳法やインボイス制度に対応する際は、国税関係書類をどう効率的に電子化して保存、管理をするかが重要になります。また企業内には、人事、営業、マーケティング、販売など部門ごとに書類が存在し、管理要件はそれぞれ異なります。そのように、企業内に散在する書類を集約し、法対応をした上で保存、そして活用する――これをプラットフォーム型で提供しているのが弊社のエンタープライズコンテンツ管理「OpenText Extended ECM」(以下、ECM)です。

 SAPなど業務アプリケーションとシームレスに統合できる点も特徴です。例えば、業務アプリケーションで書類をアップロードすると、電帳法対応で求められる要件をECM内で満たし、定められている期間、保存することができます。

袖山: OpenTextとSAPを利用すれば、法対応から業務効率化まで全て実現できると私は考えています。ワークフロー連携によるプロセス管理もできるため、システム内で「ルールに基づいた工程を経なければ次のステップへ進めない」ようにすることで、自ずとガバナンス強化にもつながります。

市野郷: ありがとうございます。われわれとしても、法対応だけではなく、DXに必要とされる機能を全面的に吸収したソリューションとして提供しているという自負があります。

袖山: データ活用の方法は事業ごとに変わるので、全社を巻き込んだデータ管理基盤を構築し、関連コンテンツを含めて出し入れができる環境にすることは業務DXにおいて重要です。

 また、段階的な電子化の検討がしやすくなりますよね。例えば請求書や領収書といった書類を先に電子化する。その次に、見積書や発注書、契約書にかかわる電子化を進めていく――といった具合です。ここには、社内のさまざまな部門が関係してくるため、一元管理ができていれば電子化効率が上がります。

市野郷: 電子化の最初の入り口として適しているのは、やはり経理なんですよね。そこを徐々に他部門に広げていったとき、結果システムがサイロ化していてはデータ活用が妨げられます。ぜひわれわれが提供するECMプラットフォームを各社でお役立ていただきたいです。

――ありがとうございました。最後にメッセージをお願いします。

袖山: まずは、電帳法の電子取引とインボイス制度、こちらの対応は全企業にしっかり進めていただきたいですね。電子取引については、重要度の高い書類から段階的に検討もできるため、優先順位をつけることも必要です。

 今後は「システムに任せられる仕事」と「人にしかできない仕事」のすみ分けをきっちり行うこと。その上で「何を目的とした電子化なのか」を念頭に、ぜひ業務DXを実現していただければ。

市野郷: 経理の方には、国税関係書類を正確に記録して管理する、スコアキーパーとしての役割をDXで効率化していただければと思います。そうすることで、経理の役割をさらに高度化し数字を使った経営分析や、事業部門へのアドバイスなどに時間を使うことができます。先生がいうように「人にしかできない仕事」へのシフトは今後ますます求められてくることになりますので、こういった経理DXは必要です。

 そのためにも、「業務効率化」「法対応」、そして「ガバナンス強化」「社内ルールの変更」はセットで考えなければなりません。弊社では一気通貫でサポートできる用意があります。課題や困りごとがある際は、ぜひ一度ご相談ください。

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