NotionとClaudeが築く、持続可能なAIエージェント基盤:人的資本×トークン資本の時代へ

「業務ナレッジはNotionに集約し、高度な推論やコード生成にはClaudeを利用する」――この役割分担は非常に合理的だが、ツール間を行き来していると、判断過程や成果物は分散したままになる。企業のAI活用は「まずは使ってみる」「できるだけ使い倒す」段階から、コストと成果を組織的に管理する段階に移っている。NotionとClaudeのそれぞれの強みを生かしながら、業務コンテキストと接続して、成果や知見を組織の資産として蓄積できる仕組みづくりが重要だ。

PR/ITmedia
» 2026年11月04日 10時00分 公開
PR

 「社内の業務ナレッジはNotionに集約して、高度な推論やコード生成にはClaudeを利用する」――このように、ナレッジ基盤とAI実行環境を分けて運用している企業は多いだろう。各ツールの長所を組み合わせた効率的なスタイルだが、システムの連携がないまま手動でデータをやりとりしていると、かえって業務の効率を低下させてしまう。

 「ツールを行き来してプロンプトと回答のコピペを繰り返す」作業に時間を奪われる上、AIとの対話や判断の過程などが「個人の画面」に閉じ込められて組織の知見として蓄積されないからだ。企業におけるAI活用が「とにかく使ってみる」フェーズから「いかにコストとアウトプット品質をマネジメントするか」に移行する中、ナレッジの分断は看過できない経営課題になっている。

 Notionが2026年6月25日に開催したウェビナー「Notionをチームで使いこなす:Notion×Claude コスト最適化と“共存運用”の型」より、個人のAI活用を組織の「トークン資本」に変えるための考え方と、Notionが果たす役割を解説する。

トークン資本が企業競争力を左右する

 Notion Labs Japanの早川和輝氏(AIソリューションスペシャリスト)は、Notionを利用する企業から「Notion AIがあるのにClaudeも併用すべきか」「どちらか一方に一本化すべきか」と相談を受けることがあると話す。

 「NotionとClaudeはしばしば比較され、二者択一で語られることがありますが、実態は異なります。Anthropicと私たちは、競合ではなく共存する関係だと互いに考えています」

 早川氏が背景として挙げたのが、AI活用を取り巻く潮流の変化だ。できるだけ多くのトークンを費やす「トークンマキシマイゼーション」から、限られたトークンを成果とのバランスで最適化する「トークンマネジメント」に関心が移りつつある。

 この延長線上にあるのが、Microsoftのサティア・ナデラCEOが提唱した「トークン資本」(Token Capital)の概念だ。今後の企業成長には、従来の人的資本だけでなく組織が蓄積するAI活用能力も影響する。単にAIの利用量を増やすのではなく、「業務コンテキスト」「判断基準」「プロンプト」「レビュー履歴」といった知見を、成果物や利用ログと共に再利用可能な形で蓄積することが重要になる。AIを一度きりの回答を得るための道具として使うのか。それとも、使うたびに組織の能力が高まる仕組みをつくるのか。企業のAI活用が企業競争力を左右する時代に突入している。

人とAIが協働するAIエージェントの基盤として進化したNotion

 では、AIとの対話や判断過程、成果物を、組織のどこに蓄積すべきなのか。早川氏がその基盤として提示するのがNotionだ。Notionに対する「ドキュメント作成や共同編集のためのコラボレーションツール」という認識は、もはや過去のものだという。

 現在のNotionは、単なるドキュメント作成・共同編集ツールではなく、AIエージェントの基盤として3つのレイヤーで構成されている。

Notionを構成する3つのレイヤー(提供:Notion Labs Japan)《クリックで拡大》

 最下層の「コンテキストレイヤー」はNotion内の構造的な情報に加えて、SalesforceやSlackなどの外部ツールと接続して業務に必要なコンテキストを一元化する。

 中間の「コラボレーションレイヤー」は、人と人だけではなく、人とエージェント、さらにはエージェント同士が協働する場所だ。

 最上層の「エージェントレイヤー」の中核を担うのがNotionの「カスタムエージェント」だ。従来のNotion AIは人が指示を出す必要があったが、カスタムエージェントは「いつ動くか」「何をするか」「どのデータを扱えるか」「どのモデルを使うか」の4項目を設定するだけで自律的に動作する。利用するLLMはClaude、GPT、Gemini、Kimi、DeepSeek、Grokなどから選択可能だ。

 営業チームの商談を毎週決まった時間に集計してSlackで報告する「定期報告エージェント」、プロジェクトの更新を検知してタスクやアドバイスを自動生成する「プロジェクト管理エージェント」など、業務に応じてエージェントを作成できる。ワークフローをパッケージ化すれば、組織全体で利用可能だ。

 Notionは、情報を保存する記録システムにとどまらない。「業務を動かす起点」「エージェントの動作や権限、コストを管理する制御」「成果物や判断過程を再利用可能にする蓄積」という3つの役割を担う。

MCP連携でも残る「共有の手作業」

 もっとも、Claudeの生成結果をNotionに手作業で貼り付ける運用を多くの企業が続けていると早川氏は指摘する。この方法は手間がかかる上、人が認識している情報しかAIに渡せないため、人の発想を超えた効率化や資産形成にはつながらない。

 NotionとClaudeの間にある情報の分断を解消する手段として、Anthropicが開発した標準規格「MCP」(Model Context Protocol)がある。MCPを利用すれば、ClaudeなどのAI側からNotion内の情報を参照できる他、生成した結果を直接Notionに保存できる。Claude CodeなどのCLIを起点とした連携も、個人の作業効率を高める上では有効だ。

 しかし、MCPでNotionとClaudeをつないだだけでそのまま組織全体の業務プロセスが最適化されるわけではない。生成結果を保存した後にSlackでレビュー依頼を送る、次の担当者に作業を依頼するなどのプロセスをつなぐ役割には人が必要だ。

 設定方法や保存先、ワークフローの設計がユーザー任せになりやすく、全員が同じ品質・ルールで環境を構築するのは難しい。「人がAIに指示を出す」という業務の起点も人間側に残りやすい。

MCPでNotionとClaudeをつなぐだけでは、結局手作業が発生してしまう(提供:Notion Labs Japan)《クリックで拡大》

 従業員が数百人以上の規模になると、全従業員に「MCPを正しく設定して、AIとのやりとりを適切な場所に保存する」運用ルールを徹底させるのは難しい。運用の徹底が難しくなると仕組みは形骸化して、AIとのやりとりや思考の過程は個人の画面内にとどまったまま、最終成果物だけが共有されるようになってしまう。

 「人は自発的にナレッジを共有しようとはしないものです。だからこそナレッジが自然と共有される仕組みづくりが欠かせません。人を起点とする運用には限界があります」と早川氏は指摘する。

 組織全体でAI活用を再現可能な仕組みにするには、ユーザーの自発的な操作だけに依存せず、業務の流れそのものを設計する必要がある。

カスタムエージェントで「人間の操作だけを起点にしない」業務ループを作る

 この限界を超える鍵になるのがカスタムエージェントだ。カスタムエージェントは「いつ動くか」「何をするか」「どの情報にアクセスできるか」「どのモデルを利用するか」といった条件を設定して、業務ワークフローをNotionでパッケージ化できる。これによって、担当者が毎回AIに指示を出さなくても、スケジュールやデータベースの変更などを起点として業務を動かせる。

 ウェビナーでは、Notion Labs Japanの鈴木里始氏(ソリューションエンジニア)が、人を起点にしない業務ループのデモを披露した。営業担当者からSlackに「アポ獲得」の報告が入ると、Notion上に商談ページと顧客調査レポートが自動作成される。商談後にステータスを変更すると、議事録から顧客要望を抽出するエージェントが自動で起動して、開発タスク生成につなげる。

 作業時間が削減できるのはもちろん、商談で得た顧客の声やその後の判断、開発状況などが共通の業務コンテキストとして残る。Notionは情報を記録する場所から、人とAIエージェント、外部ツールをつないで業務ループを回す場所へと変わる。

AI支出を「資本」に変える

 人を介さずに自動でエージェントが稼働する環境では、ガバナンスやコスト管理も欠かせない。自動化された業務ループを放置すれば、意図しない処理やコストの増加につながる可能性があるからだ。

 Notionのカスタムエージェントは利用量に応じたクレジットベースの従量課金制を採用しているが、エージェントやワークスペースごとに利用上限を設定できるため、予算に応じたコストコントロールが可能だ。どのエージェントがどれだけのクレジットを消費したかも詳細に追跡できる。Notion AIの通常機能とカスタムエージェントを用途に応じて使い分けることで、日常的な検索・文章生成と、高度な業務自動化のコストを分けて管理できる。

 全ての動作は監査ログに記録され、管理者はどのページにどんな処理が及んだのかを一覧で確認できる。エージェントごとにデータのアクセス権限を設定できる他、使用したモデルやツール、処理の手順を追跡できるインサイト画面も用意している。

エージェントの管理者機能も充実している(提供:Notion Labs Japan)《クリックで拡大》

 これらのログ情報は単なる統制にとどまらず、ROI(投資対効果)の測定にも利用できると早川氏は語る。

 「業務エージェントが稼働した実績を追跡すれば、どの程度の業務をAIが代行しているのか定量的に把握できます。使用したトークンコストと代替された業務成果を照らし合わせることでROIが可視化され、AIへの支出を投資、資本として管理できるようになります」

Notionは外部エージェントを束ねるオーケストレーションレイヤーへ

 こうしたAIエージェントの基盤としての役割をさらに広げるのが、外部エージェントとの連携だ。Notionを起点にエージェントを利用する際に、NotionのカスタムエージェントだけでなくClaudeとCursorのエージェントも利用できるようになった。

 Notionのページ上で外部エージェントをメンションしてタスクを依頼したり、ステータス変更をトリガーとして起動させたりできる。処理結果はNotionページに集約される。Notion側でエージェントの処理ルールを高度に作り込まなくても、ClaudeやCursorの実行環境を呼び出してタスクを委任できる。Notion自体は複雑な個別処理をせず、複数のエージェントを束ねて指示を出すオーケストレーションとして機能する。

 Notion社内でも、Slackに届いた製品への要望を起点にプロダクトマネジャーがエージェントを起動して、コーディングをClaudeやCursorが担い、チケット管理をNotionが処理する体制が定着しているという。人間が関与するのは初期の判断と最終レビューのみだ。

 複数のAIツールを個別に使うMixed Stackの状態では、成果物や判断過程が各ツールや個人の画面に分散しやすい。必要なのはClaudeやCursorの強みを生かしながら、それらを業務コンテキストと接続して組織として管理できる基盤だ。

 「Claudeは個人や開発者の能力を最大化します。その成果をチームの資産に変えるのがNotionです。二者択一ではなく両者を組み合わせることで、組織のトークン資本を『複利』で伸ばせる関係にあります」と早川氏は力を込める。

 Claudeをはじめとする外部エージェントの実行力と、Notionが持つ業務コンテキスト、制御、蓄積の力を組み合わせる。その共存運用こそが、AI活用を個人最適から組織能力へ進化させ、持続可能なAIエージェント基盤を築くための一歩になる。

※登壇者の役職はイベント当時のものです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:Notion Labs Japan合同会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2027年1月3日