不採用の理由を「お答えできない」ワケ(1/3 ページ)
就活中の学生から「エントリーシート(ES)まで進むのに、なぜか面接で落ちる」といった声をよく聞きますが、なぜこうした事態に陥るのでしょうか。その理由は……。
著者プロフィール:
増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。
就活では「エントリーシート(ES)まで進むのに、なぜか面接で全滅する」「面接はいい感じで進んだのに落ちた」といった話をよく聞きます。特に前者はいわゆる有名大学・高偏差値大学の学生から多く聞かれる声です。私はキャリアの講義やセミナーでいつも説明していますが、就職活動とは、会社側から見れば「採用活動」という事業の一環です。これがヒントになります。
「ESまでうまく進んだ」「面接も良い感じだった」というのはあくまで学生側から見た感触。しかし実際にその可否を決めているのは採用側です。何をもって「うまい」と判断したのでしょうか。面接での会話が盛り上がったとか、大きな失敗なく言いたいことが言えたという状況を「うまい」と表現する学生が多いと思いますが、それらと採否が連動しているとは考えにくいのです。
面接はうまい話し方を審査するコンテストでも、自分のアピールしたいことを伝えるプレゼンコンペでもありません。また高偏差値大学の学生が書類審査をすいすいと進みやすいのは、学歴フィルターのおかげであって、少なくとも大学名が非常に良ければ、書類審査まではかなりの確率で進めるからです。
採用の仕組みと学歴フィルター
しかしこれらはいずれにしても採用を決定付けることにはなりません。学歴フィルターに反対する人は学歴だけで選ばれることを批判しますが、現実は学歴だけで「選ばれる」のではなく、一定レベル(多くは1次面接)までの審査を通りやすいというのが実態です。会社は単に学歴(学校名)が良いだけの人材を採用するほど甘くはありませんから、本稿の例で挙げたように、誰もが知る一流大学の学生であっても、面接で会ったところ箸(はし)にも棒にもかからないものであれば当然躊躇なく落とします。
もちろん一次面接までも進めない学生から見て不平等に感じる気持ちは分かりますが、現実として学歴フィルターが用いられるのは誰もが憧れる超人気企業である以上、それ以外の予備選抜は難しいため、そうそうなくなる見込みはないものと考えられます。
ESや適性検査を廃止した企業はありますが、面接を廃止する企業はほとんどありません。つまり企業は面接で採用を決定するのです。
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