なぜ、あの人は「稼ぐ力」があるのか? 1万分の1の存在になる方法:水曜インタビュー劇場(マネー公演)(5/7 ページ)
「稼ぐ力」というフレーズが注目されているが、どうすればいいのかなあと感じている人も多いのでは。リクルートでフェローとして活躍し、その後中学校の校長を務めた藤原和博さんに“稼ぐ方法”について聞いてきた。
100人の中で1人の存在になるには
土肥: 少し話を整理させてください。稼ぐ力を身につけるために、冒頭で「希少性」の話をされました。
藤原: 希少性を発揮しなければ、稼ぎを高くすることはできません。簡単にいえば、需給の関係。仕事の稼ぎは需給の関係から逃れることができません。需要がたくさんある市場で、供給が少なければ稼ぎが上がる。また、需要がそれほどない市場でも、供給側が1人しかいなければ稼ぎが上がる。例えば、小さな島で人口がものすごく少なくても、医者の免許を持っているのが1人であればその人は稼ぐことができますよね。
大きな需要があるところで、複数の人がいる分野を狙うか、一定の需要があるところで、たったひとりの分野を狙うか。ただ、どちらを狙うにしても、ひとつの分野で100万人に1人しか生き残れないのであれば、生き残るのは難しい。99万9999人が生き残ることができませんからね。
冒頭でも申し上げましたが、フィギュアスケートの世界でいえば、羽生さんに勝つことは難しい。お笑い芸人の世界でいえば、ビートたけしさんや明石家さんまさんに勝つことも難しい。ではどうすればいいのか。“掛け算”をしてみてはいかがでしょうか。
土肥: 掛け算? どういう意味でしょうか?
藤原: 100万人の中で1人の存在になるのは難しいですが、100人の中で1人になるのはそれほど難しくありません。例えば、営業、販売、経理、財務などの世界で、100人の中で1人の存在になるのは、1万時間くらいあればなれるでしょう。もちろん、運だけでその存在になることはできません。1日6時間その仕事をやると、だいたい5年で1万時間になる。
少し厳しい言い方になりますが、30代半ば以上で何かの分野で100人の中の1人になれていなければ、その人は怠けていたのかもしれません。流行りの分野にぴょんぴょん目移りして、結局、自分の身に付いていないのかもしれない。
土肥: うう……(自分のことか!? 次の取材は全く違うテーマだし)
関連記事
- 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - なぜ小さな会社が、“かつてないトースター”をつくることができたのか
バルミューダがこれまでになかったトースターを開発した。最大の特徴は、表面はさっくり焼けて香ばしく、内部は水分をしっかりと閉じ込めてふわふわ。そんな食感を楽しむことができるトースターを、なぜ従業員50人の会社がつくれたのか。 - なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。 - 受注を減らしたのに、なぜ「チョコモナカジャンボ」は3倍も売れたのか
森永製菓のアイスクリーム「チョコモナカジャンボ」が売れている。売上高は14年連続で伸びているが、その背景にはどんな“仕掛け”があったのだろうか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.