カーシェア事業で、なぜ「パーク24」だけが黒字化できたのか:水曜インタビュー劇場(カーシェア公演)(8/8 ページ)
カーシェアリング事業の早期黒字化は難しいといわれている中で、パーク24が事業を始めてわずか5年で黒字を達成した。その理由を探っていくと、興味深い話が……。
「身近」な存在でなければいけない
内津: この事業を始めて、お客さんから教えてもらうことが多いんです。「ここが使いにくいなあ」と指摘されれば、すぐに対応しています。それはもう毎月のように。
土肥: 例えば?
内津: カーシェアは長く使えば使うほど料金がかかってしまうので、お客さんは急ぎがちになってしまうんですよね。急いで返却しようとすると、車内に忘れモノをすることが多いんです。ドアのカギを閉めてしまうと、開けることができません。では、どうすればいいのか。当社に電話をしていただき、遠隔操作によってカギを開けることができるんです。でもどうしても時間がかかってしまうので、お客さんから「イライラする」といった声がありました。
これはイカンということで、ドアのカギを閉めると、携帯電話に「返却しました」というメールを送るようにしました。そのメールにURLを貼っていてそれを押すと、カギが開くという仕組みをつくりました。やれやれこれで一件落着と思っていたところ、またまたご指摘の声をいただきました。「クルマの中にスマホを忘れたので、ドアを開けることができないじゃないか」と。
これはイカンということで、いまはドアを閉めても1時間以内であればカードをかざせば開くようにしました。もちろん課金はされません。
土肥: 改良に改良を重ねてきたわけですね。
内津: カーシェアってコンビニと似ている部分があるんですよ。日本でコンビニがスタートしたとき、深夜は営業していませんでした。しかし24時間になって、消費者はより便利さを感じたはず。さらに、お店がどんどん増えたことによってより便利さを感じているのではないでしょうか。
時間貸の駐車場もカーシェアも、いまのコンビニのように「身近さ」が大切だと思っています。クルマを運転していて、「どこかに停めたいなあ」と思ったときに、近くにあればそこに停める。「絶対にタイムズに停めなければいけない」という人なんてほとんどいませんよ。みなさん、駐車場に停めたいんです(笑)。
土肥: あっ、それ言っちゃいましたか(笑)。
内津: カーシェアも「身近」な存在にならなければいけません。では、なにをもって「身近」なのか。指標のひとつが、駅だと思っています。駅は全国に1万ほどあるので、1万という数字は身近に感じていただけるのかなあと。
土肥: 現在カーシェアのクルマを置いている駐車場の数は7000ほどなので……。
内津: まだまだですね。
(終わり)
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